本記事では、国内の大手商社におけるAIのビジネス活用事例を7つ解説します。
AIが日々進化を続ける中で、5大商社をはじめとする大手企業においてもAIの活用が進んでいます。
後半では事例から読み取れるAI活用のメリットも併せて紹介するので、AIをどのようにビジネスに取り入れるかを知りたい方は本記事を最後まで読んでみてください。
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目次
商社におけるAIの活用事例

日本の大手商社におけるAIの活用事例を5大商社中心に紹介します。
● 三井物産
● 伊藤忠商事
● 住友商事
● 丸紅
● 双日
● 豊田通商
それぞれ順番に見ていきましょう。
三菱商事
三菱商事では、AIを食品流通や物流、都市交通を中心に活用しています。
食品流通では、年間1兆円規模とも言われる食品ロスを削減するために、サプライチェーンの構成要素であるメーカー、卸、小売店それぞれが余剰在庫を抱えている現状の解消に着手しました。
各社において販売の機会ロスを防ぐために、在庫を余分に保有していることに原因があると分析し、サプライチェーン全体におけるデータを横断的に収集することにしました。
このとき、集めるデータをグループ会社だけでなく取引先企業にも拡大することで予測精度を高めています。
収集したデータをAIで解析し、小売店によるセールの開催や、メーカーの新商品販売といった、会社間で共有されない情報によって受給予測が難しくなっていた部分においても、高い精度で必要量を予測できるようになりました。
これによって、約10,000商品を対象とした実証実験において物流センターの残在庫を平均3〜4割削減させることに成功しています。
参照:
・「三菱商事が目指すDX(デジタル・トランスフォーメーション)とは?」 三菱商事
・「三菱商事が目指すDX」 三菱商事
・「食品のサプライチェーン最適化プロジェクト」 MCデジタル
三井物産
三井物産ではアメリカの半導体大手「NVIDIA」と協業し、AI創薬支援サービス「Tokyo-1」を提供しています。
AIの活用によって創薬研究にかかる時間とコストを削減し、開発の成功率を高めることが期待されており、うまくいけば1つの薬を開発するためにかかる期間を3分の1程度にまで短縮できると考えられています。
例えば、薬の標的となる物質の構造を正確に捉えたり、薬の候補物質と標的になる物質の結合しやすさをシミュレーションしたりすることに、AIを用いることで、予測精度と計算効率を高め、探索範囲の拡大が可能です。
また、毒性評価についても、人間が行うよりも高精度かつ短期間で危険性を評価でき、AIの活用によって成功率が80%を超えたという発表もあります。
参照:
・「AIが創薬にもたらす未来――三井物産×NVIDIAが仕掛ける創薬支援サービス”Tokyo-1”」 三井物産
・「変革期を迎える製薬業界― AIと医療ビッグデータ―」 三井物産
伊藤忠商事
伊藤忠商事では、株式会社ブレインパッドと共同で「生成AI研究ラボ」を設立しました。
ラボの取り組みの中で伊藤忠商事の社員全員が生成AIを気軽に活用できる環境を整備し、現場社員の生産性向上を進めています。
主に取り組んだのは次の4点です。
● 活用しやすいインターフェースの構築
● 正しいデータセットで学習されたAIモデルの提供
● 情報漏洩を防ぐための環境整備
将来的には新規事業開発や伊藤忠グループにおける事業でもAIの活用を検討しており、生活消費分野での顧客への商品やサービスのレコメンド機能、サービス内容の自動照会機能での導入を検討しています。
参照:
・「ChatGPT等の生成AIを用いた企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」の設立について」 伊藤忠商事
・「ブレインパッド、伊藤忠商事と、生成AIによる企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」を共同設立」 ブレインパッド
住友商事
住友商事では従業員を単純作業から開放するために、Copilot for Microsoft 365を導入しています。
メールやTeamsなど普段使っているアプリケーションにAIが搭載されているため、AIに馴染みのない社員にとっても利用ハードルが低くなりやすいです。
出張して長い時間メールが溜まった際に要約してくれたり、業務でわからないことや資料の保管場所を調べてもらったりすることが可能です。
このようなメリットを社員が活かせるように従業員向けに8,800ライセンスを配布しています。AIの利用を1年間で社内に定着させるため、社内でセミナーを行ったり、メルマガを配信したり、オフィス内に啓発ポスターの掲示をしたりといった活動も行っています。
参照:
・「住友商事グループでの生成AIの活用検討について」 住友商事
・「住友商事が日本企業初の Copilot for Microsoft 365 をグローバル全社導入。従業員一人ひとりの生産性・創造性を向上し持続的成長を実現」 Microsoft
丸紅
丸紅では食品系の工場に画像解析AIを導入しています。
人間が食品の目視チェックを行うと、同じ人間がチェックしていても判断基準にブレが生じ、顧客からのクレームにつながる可能性があります。
そのため、工場のラインにカメラを設置し、画像解析AIによって鮮度や品質を見分け、チェックの精度を高めることに成功しました。
また、同社では2023年4月に社内向けチャットボットの「Marubeni Chatbot」を開発し、翻訳やFAQ作成、文章執筆などの業務に活用しています。独自のAIを導入することで、社外秘情報の漏洩リスクをなくした上に、年間10万時間の作業時間削減もできています。
参照:
・「内製が可能にした迅速なAI活用商社ならではの柔軟性とスピード感がDXのカギ」 丸紅
・「生成AIサービス「I-DIGIO next-AI series Chatbotサービス」の提供開始について」 丸紅
双日
双日は農業DXを推進するDegas株式会社に出資し、衛星画像の分析に特化した生成AI基盤モデルの共同研究を行っています。
このAIモデルを他社の協力を得ながら、衛星画像の分析による気候や災害の予測、農業データを掛け合わせた穀物収穫量予測などに活用しています。
例えば、同社はタイでキャッサバ農家に対する営農サービスの提供を始めました。
土壌や天候などのデータや保有機材、収穫量などのデータを基に、適切な肥料の種類や量、タイミングなどをアドバイスしています。
この他に、ユーザーの農地や保有機材、収穫量などのデータを基に、作物加工会社や農機メーカー、金融機関からアドバイスやサービス提供を受けられるプラットフォームを構築。
農家の収穫量増加につながる様々なサービスを提供しています。
参照:
・「双日、アフリカなどで農業DXを推進するDegasに出資」 双日
・「双日、タイにSojitz Kaset Dee Xを設立し、アグリプラットフォーム事業に参入」 双日
豊田通商
豊田通商では株式会社LIGHTzと協業し、製造業の現場におけるベテラン技術者の暗黙知を次世代へ円滑に承継するために独自のAIシステム「blooplinter」を開発しました。
このAIシステムを同社は製造業を中心に提供しています。
「blooplinter」では3D図面を活用し、ベテラン技術者や製造部門が持つノウハウと知見を、図面上の形状から読み取れる特徴などを基に分析し、データ化してくれます。
また、デジタル空間上で、後の工程において発生する可能性があるトラブルや手戻りを事前に知らせてくれるため、ベテランの経験と勘に頼ったアドバイスがなくても事業を進めることが可能です。
参照:
・「AIを活用して製造業のDXを支援する 株式会社LIGHTzの第三者割当増資を引き受け」 豊田通商株式会社
・「熟達者思考の見える化とAIナレッジ管理・活用で脱属人化を実現」 TOYOTSU FACES
・「DXソリューションのご案内」 豊田通商株式会社
・「blooplinter」
商社でAIを活用する主なメリット

