本記事では、GXの概要、DXやカーボンニュートラルとの関係、ビジネスにおける事例などを解説します。
GXは、再生可能エネルギーへの転換による社会の変革を目指す取り組みです。
地球環境の変化から、世界中の企業で脱炭素および再生可能エネルギー利用の取り組みが広がっています。
しかし、GXとDXの違いや、企業の利益活動と環境改善の両立ができるのかといった疑問を持たれている方もいるでしょう。
GXについて詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
尚、海外企業の事例等については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
目次
GXとは?
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、温室効果ガスの排出原因となる化石燃料などのエネルギーから、脱炭素ガスや太陽光、風力、地熱発電といった再生可能エネルギーに転換し、経済社会システムの変革を目指すものです。
地球規模の気候変動を食い止めるため、世界各国がGXに関する取り組みを推進しています。
しかし、本来企業にとって環境保護活動は負担が大きく、利益の出る事業に比べて後回しにされてきました。
現在はGXに取り組む企業はイメージがよく、金融機関の融資が受けやすいという利点があります。
GX関連の事業は資金調達がしやすく、市場の競争力も強化できると考えれば、環境保護と経済成長の両立も可能です。
GXが注目される3つの理由
GXが注目される3つの理由について解説します。
地球温暖化による気候の変化
地球温暖化による気候の変化は、GXが注目される理由の1つです。
近年、気候変動の影響で大規模な水害や森林火災といった自然災害が増加しています。
環境省によると、このまま有効な対策がされず地球温暖化が進行すると、2000年頃からの平均気温が最大4.8℃上昇すると予測されています。
自然災害が増えると経済損失は拡大し、人々の生活や自然体系にも大きな影響を与えるでしょう。
こうしたリスクを回避するため、GXは注目されています。
引用元:「2100年 未来の天気予報」
ESG投資の市場拡大
GXが注目される2つ目の理由は、ESG投資市場が拡大したことです。
ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの要素を、投資先の判断材料として取り入れる考え方です。
2020年の世界のESG投資額は、約3900兆円で35.9%の割合を占めており、今後も規模を広げていくと考えられます。
ESGを無視した経営は、企業イメージの悪化、株価下落などにつながる可能性があります。
そのため、ESGと関係の深いGXは注目されているのです。
引用元:「世界のESG投資額35兆ドル 2年で15%増」日本経済新聞
カーボンニュートラル宣言
カーボンニュートラル宣言もGXが注目されるようになった理由の1つです。
カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します」と環境省は定義しています。
これは、温室効果ガスの排出量自体をゼロにするのではなく、排出量から森林等の吸収量を差し引くことで、温室効果ガスの排出を全体としてゼロを目指すことを意味します。
カーボンニュートラルの実現のためには、温室効果ガスの排出量の削減 と吸収作用の強化が必要です。
GXは温室効果ガスの排出量の削減に関連の高い取り組みとして、注目されています。
引用元:「カーボンニュートラルの実現のための施策」脱炭素ポータル 環境省
GXとDXの関連性
DXはGXを実現するために必要な取り組みです。
DXとはデジタル技術を活用しビジネスを変革する活動を意味し、GXはエネルギーの転換による変革を意味します。
例えば自社の消費電力の削減は、GXの取り組みの一つです。
この目標達成には業務を効率化し、無駄な残業をなくすなどの対策が必要になります。
業務効率化にはデジタル技術を活用し、人的作業を削減しなければなりません。
このように、GXとDXはそれぞれ別の取り組みに思えますが、GXを実現するためにはあらかじめDXを実現しておく必要があるのです。
国内企業のGX取り組み事例3選
次に、国内企業が取り組んでいるGXの事例を3つ紹介します。
オムロン株式会社:オムロン カーボンゼロ
オムロン株式会社(以下、オムロン)は「よりよい社会をつくる」という企業理念のもと、 2018年7月に2050年に温室効果ガス排出量ゼロを目指す「オムロン カーボンゼロ」を掲げました。
オムロンは自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガスをゼロにすること、製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出量を2030年度 18%削減(2016年度比)にすることを目標としています。
