組み込みエンジニアをこれから目指す方にとって、資格は重要です。
なぜなら、Webアプリ開発やWeb制作とは違いポートフォリオを作りづらいからです。
ロボットや家電製品などのコンピュータ機器が必要となり、採用する企業からしても未経験者のエンジニアの資質を見極めるのは難しいです。
そういったことから、他の人と差をつけるには資格しかありません。
ですので、今回は組み込みエンジニアを目指す方が取得したい資格を3つご紹介します。
◇新卒で組み込みエンジニアとして働き始めた方
◇フリーランスとして独立しようとしている方
◇副業に悩む方
などなど、この記事が皆さんの今後の方針のご参考になれば幸いです。
目次
【前提】組み込みエンジニアとは?
これから組み込みエンジニアに必要な資格について解説しますが、まずは組み込みエンジニアとはどんな職業かを知っておかなければなりません。
組み込みエンジニアとは、家電や自動車など私たちの身の回りにある便利な製品に組み込まれているソフトウェアを開発するエンジニアです。
例えば中身のない自動車は動かないですが、様々な部品やシステムを組み込んで、ようやく走れる自動車が作れます。
このように、製品の中身を作っていくのが組み込みエンジニアの仕事です。
組み込みエンジニアになるために取得したい資格3つ
組み込みエンジニアになるために取得しておきたい資格は以下の3つです。
- 応用情報技術者試験
- 組み込み技術者試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験
下の方にいくにつれて難しくなるので、最初は応用情報技術者試験を目標にしましょう。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験とは、ITに関する応用的な知識を有していることを証明する国家資格です。
具体的には、経営者の方針を理解したり、設計から保守運用までの工程で発生した技術的課題を自分で解決できることを証明しています。
また、この資格はITパスポートや基本情報技術者試験の上に設定されており、合格率は20%程度と難易度が高めです。
ですので、実務経験を有していても対策をしなければ簡単に落ちてしまいます。
応用情報技術者試験の受験者に期待される水準 | |
【受験対象者像】 〇 ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者【期待される技術水準】 〇 ITを活用した戦略の立案、システムの企画・要件定義、設計・開発・運用に関し、担当する活動に応じて次の知識・技能が要求される。 1.経営戦略・IT戦略の策定に際して、経営者の方針を理解し、経営を取り巻く外部環境を正確に捉え、動向や事例を収集できる。 2.経営戦略・IT戦略の評価に際して、定められたモニタリング指標に基づき、差異分析などを行える。 3.システム又はサービスの提案活動に際して、提案討議に参加し、提案書の一部を作成できる。 4.システムの企画・要件定義、アーキテクチャの設計において、システムに対する要求を整理し適用できる技術の調査が行える。 5.運用管理チーム、オペレーションチーム、サービスデスクチームなどのメンバーとして、担当分野におけるサービス提供と安定稼働の確保が行える。 6.プロジェクトメンバーとして、プロジェクトマネージャ(リーダー)の下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができる。 7.情報システム、ネットワーク、データベース、組込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、上位者の方針を理解し、自ら技術的問題を解決できる。 |
先ほども述べたように、応用技術者試験はITパスポートや基本情報技術者試験の上位試験です。
そのため、まずは「基本情報技術者試験」を受けた後に受験するようにしましょう。
お申込みはIPA公式サイトから
組み込み技術者試験
組み込み技術者試験とは、一般社団法人組込みシステム技術協会が実施している試験です。
こちらは先ほど紹介した応用情報技術者試験などと違い、組み込み分野に特化した試験となっています。
この試験には合否判定が存在せず、グレードA~Cでレベルが付けられます。
さらにクラス1と2があり、転職のアピールにしたいのであればクラス1のグレードB以上を目指しましょう。
最初はクラス2しか受験資格はないので、そこで500点以上をとってからクラス1を受験できます。
クラス2では、上級者の指導の下で適切な組み込みシステムが可能なレベルです。
一方、クラス1ではクラス2でのスキルはもちろん、設計からテストまでの工程の知識や分析能力が求められています。
もし受験する場合、先に応用情報技術者試験の資格を取りましょう。
なぜならIT全般について知っておいた方が、組み込み系の知識も理解しやすいからです。
