本記事では、Fintech(フィンテック)が活用されている主なサービスや、用いられている技術、課題と今後の展望について解説します。
Fintechがどのようなものか詳しく知りたい方は最後まで読んでみてください。
Fintechは、IT技術を金融分野に活用し、利便性の向上や付加価値の創出につなげる取り組みなどを指します。
現在多くの方が利用するキャッシュレス決済や仮想通貨などもFintechの一つです。
これからも市場が拡大していくと予想されるFintechについて、詳しく見ていきましょう。
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目次
Fintech(フィンテック)とは
Fintech(フィンテック)とは、Finance(金融)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。
明確な定義はありませんが、一般的には金融分野にIT技術を組み合わせて新たなサービスを生み出すことと、これに関連することを指します。
スマートフォンの普及やクラウドサービスの登場、AIやブロックチェーン技術の進歩によって決済手段やクラウド会計ソフトなど多くのサービスが生み出されました。
アメリカでは2000年代前半からFintechという言葉が用いられており、リーマンショックを機に金融業界から成長産業であるIT業界へ人材流出が起き、急速に発展したと言われています。
参照:
・FinTech(フィンテック)とは何ですか? 日本銀行
・FinTech(フィンテック) 株式会社野村総合研究所(NRI)
Fintech(フィンテック)を利用した主なサービス
ここからはFintechを利用した主なサービスを5つ紹介します。
本章で紹介するもの以外にも、ネット証券や投資アドバイス・運用を行うロボットアドバイザー、株価などの金融情報をオンラインで確認できるプラットフォームなどもFintechに含まれます。
それぞれ順番に見ていきましょう。
Fintechを活用した国内企業のサービス事例については、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
キャッシュレス決済
QRコードやバーコードを用いて、スマホアプリから電子マネーによる支払いや送金が行えるサービスです。
キャッシュレス決済によって、現金を使わずに買い物や決済ができるようになります。
経済産業省は2018年に「キャッシュレス・ビジョン」を策定し、民間最終消費支出額に占めるキャッシュレス決済の比率を2025年までに、4割程度にすることを目標としています。
なお、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%です。
そのため、2025年の目標に向けて堅調に上昇しています。
参照:
・「キャッシュレスの将来像に関する検討会」のとりまとめを行いました 経済産業省
・2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました 経済産業省
クラウド会計ソフト
個人や組織の金銭の出入りを記録・集計し、帳簿作成などを自動で行える会計ソフトがクラウド上で操作できるようになったものです。
端末にソフトウェアをインストールする必要がないため、インターネットに接続できれば場所や端末を問わずアクセス可能です。
また、クラウド上にソフトがあるため、サービス提供者によってソフトウェアが随時アップデートされます。
そのため、会計法令などの改正にも速やかに対応できます。
参照:
・クラウド会計とは?メリットや導入方法、従来の会計ソフトとの違いを解説 freee
・今さら聞けない?フィンテック(FinTech) ってなに? FinWing by NOMURA
仮想通貨(暗号資産)
法定通貨のように中央銀行などの公的な発行主体がないため、金融機関などに取引データが集約されず各端末で分散管理されている資産価値を持った電子通貨です。
国などの発行主体による管理がないため、オンライン上で個人間の直接やり取りができ、世界共通の価値を持っています。
円やドルなどの法定通貨は国が価値を保証していますが、仮想通貨は価値が保証されておらず、普及していく中で多くの人に価値が認められるようになっていきました。
参照:
・暗号資産とは? 楽天ウォレット
・暗号資産(仮想通貨)とは? SBI VC トレード
保険
生命保険や火災保険などの各種保険の申し込みや解約などの手続きをオンライン上で行えるようになったこともFintechの一つです。
他にも年齢や性別などの情報を入力すると、最適な保険をAIが診断してくれるサービスや、ウェアラブル端末を使用して毎日の運動量を測定し、ポイントが付与される生命保険も登場しています。
IT技術の活用によって、保険サービスの新たな仕組みやサービスにつながったり、利便性が向上したりすることをFintech(フィンテック)に内包される概念として、InsurTech(インシュアテック)と呼びます。
参照:
・フィンテックと保険の関係|インシュアテックとは? リアほ
・住友生命「Vitality」とは 住友生命Vitality
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の人が企業や個人、団体などが掲げるプロジェクトに資金提供を行うことです。
オンライン上で物品購入や寄付、投資などの形を取って出資を行います。
クラウドファンディングの登場によって、小口の出資者を簡単かつ大量に集められるようになりました。
参照:
・クラウドファンディングについて教えてください。 J-Net21
Fintech(フィンテック)に用いられる主な技術
ここからはFintechに用いられている主なIT技術を5つ紹介します。
Fintechには様々な技術が用いられているので、エンジニアの方は開発経験のあるものがないか参考にしてみてください。