スコープ1,2の取り組みでは「Ecoものづくり」として、空調設備の省エネ対策や、各事業所での使用エネルギーの転換などの空調設備の更新を進め、使用電力
量を削減しています。
また、太陽光発電設備へも投資し「Ecoものづくり」と合わせて、2021年度は50%削減(2016年度比)を達成しました。
スコープ3では、制御機器、電子部品、社会システム、ヘルスケアの4事業で省エネ商品の開発と販売を行い、2030年度 18%削減(2016年度比)も目指しています。
NTTとNECが連携:サプライチェーンを含めた脱炭素への取り組みを共同推進
2023年、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、NTTアノードエナジー株式会社(以下、NTTアノードエナジー)、日本電気株式会社(以下、NEC)およびNECプラットフォームズ株式会社(以下、NECプラットフォームズ)は、脱炭素への新たな取り組みを共同で推進することを同意しました。
NTTとNECはそれぞれ持続可能な社会の実現に取り組んできましたが、今回の連携ではNECグループの温室効果ガス削減事業に加え、製品をグリーン化電力により製造し供給することで、NTTグループの排出量削減を目指します。
また、生グリーン電力等の再生可能エネルギーや、省電力技術のIOWNの開発・導入に連携して取り組み、日本政府の「2050年カーボンニュートラル宣言」の実現に貢献するとしています。
ソニーグループ株式会社:Green Management2025
ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、環境負荷ゼロ実現のため「Road to Zero」という環境計画に取り組んでいます。
「Green Management(グリーンマネジメント)2025」は、環境負荷ゼロを実現するための2021年度から2025年度間の環境中期目標です。
ソニーは2025年までの重点目標として次の3つの課題に取り組んでいます。
- 省エネ化と省資源化を推進
PlayStation®4(PS4®, CUH-2000シリーズ)では28%の消費電力を低減しています。
また、交換レンズではバージンプラスティック使用量の34%削減に成功しました。
- さらなる再生エネルギーの導入
ソニーは2030年までに再生可能エネルギー電力の利用率を100%にしたいとしています。
英国のソニーUKテクノロジーセンターでは、電力使用量の8%は太陽光パネルによりまかなわれており、再生可能エネルギー電力の利用率100%を実現しています。
また、2017年には100%水力由来の電力(アクアプレミアム)を直接購入するため、東京電力グループと契約を締結しています。
- サプライチェーンとの環境負荷低減での協力強化
原材料・部品サプライヤーや製造委託先とも環境負荷低減に向けた連携を強化し、環境負荷低減をさらに推進しています。
この3つの取り組み以外にも、エンタテインメント事業では持続可能性の課題について多くの人に啓発と参加を促しています。
企業がGXに取り組むメリット
企業がGXに取り組む大きなメリットは、2つあります。
脱酸素・エネルギーコストの削減、企業価値の向上について解説します。
脱酸素・エネルギーコストの削減
GXには、脱酸素、エネルギーコストを削減できるメリットがあります。
「炭素負債」が本格導入されると、2050年まで世界の1000社で計42兆ドルを負担しなければなりません。
炭素負債とは炭素税や排出量取引などCO2排出量に価格をつけるカーボンプライシングから推定されるGXの指標です。
負債を抱える多くの企業はエネルギー・鉄鋼・化学分野の製造業です。
日本の製造業にとってGXを推進することが、将来的なコストダウンにつながります。
企業価値の向上
GXに取り組む企業は金融機関や投資家、取引先からの評価が高くなります。
そのため、株価の上昇や融資が受けやすくなるといったメリットがあります。
また、人材を採用するときにも、企業イメージは重要です。
GXはブランディングに寄与するため、自社への就職希望者が増え、優秀な人材を獲得しやすくなるでしょう。
まとめ
GXは環境の改善と企業利益の両立が可能な取り組みです。
気候変動による災害は莫大な経済損失を伴います。
またGXの取り組みはESG市場の拡大により、将来的な投資として今後も広がって行くでしょう。
しかし、GXの実現にはDXが必要な場合もあり、取り組み成果は直ぐには出ません。
カーボンニュートラルの実現のために、自社ができることを明確にすることから始めましょう。
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