次に商社がAIをビジネスに取り入れることでどのようなメリットがあるのかを解説します。
前章で紹介した事例からわかることも併せて紹介するので、AIによるメリットを詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
● 精度の高い作業の実現
● データ分析と仮説検証
それぞれ順番に見ていきましょう。
業務効率化
生成AIの登場によって定型的な業務を一律にこなすことしかできなかったRPAなどから、柔軟に人間の指示に込められた意図を汲んで作業を高速かつ自動で行えるようになりました。
これによってAIに任せられる業務が増えたことから、さらなる業務効率化が期待されています。
また、今回紹介した事例では社員の文書作成や画像解析業務の自動化によって業務時間の大幅な削減につなげられた事例もありました。
参照:
・「AIで業務効率化する具体的な方法とは?事例も合わせてご紹介」 Azure相談センター
精度の高い作業の実現
AIを活用すれば、明確な基準による判断や作業の実行が可能なため、作業の精度を高めることが可能です。
人間ではその日の体調や気分によって判断基準がどうしてもブレてしまったり、言語化できない基準で判断を行ったりすることがあります。
基準がブレてしまうと、顧客からのクレームにつながるおそれがあり、判断基準を言語化しきれないと、技術承継に支障が生じてしまいます。
今回紹介した事例にも、画像解析AIを食品工場に導入することで品質チェックの精度を向上させたり、創薬における毒性評価の精度を向上させたりすることに成功しているものがありました。
参照:
・「AIの業務効率化事例まとめ!AI活用のメリットや注意点も解説」 Officebot
データの分析と仮説検証
AIはデータを読み込ませることで、人間が行うと時間のかかるデータ分析と、分析結果を基にした将来の需要予測などが可能です。
うまく活用すれば、従来はデータサイエンティストなどの専門家がいなければできなかった高度な予測や分析を容易に行えるようになります。
今回紹介した事例では、食品の需要予測や創薬におけるシミュレーション、農業における収穫量予測に用いられているものがありました。
参照:
・「データ分析における仮説を立てるための因果関係を見いだすAIツール、ニュートラルが販売」 デジタルクロス
・「”AI活用”に少しずつ取り組んでいこう」 NEC
まとめ

今回は国内の大手商社におけるAI活用事例を7つ紹介し、AIをビジネスに導入するメリットを解説しました。
AIの進化はとても速く、既に大企業のビジネスに導入され、大きな効果を生み出している事例も存在します。
生産性向上や新たな付加価値の創出など、DX推進を求められる中でAIを扱うことのできる人材の需要は高まっています。
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