目次
はじめに:ビッグデータとは
ビッグデータとは、総務省・情報通信白書によると「デジタル化の更なる進展やネットワークの高度化、またスマートフォンやセンサー等IoT関連機器の小型化・低コスト化によるIoTの進展により、スマートフォン等を通じた位置情報や行動履歴、インターネットやテレビでの視聴・消費行動等に関する情報、また小型化したセンサー等から得られる膨大なデータ」と定義されています。
つまり、従来から利用されてきた、エクセルでまとめられるような構造化されたデータだけではなく、画像や動画・音声・SNSなどから得られるデータも含めた巨大なデータ群のことをいいます。
参照:総務省・情報通信白書平成29年版
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc121100.html
ビッグデータの分析を進める4ステップ
現在、ビッグデータの利活用を推進する企業が増加しており、大企業だけでなく中小企業にもこの動きが広がっています。
ビッグデータを活用することで、自社に問題点が発生した場合に迅速に「現状把握」ができ、対応も短時間で済みます。
さらに、ビッグデータ内には「新たな価値の創出」のための大きなヒントが隠されている場合が多く、自社の発展への貢献が期待できます。
しかし、現在の日本企業はビッグデータを有効に利活用出来るかどうかという観点では疑問符が付きます。
なぜなら、素晴らしい分析が出来たとしても、それを有効に利活用するためには企業内に適切な土壌が無くてはいけないからです。
まずは、自社の体制をアップデートするために必要な4つのステップを記載します。
自社内組織の作成
ありがちなことですが、分析したデータに触れるのは、データの利活用に直接関係する従業員のみという場合が多いです。
しかし、多くの従業員が日常的にビッグデータへ触れることで、様々な視点が加わり新たな価値の創出へ繋がる可能性もあります。
そのため、多くの従業員が日常からデータに触れる環境を作ることが、自社の利益に繋がります。
とはいえ、全ての従業員がデータの利活用について充分な知識を得ているわけではありませんので、それを補うために従業員への研修やトレーニングも必要になります。
また、ビッグデータの分析と利活用については、世代・部署などによって取組みへの意欲がバラつきがちです。
従業員全体の意識変革のために、社長自らをトップとした新規組織を設置することで、社長と実務者が同じ方向を向いているということを社内外にアピールすることも必要になります。
検証事項の設定
ビッグデータで取り扱う範囲はとても広いため、分析に入る前に検証事項を明確にしておく必要があります。
これを設定することにより、様々なメリットがあります。
まず、検証結果が全て利益に繋がるということは少ないですが、分析に失敗するリスクを減らすことに役立ちます。
また、どのような対象に対してどのようなデータを集めるかを明確にすることが出来るため、発生するコストや工数の削減にも貢献します。
ゴールがはっきりしていれば、そこへ向かう道筋のズレに気づきやすく、間違っていた場合には直ぐに方向修正が出来ます。
さらに、そもそも検証を行うべきかどうかの判断にも役立ちます。
自社が持つ資源は有限なので、リソースを最適に分配するためには、検証を行うべきかどうかという経営判断も必要になります。
データの分析と可視化
集められたデータを分析し、利活用する際にはデータの可視化が重要になります。
あるデータをどのように分析していくのか、分析結果はどうなっているのか、ということは従業員が判断するため、結果は、人間の目で簡単に理解出来るような形でなくてはいけません。
デジタルツールの一種でBIツールというものがあります。
BIとはビジネスインテリジェンスの略で、このBIツールを利用すると、膨大なデータの中から必要な情報の抽出や加工・分析が出来るうえ、結果を視覚的に分かりやすい形で示してくれます。
このようなツールを利用することで、データの利活用のサポートに役立ちます。
分析結果の活用と反映
ビッグデータの分析は、「分析の結果を踏まえて施策を行った」という場面がゴールではありません。
行った施策がもたらした結果をさらに分析し、検証を続けていくことが重要です。
経営環境は常に変化していますし、データ分析はサンプル数が多いほど精度が高まります。
一度限り・単発のものにせず、分析を常に繰り返すことで様々な業務改善に繋がります。
ビッグデータの代表的手法3つ
ここからは、ビッグデータの分析で代表的な手法三つを紹介します。
クロス集計
ビッグデータ分析の基本的な分析手法です。
二つ以上の質問をするアンケートを利用し、回答結果から、年齢や性別・職業などの属性ごとの傾向を分析する手法が一般的です。
カテゴリーごとの相関関係の分析や、大まかなトレンドの発見にも効果が高いです。
エクセルの標準機能で行う事の出来る手法であり複雑な計算の必要も無いため、様々な分野で利用されている身近な手法です。
アソシエーション分析
「Aが起こった場合にはBになるだろう」「商品Aは商品Bと同時に購入されることが多い」というような、一見関連性が見えない二つ以上のデータから、隠れた関連性を見つけ出そうとする手法です。
日本語では「連関分析」と訳されます。
データマーケティングにおいて、消費者の行動から、ある購買パターンを見つけ出そうとするときに活用されてきました。
決定木分析
一つの分析結果について、「〇〇の場合にはどうなるか」という仮説を繰り返すことで、より強い根拠を見つけ出す手法です。
具体的には、クロス集計を繰り返すことでデータを分類し、関連性を見出そうとします。
分析を繰り返すと、数学などで良く使われる樹形図のように枝分かれしていくように見えるため、このように呼ばれます。
一度の分析ではぼんやりとした予測結果になってしまうことが多いですが、複数の要因を踏まえてクロス集計を行うと、消費者の購買意欲や意思決定などについて、効果的な分析を行う事が出来ます。
しかし、あまり細かく分析を続けてしまうとサンプル数が少なくなってしまうため、信頼性が低下してしまうという問題点もあります。
課題とまとめ
ビッグデータは、自社だけでなく他社の重要なデータを含む膨大なデータであり、安全に保管し、適切に使用することが必要になります。
そのため、限定されたアクセス権限を付与したり、セキュリティを向上させたりすることが必須です。
また、ビッグデータの利活用方法が多様すぎるため、それを扱うことの出来る専門性の高い人材が各企業に不足しているということが大きな問題です。
日本において、DX人材は慢性的に不足状態であり、自社内で育成するのか外部へ委託するのか等も含め、自社の方針を定めなくてはいけません。
ビッグデータの分析と利活用は、会社の規模や業種などに関係無く、大きな可能性を秘めています。
その効率や効果を高めるためには、ITツールの利用やDX化を推進出来る人材の育成など、企業には様々な課題があり解決していかなくてはなりません。
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