SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?ERPとの違いやメリットを解説

本記事ではSCM(Supply Chain Management)の概要やERPとの違い、導入のメリットやサプライチェーンの分析要素について詳しく解説します。

物流業界における「2024年問題」や、生産性向上などの課題を受けてニーズが高まっているサプライチェーンの分析に欠かせないSCMについて、詳しく知りたい方は最後まで読んでみてください。

サプライチェーンは、原材料の調達から消費者に届くまでの一連の流れです。

SCMはサプライチェーン全体を管理することで、効率化を図る経営手法または管理をするためのシステムを指します。

SCMの導入はDX推進にもつながるため、DXに関心のある方もぜひ参考にしてみてください。

SCMの活用事例については、こちらの記事でも解説していますので、併せてお読みください。

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SCMとは

SCM(Supply Chain Management)とは、サプライチェーンを関係者全員で情報共有し最適化を図る経営手法およびこれを行うために導入されるシステムのことです。

サプライチェーンとは、企業が原材料を仕入れてから製品を完成させ、消費者に届けるまでの一連の流れを言います。

これまで単一部署や自社単位でしか考えられていなかったサプライチェーンのコストカットについて、全体で考えられるようになるため、包括的な視点からの取り組みが可能になります。

参照:
「サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?SCMが注目される背景とその効果やメリットをご紹介」 株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ NTTデータ
「知っておきたい「SCM」と「ERP」の違いとは?それぞれの特徴を解説」株式会社システムインテグレータ System Integrator

サプライチェーンとロジスティクスの違い

サプライチェーンと近似する言葉としてロジスティクスがあります。

両者は、ロジスティクスがサプライチェーンの一部分であるという点で異なります。

サプライチェーンは、原材料の調達から消費者に届くまでの一連の流れです。

これに対してロジスティクスは、商品の流通や保管の課程を指します。

サプライチェーンの方がロジスティクスより包括的な概念にあたります。

参照:
「【図解あり】サプライチェーンとは?課題やSCMのメリット・デメリットを解説」株式会社アイスマイリー AISmiley

SCMとERPの違い

SCMと近似するものとして、ERP(Enterprise Resources Planning)が挙げられます。

ERPとは、企業全体の経営資源(ヒト・モノ・カネ)を管理する経営手法やそのためのシステムのことです。

SCMとERPの違いは、ERPの方がより広義の経営手法やシステムを指す点です。

サプライチェーンを管理するSCMはERPシステムやERPを達成するための一部といえるでしょう。

参照:
「ERPとSCMの違いは? | それぞれの概要とメリットをわかりやすく解説」株式会社マネーフォワード Money ForwardクラウドERP

SCM導入のメリット

次にSCMを実施するメリットについて解説します。

サプライチェーンを適切に管理することで企業にどのようなメリットをもたらすのか、3つ紹介します。

 効率化・コスト削減
 顧客満足度向上
 環境に配慮した調達の実現

それぞれ詳しく解説します。

参照:
「SCMとは」株式会社関通 物流倉庫・改善(物流アウトソーシング・発送代行)の株式会社関通
「SCMとは? メリット・デメリットやERPとの違いについて解説」東日本電信電話株式会社 NTT東日本

効率化・コスト削減

過去の販売データと現在の在庫から将来の需要予測を立て、仕入れ先から適正量の仕入れを行うことでコスト削減につなげられます。

必要な時期に適切な量の仕入れを行えるため、余剰在庫や原料不足による生産ラインの停止を避けられるためです。

効率化やコスト削減は、SCMの主なメリットといえるでしょう。

参照:
「サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリット・デメリット、導入ステップまで徹底解説」大興電子通信株式会社 DAIKO+PLUS

顧客満足度向上

顧客に対して商品を届けるためのリードタイム短縮が可能なため、満足度向上につながります。

仕入れ先と需要予測などの情報共有を行い、安定した生産体制が取れるため在庫不足による発送遅延の防止や、物流体制の管理による配送ルート・人員の適正化が可能です。

これによって顧客を待たせることなく商品の提供が行えます。

環境に配慮した調達の実現

仕入れ先の情報を一元管理できるため、環境に配慮した製品を製造している企業から仕入れを行うグリーン調達が可能です。

グリーン調達とは、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)に定められる環境への負荷が少ない商品やサービスを調達することです。