それぞれ順番に見ていきましょう。
ブロックチェーン
ブロックチェーンは、仮想通貨を代表するビットコインのように分散管理を実現するための技術です。
中央サーバーによる管理を必要とせず、P2P(Peer-to-Peer)ネットワークによって世界中の利用者全員が分散して管理する仕組みです。
全ての取引記録は各利用者によって管理されているため、データの改ざんや不正利用を防止できます。
また、暗号化されているため、他者の個人情報などの情報は閲覧できないようになっています。
仮想通貨だけでなく、NFTにも用いられているブロックチェーン技術の詳細については、こちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
参照:
・フィンテックで注目される技術・ブロックチェーンとは BITPOINT
API
API(Application Programming Interface)は、ソフトウェアやプログラム同士をつなぐためのインターフェースです。
Fintechにおいてはクラウド会計ソフトが銀行口座の入出金履歴や残高などの情報、クレジットカードの支払情報などをAPI連携して収集しています。
これによって、自動でお金の動きを記録できるようになっています。
API連携の仕組みや活用方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
参照:
・APIとは何か? API連携ってどういうこと? 図解で仕組みをやさしく解説 ビジネス+IT
生体認証
生体認証(バイオメトリクス認証)は、指紋認証や顔認証をはじめとする身体に関する要素を用いて本人であることを確認する技術です。
パスワードや物理的なICカードなどを用いて認証するよりも、他者が不正にアクセスすることが困難なため安全性が高いです。
また、金融分野においては高度なセキュリティが求められる場面が多いため相性が良く、ネットバンクやネット証券などの認証時によく利用されています。
参照:
・生体認証(バイオメトリクス認証)とは? 種類とそれぞれの特徴 NECソリューションイノベータ
AI
ビッグデータの解析や投資・保険のプランを選択する際のロボットアドバイザーにAIが用いられています。
他にもオンラインでの問い合わせに対応するチャットボットや、ローン審査における与信モデルの作成、クレジットカード・保険の不正利用の検知などにも活用されています。
ChatGPTの登場などAI技術の進化によって、多くのサービス登場や利便性向上につながりました。
AI技術の発展については、こちらの記事で生成AIと従来のAIとの違いなどを詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
参照:
・FinTech(フィンテック)とは?具体例を含めて分かりやすく解説 SAISON CARD
IoT
IoT(Internet of Things)は、パソコンやスマートフォンなどの情報端末だけでなく、家電製品や自動車、医療機器など様々なものをインターネットを通してつなげる技術です。
これによって、ものの状態や動作などのデータ収集が可能です。
ウェアラブル端末による心拍数や運動量などの情報や、自動車の運転技術および車両状態といった情報を収集することで、保険料の割引やポイント付与などに役立てられます。
参照:
・IoTとは何か?|IoT:Internet of Things(モノのインターネット)の意味 モノワイヤレス株式会社
Fintech(フィンテック)市場規模の拡大
Fintechは、IT技術の進化に伴い今後も市場規模の拡大が予想されます。
総務省の「平成29年度情報通信白書」では、2015年度に約48億円だったFintech市場が、2018年度には2,145億円に拡大したとされています。
矢野経済研究所の調査では、2022年度には1兆円を突破するとされており、今後も生成AIの発展などに伴い拡大していくでしょう。
参照:
・平成29年度情報通信白書 総務省
・FinTech(フィンテック)とは?概要と注目される分野をまとめて紹介 KOMOJU
Fintech(フィンテック)の課題
最後にFintechの課題について解説します。
今後も拡大することが予想されるFintech市場ですが、課題も存在します。
それぞれ順番に見ていきましょう。
セキュリティリスクがある
Fintechはオンライン上で提供されるため、セキュリティリスクが存在します。
金銭を扱うサービスも多いため、サイバー攻撃の対象になりやすく、攻撃を受けると実害に直結する可能性が高いです。
そのため、強固なセキュリティが求められますが、本人確認手続きが複雑化するとユーザー利便性が低下してしまいます。
バランスの取れた施策が事業者には求められており、対応の難しい部分となっています。
参照:
・フィンテック(FinTech)とは? 関連技術と活用分野、導入のメリット・課題 SIOS bilink
災害時に利用できなくなるおそれがある
Fintechは通信環境が必要なため、災害発生時に電力供給が止まってしまったり、通信回線が機能しなくなったりしてしまうと、利用できなくなる可能性があります。
緊急時に利用できないリスクがあると、利用を控える人も出てくるため、データセンターの複数拠点化や自家発電システムなどの非常電源確保といった取り組みが進められています。
参照:
・担当者必見!災害時におけるキャッシュレス決済の利点と求められる備え DGFT
まとめ
今回はFintechが活用されているサービスや、土台となるIT技術、市場規模の展望について解説しました。
Fintechはユーザーの利便性向上や、新たなサービスの創出に大きく役立つものであるため、今後も多くの企業で取り組みが進んでいくでしょう。
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