本記事では、航空業界におけるAI活用事例7選とAIを導入するメリットを解説します。
インバウンドが増加し需要が高まる一方で、バブル期などに採用されたパイロットが一斉退職を迎える「2030年問題」など、人材不足に関する課題の多い航空業界におけるAI活用事例を詳しく知りたい方は本記事を最後までご覧ください。
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目次
航空業界におけるAI活用事例7選
航空業界におけるAI活用事例を紹介します。
国内大手企業を中心に事例を取り上げているので、日本の航空会社で行われている取り組みを具体的に知りたい方は参考にしてみてください。
● 日本航空（JAL）：手荷物収容棚の容量計算
● 日本航空（JAL）：ビッグデータ分析
● 全日空（ANA） ：AI搭載のチャットボット
● 全日空（ANA） ：お客様の問い合わせ分析
● Peach（ピーチ）：7言語に対応したチャットボット
● アラスカ航空 ：飛行経路の評価・提案
それぞれ順番に見ていきましょう。
日本航空（JAL）：客室乗務員のレポート作成
日本航空では、客室乗務員間で情報共有をするためのレポート作成にAIを活用予定です。
フライト中にトラブルなどが生じた際、機内から地上の客室乗務員へ引継ぎをするためにレポートを作成し、フォローアップを要請しています。
しかし、レポートを作成するのに1時間以上かかることもあり、他の業務に支障をきたしていました。
そこでMicrosoftの小規模言語モデルを活用して「JAL-AI Report」の開発を進めています。
「JAL-AI Report」では、客室乗務員がキーワードを入力し、チェックボックスを選択するだけで引継ぎレポートの作成が完了する予定です。
また、フライト中といった通信環境が不安定な中でもレポートを作成したり、ボタンを押すだけで日本語のレポートを英語に翻訳したりする機能も開発されています。
参照：
・「日本航空、新AIアプリで客室乗務員の機内業務報告を効率化 ー マイクロソフトの小規模言語モデル Phi-4 を活用 – Source AsiaMicrosoft
日本航空（JAL）：手荷物収容棚の容量計算
日本航空のAI活用事例2つ目は、手荷物収容棚に乗客が持ち込む手荷物が収容できるか推定するツールへの活用です。
乗客が機内に持ち込む手荷物が多いと手荷物収容棚への収納に時間がかかり、機内通路に人が滞留してしまいます。
また、搭乗開始後に収容棚に入らなかった手荷物を貨物倉庫へ預ける人が出て、フライト遅延の要因になることもありました。
そこでAIを用いた手荷物検知ツールの導入によって、手荷物の大きさを把握し、収納棚の容量をどのくらい使用するかをリアルタイムで推定しています。
推定積載量があらかじめ設定した閾値に達したらアラートを出すようにし、機内通路の混雑やフライト遅延の発生を防止しています。
参照：
・「JALとNEC、世界初となる搭乗口にて機内持ち込み手荷物を AIで解析、積載量を推定するソリューションの実証実験を実施 」日本航空(JAL)
日本航空（JAL）：ビッグデータ分析
日本航空のAI活用事例3つ目は、ビッグデータ分析です。
顧客満足度向上に向けた取り組みとして、自社の顧客データを分析する際にAIを搭載したツールを導入しました。
データサイエンティスト以外の社員にも開かれたデータ分析プラットフォームとすることで、多くの社員の業務効率化や業務範囲の拡大につなげています。
ビッグデータ分析を通して、過去の搭乗実績に基づく顧客一人一人の趣味嗜好を踏まえた新たな旅行先の提案や潜在的に興味のある商品提案などにつながることを見込んでいます。
参照：
・「JAL、DX戦略の一環として AI/機械学習プラットフォーム”Dataiku”を導入」日本航空(JAL)
全日空（ANA）：AI搭載のチャットボット
全日空では、ユーザーからの問い合わせに自動応答を行うAIチャットボットを導入しました。
パソコンだけでなくスマートフォン、LINEアプリからもこのチャットボットにアクセスでき、ユーザーは問い合わせたい内容を文章または複数の単語で入力することでと、AIから回答が得られます。
文章だけでなく、単語の組み合わせでもAIが知りたい内容を予測して答えてくれるため、ユーザーの利便性向上につながっています。
ユーザーはAIの回答が役に立ったかフィードバックを返すことで、AIのチューニングも可能です。
また、同社では国内ホテルをチャット形式で提案してくれるAIチャットボットもリリースしています。
「ディズニーランド近郊の子連れで行けるホテル」などの細かな条件設定に対して、該当するホテルの提案を行ってくれます。
参照：
・「ANA自動チャットによる 問い合わせ応答サービスのご紹介」全日空(ANA)
・「ANA Traveler’s ホテル AIガイド」全日空(ANA)
全日空（ANA）：お客様の問い合わせ分析
全日空のAI活用事例2つ目は、コンタクトセンターに寄せられた問い合わせ内容の分析です。
同社では、コンタクトセンターに寄せられた問い合わせ内容から業務改善を目的に分析が行われています。
