不動産業界のDX事例をご紹介!メリット・課題を解説!

本記事では、不動産業界におけるDX化の事例紹介とメリットやDX推進に向けた課題を紹介します。

最後まで読むことで、不動産業界のDX化についての最新情報と、ネックになっているポイントが理解できます。

伝統ある不動産業界においてもDX化の波が訪れています。

社員の働き方改革だけでなく、モデルハウス見学やマンションの価格査定などこれまででは想像もつかなかった活用が進んでおり、ITエンジニアの需要が高まっている状況です。

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不動産DXとは

不動産DXとは、不動産業界の実務をデジタル化することで、顧客満足度の向上や業務改善につなげる施策です。

DXについては、経済産業省が「デジタルガバナンスコード2.0」において、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義しています。

現在大きな問題となっている日本の働き手不足や生産性の向上などを解決へ導く糸口として、期待が寄せられており、不動産業界においても国を挙げて推進されています。

参考
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc2.pdf 

不動産DXの現状

不動産DXは、多くの企業で必要性は高く感じられていますが、取り組みはまだまだ進んでいません。

全国賃貸住宅新聞社などが行った「不動産業界のDX推進状況調査」では、98.4%の事業者がDXの重要性を認識していました。

しかし、実際の取り組みを行っている事業者は31.9%、必要性を認識している企業の割合と比較して極端に低い結果です。

また、同調査ではDXを推進する上で苦労していることやDXを推進する予定のない理由についても聞き取りを行っており、いずれにおいてもDX推進人材を確保できないことと、取り組み方がわからないことが上位に位置しています。

このことから、DX推進についてのニーズは非常に高い一方で、人材不足とDX自体が十分に理解されていない現状がわかります。

参考
https://www.zenchin.com/news/content-555.php 

不動産業界がDXに取り組むメリット 

不動産業界がDX化に取り組むメリットは大きく次の2点です。 

  • 業務効率化 
  • 顧客満足度向上 

それぞれ詳しく解説します。 

業務効率化 

DX化を推進することで業務効率化を図り、働き方改革の推進や人手不足の解消、コスト削減などのメリットがあります。

Web会議システムや契約書面の電子化といった業務改善によって、会議の開催場所まで赴く必要がなくなったり、契約書面を郵送または対面で作成することが不要になったりといったコスト削減が可能になりました。

先ほど紹介した全国賃貸住宅新聞の調査でも、DX推進の目的として「業務効率化・生産性向上」を挙げる企業は93.4%と、業務改善を期待する意見が多いこともうかがえます。 

顧客満足度向上 

DX化を推進することで、業務改善だけでなく顧客の利便性を高めることも可能です。

例えば前段で紹介した契約書面の電子化は、顧客にとっても店舗まで行かなくてよいことや、郵送コストがかからないこと、時間を問わず契約手続きを進められることなどのメリットがあります。

他にもオンラインで重要事項説明を行えるようになることで、来店して説明を受ける時間がない方が日程調整の負担を軽減することや重要事項説明のデータを残すことでトラブル防止に役立ちます。

このように、DX化は顧客にとってもメリットのある施策です。 

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事例紹介 

本章では実際にDX化に取り組んでいる企業の事例を3つ紹介します。

大手ではDX推進に力を入れているところも多いため、三井不動産や東急不動産の推進事例を中心に解説します。
今回紹介するのは次の3つの事例です。 

  • メタバースモデルハウス見学 
  • マンション価格査定AI 
  • 社員の働き方改革 

それぞれ詳しく解説します。

参考
https://www.mitsuifudosan.co.jp/dx/dx_hakusyo.pdf
https://pdf.irpocket.com/C3289/qSDE/AgOP/R48x.pdf 

メタバースモデルハウス見学 

三井不動産では、家にいながらメタバース上でモデルハウスを見学できるサービスを実施しています。

単にWeb上で新築予定の家の様子が見られるだけでなく、ハウスメーカーの担当者とメタバース上で打ち合わせも行えるため、家に関する質問があればその場で回答が得られます。