グリーン調達は、現在国を挙げて取り組みが進むGXやカーボンニュートラルにもつながります。

コストカットだけでなく、環境への配慮にもSCMは有用です。

参照:
「【図解あり】サプライチェーンとは?課題やSCMのメリット・デメリットを解説」株式会社アイスマイリー AISmiley

コンタクトアースマッチング公式サイト

SCMのデメリット

SCMを行うことのデメリットを2つ紹介します。

SCMの導入を検討している方は導入前に必ずご覧ください。

 データ管理が難しい
 新たなビジネスチャンスを逃すリスク

それぞれ詳しく解説します。

データ管理が難しい

SCMは自社の製造や流通、販売管理などの部署および関係会社のデータを横断的に管理することで成り立つ仕組みです。

そのため、膨大な量のデータを収集・管理しなければなりません。

多くのデータを扱う必要があることから、SCMを他の業務担当者に兼任させるのは難しいでしょう。

また、様々なデータを基に分析を行うのは簡単ではないため、データ分析に詳しい人材が必要です。

システムを用いる場合、システムの導入コストがかかる上に人材面でもコストが上乗せされる可能性があります。

このように、データの取り扱いの難しさがSCMの難点といえます。

参照:
「SCMとは?仕事内容や導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説」GMOインターネットグループ株式会社 ビジネスコンシェルジュ

新たなビジネスチャンスを逃すリスク

コスト削減や業務効率化を目的としてSCMを導入する場合、これらにこだわるあまり新たなビジネスチャンスを見逃してしまう可能性があります。

サプライチェーン全体を見渡すことで新しいビジネスアイデアを発見できる場合もあるため、コスト削減の視点は持ちつつ、広い視点で取り組むようにしましょう。

参照:
「【図解あり】サプライチェーンとは?課題やSCMのメリット・デメリットを解説」 株式会社アイスマイリー AISmiley
「SCM(サプライチェーンマネジメント)とは?仕組みを基礎からわかりやすく解説」株式会社システムインテグレータ Asprova(アスプローバ)

SCMによるサプライチェーンの分析要素

ここからはSCMを実際に行うにあたって、どのような観点から自社のサプライチェーンを見直したり、分析を行ったりすればよいかを解説します。

主な着眼点は次の4点です。

 需要予測
 在庫管理
 物流管理
 生産管理および生産効率

それぞれ順番に見ていきましょう。

需要予測

適切に将来の需要を予測することで、不要な仕入れを減らし、仕入れコストや在庫保管スペースの削減などにつなげられます。

SCMでは、需要予測として未来の販売量や出荷量の試算が可能です。

過去の一定期間の販売量をそのまま需要予測とするシンプルな試算方法もあれば、気象データや季節性、トレンドなども加味した総合的な試算方法もあります。

収集できるデータや求められる精度に応じた試算方法を用いて需要予測を行うことで、発注や生産、仕入れの計画立案に役立てられます。

参照:
「需要予測」キヤノンITソリューションズ株式会社

在庫管理

各拠点にどの製品がどれくらい、どのような状態で保管されているのか正確に在庫管理を行います。

海外の拠点やグループ会社など管理が難しい拠点で保管されている分まで全て確認します。

各拠点の在庫情報を適切に管理することで、余剰在庫による不要な保管スペースや在庫管理に伴う人員コストの削減、仕入額が下がることによる、キャッシュフローの改善が可能です。

借入れによって仕入れをしている場合は、借入額が下がるため支払利息も抑えられます。

また、決算など棚卸の際の集計にかかる手間も減らせます。

参照:
「在庫最適化」デロイトトーマツグループ デロイトトーマツ

物流計画

製品の生産体制と配送計画がマッチングするように両者を調整することで、輸送におけるロスが生じにくくなります。

製品が出荷可能な状態になる日時と配送車両が集荷に来る日時を調整し、製品の最終検査を終えた段階で集荷が行われる体制を組むことが可能です。

出荷可能になった製品を積載可能な車両で集荷に来るように調整しておくことも重要です。

これによって、リードタイムの短縮による顧客満足度向上や配送にかかるコスト削減につながります。

参照:
「連載コラム:SCM KPI活用の糸口 第4講:モノ(輸送)」 株式会社エクサ exa CORPORATION

生産管理および生産効率

SCMによって、生産業務の効率化や生産量を適切に設定することで、コストを抑えることが可能です。

生産プロセスの中で各工程におけるコストや業務フローを可視化し、不要なコストの削減や業務省力化が行えます。

また、需要予測に基づいて生産量を適切に設定することで、無理のない生産計画が策定できるため、適正な稼働率を保って生産できます。

参照:
「SCMとは?意味から重要性、具体的方法について解説」株式会社レクサー・リサーチ モノづくり用語解説

まとめ

今回はSCMの概要やERPとの違い、SCMを導入するメリットなどについて解説しました。

SCMは原材料の調達から消費者に届くまでのサプライチェーン全体を適切に管理し、コストカットや業務効率化に大きく貢献します。

SCMはDX推進にも役立つでしょう。

しかし、多くのデータを収集・管理する必要があるため、実際にSCMを行うにはシステムを導入するのが一般的です。

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