しかし、従来のテキストマイニングツールでは、発声通りに文字起こしを行う「素起こし」となり、「えー」などの意味のない発話が頻出単語として分析結果に挙がってしまいます。
他にも業務フローを踏まえた分析や、業務内容に沿った言葉の意味を拾えず、有意義な分析を行えていないという問題がありました。
そのため、人間がAIの分析結果を基に手作業で問い合わせ内容の分類を行っており、約100件の分析に対して通話内容の確認に3日、問い合わせ理由の分類を含めた分析に1週間程度の期間を要していました。
そこで大規模言語モデル（LLM）を導入し、文脈を理解し、意味のない発話や言い直しによる頻出単語に左右されずに問い合わせ理由を自動で分類できるように改善。
さらに、一つの問い合わせの中に複数の要望などが含まれている場合であってもそれぞれをカウントできるようになり、人間が行っていたときより作業時間を60%削減することに成功しました。
参照：
・「ANA X が実践する生成 AI でのお客様の声 (VoC) 分析 」AWS
Peach（ピーチ）：7言語に対応したチャットボット
LCCのPeachでは、同社の就航地で用いられる7つの言語に対応したチャットボットをリリースしました。
Webサイト上で動作する自動応答チャットボットに、日本語、英語、中国語（簡体字・繁体字）、広東語、韓国語、タイ語に対応したAIを導入し、インバウンド需要の高まりに対応しています。
また、質問パターンをデータとして定期的に収集することで、継続的な回答品質の向上にもつなげています。
参照：
・「本邦航空会社初！AI（人工知能）を活用した 7 言語の顧客対応を開始〜イノベーションでさらなる顧客満足の向上へ〜」Peach
アラスカ航空：飛行経路の評価・提案
アラスカ航空では、出発地から目的地までの飛行経路の策定や運行状況の監視などを最適化するためにAIを搭載したシステムを導入しました。
飛行経路の策定には、出発地から目的地までの航路における気象状況や気流の流れ、機体の性能や他社の運行状況などを総合的に判断する必要があります。
複数のシステムで情報管理されており手順が複雑な上に、運行中の短い時間で判断を求められることがあるため、対応が難しいとされています。
そこでAIをベースとしたシステムを導入し、自社で策定したフライトの安全性などをすばやく判断し、必要に応じてより良い計画の提案も行ってもらえるようになりました。
実際にAIが提案した計画は半数が採用されており、効率的な業務遂行と安全なフライトだけでなく、消費燃料の削減にもつながっています。
参照：
・「アラスカ航空、運航管理業務にAI搭載システム導入 」FlyTeam
航空業界でAIを活用するメリット
ここからは航空業界でAIを活用するメリットを解説します。前章で取り上げた活用事例を踏まえて解説するので、併せてご覧ください。
それぞれ順番に見ていきましょう。 ビッグデータの分析と分析結果を基にしたユーザーごとへの提案や、問い合わせに個別で回答すると人間では膨大な作業時間がかかってしまいます。 AIでは分析の高速化や問い合わせへの自動対応ができるため、ユーザーに合った対応を個別に行えるようになります。 本記事で紹介した事例の中にも、チャットボットによる問い合わせへの回答や顧客への商品提案のためのビッグデータ分析にAIが活用されていました。 参照： AIには、複数の情報を基にしたデータ分析や大量の資料作成、時間や回数を問わない文章生成が可能です。 航空業界ではインバウンドの増加による需要増とともに、パイロットの人員不足が加速する「2030年問題」が背景にあるため、AIを活用した業務効率化は急務と言えるでしょう。 参照： 今回は国内の大手企業を中心に航空業界のAI活用事例と、AI活用のメリットを解説しました。 Contact EARTH matchingでは、航空業界に限らず日本の大手企業からの高単価案件を豊富に扱っています。 高単価案件で収入を伸ばしたい方、大企業からの案件で実績を積み上げたい方は、無料のエキスパート登録を行って案件にアサインしてみてください。
● 業務効率化顧客体験価値向上
ユーザー視点では、自分に合った提案や回答が得られるため、顧客体験価値の向上にもつながるでしょう。
・「【航空業界×AI】航空業界でも導入が進むAIの活用シーンやメリットについて紹介」メタバース相談室
・「航空業界におけるAI活用事例5選！飛行機の旅・空港が変わる？【2025年最新】」AI Market業務効率化
そのため、作業時間の短縮や業務効率化につながります。
本記事で紹介した事例の中にも、レポート作成や乗客のニーズ分析業務の作業時間短縮にAIが活用されていました。
・「【航空業界×AI】航空業界でも導入が進むAIの活用シーンやメリットについて紹介」メタバース相談室
・「航空業界におけるAI活用事例5選！飛行機の旅・空港が変わる？【2025年最新】」AI Marketまとめ
人手不足が問題となる中で、顧客のニーズは多様化しており、多くの業務を効率よく進めていくことが求められています。
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