また、デザインやカラーリングの変更もその場で行い、メタバース上で確認できるため、契約後に起こるミスマッチを未然に防ぐことが可能です。

さらに、遠方に住む家族と一緒に見学することもできるため、満足度の高い家づくりに大いに役立っています。

参考

https://webproduct.mitsuihome.co.jp/metaverse 

マンション価格査定AI 

東急不動産では、売買価格の査定を行う際に活用できるマンション価格査定AIを開発しました。

これまでマンションの価格査定は、不動産売買に精通した担当者が自らの経験と市場動向、過去の取引事例を加味して総合的に算出していました。

そのため、担当者によって若干の差異が生まれやすいことから、社内のチェック体制や査定ルールの設定などによって品質担保を行っています。

この膨大な業務を開発したAIに任せています。

AIが近隣の取引事例から類似性の高いものを抽出し、それらの事例に重みづけを行った上で、価格を算出し、査定価格に対する自信度を評価。

AIが出した査定価格を担当者はチェック・修正するだけでよくなったため、年間約15,000時間の業務時間削減に成功しました。

参考
https://www.livable.co.jp/corp/release/2021/20211109.html 

社員の働き方改革 

社員の新しい働き方の推進にも取り入れられています。

三井不動産では、決裁システムと会計システムを統合してフルクラウド化を実現しました。

さらに、ペーパーレス化やモバイル化などを進めたことにより、受発注・会計業務を35%削減することに成功しています。

同様に東急不動産でも、電子契約やオンライン会議、決裁手続きの電子化による完全ペーパーレスや、オープンスペースへのワーキングエリア導入とオフィス内での個人の位置情報の可視化による社員が働く場所を選択できる状態の整備を実施。

これによって、残業時間の28.9%削減と、部門を横断したコミュニケーション活性化を達成しました。 

不動産DXにおける課題 

不動産業界がDX化を促進するための課題は大きく次の2つです。 

  • IT人材の不足 
  • 経営陣のITへの理解不足 

それぞれ詳しく解説します。 

IT人材の不足 

国内全体でIT人材が不足していることが、不動産業界のDX推進における大きな課題になっています。

経済産業省が実施する「IT人材需給に関する調査」では、2030年にはIT人材が最大約79万人不足し、中でもAIやIoTなど先端IT人材は最大55万人不足すると試算されています。

さらに、独立行政法人情報処理推進機構が公表している「DX白書2023」によると、IT人材が「大幅に不足している」と回答した企業は49.6%に上り、前年度の30.6%から大幅に増加。

IT人材の供給不足は将来的なものではなく、現在においても深刻な問題です。

また、同調査ではIT人材が「充分である」と感じた企業の割合は日本が10.9%で、米国の73.4%と大きなギャップがあることもわかっており、IT人材の不足はDX推進において大きな課題になっていることがうかがえます。

参考
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf 

経営陣のITへの理解不足 

経営陣がIT技術やDX化についての理解が不足していることも大きな課題です。

一般社団法人日本能率協会が発表した「日本企業の経営課題 2022」によると、DXに取り組んでいる企業は55.9%に留まっており、全国賃貸住宅新聞の調査同様DX化に着手できている企業はまだまだ少ないです。

同調査によると、DX化における課題として「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」ことを挙げた企業が67.8%、「経営資源の投入が十分にできていない」が55.9%と経営陣の理解が十分に深まっていないことによる課題を挙げる企業が多いことがわかります。

経営陣がDX化のメリットとその手法をしっかりと理解し、強い推進力を持って取り組むことが求められています。

参考
https://www.jma.or.jp/img/pdf-report/keieikadai_2022_report.pdf 

今後の動向 

ここまで解説したように、不動産業界のDX化は高いニーズがあり、既に革新的な施策も登場していますが、人材不足などの要因でまだまだ課題も山積している状況です。

DX化については政府も後押ししていることから、今後も強い需要を受けて進んでいくことが見込まれます。

そのような中で、ITエンジニアは転職市場において売り手市場となっており、人材の争奪戦となっています。

リクルートが実施した「20234-6月転職時の賃金変動調査によると、転職によって年収が1割以上増えたITエンジニアの割合は40.3%と高く、強い人材ニーズのある状況です。

エンジニアの報酬相場が上がっているため、フリーランスとして働いても高単価な案件が増えています。
フリーランス協会が公表している「フリーランス白書2023」によると、フリーランスの約半数が年収400万円未満であるのに対し、フリーランスエンジニアは77.0%が年収400万円以上と高水準です。

ITスキルを一定程度身につけたのであれば、フリーランスエンジニアへの転身もキャリアアップの選択肢として検討してみてください。

参考
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230803_hr_01.pdf
https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2023/03/FreelanceSurvey2023.pdf 

まとめ 

今回は不動産業界におけるDX化の流れや事例を紹介しました。
伝統ある不動産業界でも、DX化によってこれまでできなかった業務効率化や顧客満足度の向上といった取り組みがなされています。
今後もこのような施策が推進される中で、IT人材の需要がさらに高まることが見込まれる状況です。

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