基礎を理解することで、専門的な知識も理解できます。
組込みソフトウェア技術者試験クラス2(エントリレベル) | |
・組込みソフトウェア開発に関するある一定以上の知識があることを判定します。 ・上級者の指導のもとにプログラミング作業を行える技術者に必要とされる知識を問います。 ・大学・専門学校の組込みソフトウェア教育を受けている学生、卒業生、プログラミング経験がなく入社し、社内教育などで育成された組込みソフトウェア・プログラマなど、エントリレベルの技術者が修得していなければならない知識が出題されます。 |
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組込みソフトウェア技術者試験クラス1(ミドルレベル) | |
・“中級技術者”として評価される ・共通キャリアフレームワークレベル3~4相当、ETSSレベル3相当 ・要求、設計工程、それに対応するテスト工程における知識から分析能力までの総合力、 ・現場リーダとして不可欠な、実装、QCD等の知識・能力、実装の実務能力 |
お申込みは組み込みシステム技術協会公式サイトから
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベッドシステムスペシャリスト試験とは、組み込みシステムの開発基盤やシステム全体の設計・構築など幅広い知識が求められる試験です。
取得した方がいいですが、令和5年度秋季の合格率が16.6%とかなり難しい試験なので、チャレンジしたい方のみ受験するといいでしょう。
ただ、30代以降になるとスキルや実績をより求められることになりますので取得は前向きに検討した方が良いかもしれません。
試験の形式は午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱに分かれており、いずれも60%以上を取らなければ不合格です。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の受験者に期待される水準 | |
【受験対象者像】 〇 高度IT人材として確立した専門分野をもち、IoTを含む組込みシステムの開発に関係する広い知識や技能を活用して、市場動向・関連業界の動向を踏まえて最適な組込みシステムの事業戦略や製品戦略を策定し、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様の策定、及び要求仕様に基づいた組込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行う者【受験対象者像】 1.新たな組込みシステムの開発に関し、関連技術動向及び適用可能性、社会的制約・要請、知的財産などの分析結果に基づき、必要に応じて他関連企業の有する技術能力の活用可能性を吟味し、競争力のあるシステムを企画するとともに、付加価値、拡張性、柔軟性などを踏まえ、その展開戦略や開発戦略を策定・推進できる。 2.組込みシステムが用いられる環境条件、安全性、情報セキュリティなどの品質要件を吟味し、実現すべき機能仕様に反映できる。 3.リアルタイムOSに関する深い知識と汎用的なモジュールに対する知識を有し、システムアーキテクチャの合理的な設計、開発された資産の再利用可能性の検討、適切な活用ができる。 4.機能仕様に基づき、プラットフォームの利用や既存製品の再利用可能性の吟味も踏まえてハードウェアとソフトウェアの適切な組合せを設計し、各要求仕様を策定できる。また、その開発を実現し、組込みシステム開発における各工程を主導的に遂行できる。 5.特定の技術・製品分野についての高度で専門的な知識、開発経験を基に、開発する当該分野の技術動向を分析し、必要に応じて外部を含めた専門家から技術上の知識を適切に取得して、組込みシステム開発の各工程に反映できる。 6.組込みシステム開発を行う上で効果的な開発環境の構築と改善ができる。 |
基礎理論やデータベースなど応用情報技術者試験相当の問題の他、さらにレベルの高い知識を問われる試験となっています。
お申込みはIPA公式サイトから
組み込みエンジニアにオススメの資格を取得するための勉強方法【独学】
よくあまり勉強せずに資格試験に挑戦する人がいますが、受験料と時間の無駄になってしまいます。
しっかり勉強してから、試験に臨みましょう。
試験勉強を効率よくしていくなら以下のステップで進むのがオススメです。
- ステップ1:過去問の研究
- ステップ2:教材選び
- ステップ3:問題を解いて、答え合わせをしっかり行う
【ステップ1】過去問の研究
まずは過去問を入手し、研究を行いましょう。
なぜなら、問題の傾向をつかみ、計画を立てやすくするため。よく過去問を後回しにする人がいますが、それはもったいない使い方です。
過去問は実力を確かめるだけのものではなく、どんな問題を出題しているかを知るためにも使えます。
実際、過去問を見ないと何が問われているのかが分からないため、計画も遠回りになりがちです。
意外かもしれませんが、最初に過去に何が出されたのか研究しましょう。
https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/index.html
【ステップ2】教材選び
過去問で傾向をつかめたら、足りない知識を補うため教材を選びましょう。
もし過去問だけで学習すると、解説が何を言っているのか理解できないはず。
過去問そっくりそのままの問題が出るなら、その方法でも良いでしょう。
しかし、それでは丸暗記になってしまうため試験に通用しません。
例えば、数学の問題でとある公式を使った解説があるとしましょう。
公式だけ暗記していると、使い方が分からず解答できないこともあります。
それと同じく、資格試験でも知識を応用する問題には通用しません。
ですので、解説を理解するためにもあなたにあった教材を買い揃えましょう。
【ステップ3】問題を解いて、答え合わせをしっかり行う
教材を選んだら問題を解いていくのですが、答え合わせをしっかり行いましょう。
なぜなら、理解しないまま進むと、ただの暗記になるから。実は、試験勉強する上で大事なのは答え合わせのときです。
答え合わせでは、順序通りの思考で解けたか何が理解できなかったかなどを把握する場でもあります。
正答したかそうでないかも大切ですが、それよりも正しい思考で答えにたどり着けたかが重要です。
実際、実務でも正しい順序で作業を進めていかなければなりません。
ミスをしたときは、上司から何が間違っているのかフィードバックをもらえるので、徐々に正しい方法で作業を進められます。
ですので、知識を正しく使うためにも答え合わせもしっかり行いましょう。
組み込みエンジニアが資格を取得するメリット
取得すべき資格や勉強法は理解できたけど、業務に役立つのかと思うかもしれません。しかし、直接業務とは関係なくても他者へのアピールという点でメリットがあります。具体的には、以下の点がメリットです。
- 転職や客先との面談に有利
- 他者からの信用を得やすい
- 昇給につながりやすい
【メリット1】転職や客先との面談に有利
資格を取得すると、転職や客先との面談に有利です。
なぜなら、どのくらいのスキルを保有しているか明確になるから。
例えば、この記事でも紹介した「応用技術者試験」に合格した人は、内部設計やプログラム設計からプログラム開発まで一連の工程を担当できるスキルを身につけていると判断可能です。
それなら、転職先や客先の担当者はあのシステムの設計を任せたいと思えます。
このようにどのくらいのスキルがあるか明確になるだけでなく説得力も増しますので、メリットとなります。
【メリット2】他者からの信用を得やすい
資格を取るメリットとして、他者からの信用を得やすくなります。
その理由は、IT系の資格は取得するのが難しく、試験に合格できる人なら仕事を任せやすいから。
もし誰でも取得できる資格を持っていても、持ってる人ならではのスキルが評価しにくいです。希少性があるからこそ、この人に任せたいという理由が生まれます。
IT系の資格を取得するのは難しいですが、その壁があるからこそ資格の価値があり取得するメリットと言えます。
【メリット3】昇給につながりやすい
こちらは入社した後の話になりますが、昇給に繋がりやすい点もメリットです。
例えば、以下によって給料を増額できるでしょう。
- 昇進
- 会社の手当
- 担当業務の拡大
昇進
1つ目は、昇進する場合です。
企業によっては、役職につくためには資格を保有していることを条件としている場合や優遇する場合があります。
会社の手当
2つ目は、会社の手当がつく場合です。
企業によっては、資格保有者に毎月手当がつく場合があります。
手当の金額は企業や資格によりますが1~2万円が多いです。
微々たるものと思うかもしれませんが、毎月これだけ多くもらえたら年にすると12~24万の差になります。
担当業務の拡大
3つ目は、担当業務の拡大です。
担当業務が増えると、責任も重くなるのでそれに応じて給料が増えるかもしれません。
仮に給料が変わらなくても、スキルアップを狙えるので転職やフリーランスとして独立するという道も見えてきます。
ですので、転職後すぐに稼ぎたいと思う方はぜひ資格を取ってみましょう。
組み込みエンジニアにオススメの資格はこの3つ!
最後に、これから組み込みエンジニアにオススメの資格をおさらいしましょう。
- 応用情報技術者試験
- 組み込み技術者試験
- エンベデッドシステムスペシャル試験
どの試験もしっかり勉強しないと、実務経験者でも不合格になることがあります。
ですので、これから組み込みエンジニアになりたい方は、なおさら勉強しなければなりません。
これらの資格を取得し、ライバルとの差を広げましょう。
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