2025年大阪・関西万博は、様々な場面でAI技術を活用しています。
当記事では大阪・関西万博で活用されているAI技術の中からパーソナルエージェントや自動翻訳、ロボット案内など、最新事例を紹介していきます。

目次
先進技術が集結!大阪・関西万博はデジタル万博!?

2025年に開催される大阪・関西万博では、AIやロボティクス、バイオテクノロジーなど、最先端のデジタル技術が多数導入されています。
過去の万博でも新たなライフスタイルのきっかけとなる技術が登場してきましたが、今回はとくに「デジタル万博」とも呼ばれるほど、技術革新の発信力に期待が集まっています。
AIをはじめとする革新技術がどのように万博で活用され、どのような未来社会が描かれているのか。
まずは、万博そのものの意義と役割から振り返ってみましょう。
そもそも万博とは?

万博とは、正式には「国際博覧会」または「万国博覧会」と呼ばれる国際的なイベントであり、世界各国が参加し、未来に向けた課題解決や技術を発信する場です。
開催には1928年に締結された「国際博覧会条約」に基づき、博覧会国際事務局(以下、「BIE」)の承認が必要です。
現在の万博は、会場規模によって「登録博覧会」と「認定博覧会」に分類されます。
2025年の大阪・関西万博は、2005年の愛知万博と同じく規模の大きい登録博覧会にあたります。
万博は1851年にイギリスで始まり、かつては国威発揚や技術の見本市的な意味合いが強くありました。
しかし、交通や通信の発達により、1990年代からはその意義が見直されるようになり、1994年のBIEの決議をきっかけに、地球規模の課題解決を目的とする今日的なテーマ設定が義務化されました。
日本ではこれまでに5回開催され、2025年で6回目となります。
万博は現在、世界の課題と向き合い、未来社会のヒントを探る場としてその価値を高めています。
なぜAI?大阪・関西万博の開催意義

大阪・関西万博では地球規模の課題に対応し、持続可能な社会を実現するために不可欠な技術としてAIを活用しています。
そして今回の万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、日本の国家戦略である「Society 5.0」の実現も目指しています。
「Society 5.0」とは、サイバー空間と現実空間を高度に融合し、AIやIoT、ロボティクスなどの先端技術を活用することで、経済成長と社会課題の解決を両立する次世代型の人間中心社会です。
AIはその中核を担い、万博を通じて誰もが技術の恩恵を実感できる社会モデルが提示されます。
たとえば、過去の万博では電話や電気自動車、AEDなど、後の社会インフラに通じる技術が登場しました。
同様に今回の万博では、パーソナルエージェントによる案内支援やAI翻訳など、AI技術が日常生活をどう変えるのかを実感できます。
万博は技術展示にとどまらず、SDGs達成に向けた国際的な協働の場でもあります。
AIの活用は、その象徴であり、大阪をはじめ日本から世界へ新たな未来像を発信する重要な手段となるのです。
参照:
・「開催目的 」EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
AIが活躍する大阪・関西万博の具体的な事例を紹介

大阪・関西万博では、AI技術が来場者体験の質を高める重要な役割を担っています。
ここからは、AIが活躍する具体的な導入事例を5つ紹介していきます。
ユーザーの嗜好に合わせた来場体験を実現
大阪・関西万博では、来場者一人ひとりに最適な体験を提供するために、AIを活用した来場支援アプリ「EXPO2025 Personal Agent」が導入されています。
このアプリは、ひとりひとりに最適化された、“わたしらしい万博体験”をサポートするために設計されたAIガイドです。
Personal Agentでは、ユーザーの興味や行動傾向をAIが分析し、嗜好に合ったパビリオンやイベントをおすすめします。
さらに、施設情報や混雑状況をリアルタイムで把握でき、予約制パビリオンの空き状況も地図上で確認可能です。
ARルート案内も利用でき、トイレなどの経由地を含めた効率的な移動も支援します。
加えてAIが来場者の関心や滞在時間に応じて、一日を充実して過ごせる周遊コースを提案してくれるため、何を見ればよいか迷う方でも、万博を最大限に楽しめます。
また、デジタルスタンプラリー「EXPOクエスト」も用意されています。
クエストの中には、来場者が未来社会のアイデアを投稿し集めた未来社会のアイデアをAIが集合知として可視化する取り組みも展開。
このようにPersonal Agentは、AIを駆使して来場者一人ひとりの体験を最適化し、万博の価値をさらに高める存在です。
参照:
・「来場者向けパーソナルエージェント」EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
大規模言語モデルを活用した来場者対応の効率化
大阪・関西万博では、大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)の導入により、来場者対応の効率化が図られます。
その中でも綜合警備保障株式会社(以下、ALSOK)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)が連携して、万博会場に設置されるアバター案内システムが注目です。
この取り組みでは、NTT Comが提供する国産LLM「tsuzumi」を活用し、アバターによる応対精度の向上を目指します。
たとえば来場者からの質問に対してアバターが即座に対応し、立ち入り禁止区域の案内なども自律的に行います。
アバターだけで対応が難しい場合は、ALSOKのオペレーターに切り替えて適切に対応。
さらに、「tsuzumi」はアバターと来場者との会話記録を自動で要約し、対応傾向の分析や報告書作成を効率化する役割も担います。
これにより、従来手作業だった集計作業が大幅に簡略化され、案内業務の質とスピードが向上します。
このように大規模言語モデルの活用は、万博での安心・安全かつ効率的な来場環境づくりに貢献していると言えるでしょう。
参照:
・「ALSOKとNTT Com、”tsuzumi”を活用して2025年大阪・関西万博でのアバターによる来場者対応をさらに効率化」
NTTドコモビジネス(旧:NTTコミュニケーションズ) オフィシャルサイト
日本開催の万博”に適した翻訳を提供
大阪・関西万博では、日本語を含む多言語による円滑なコミュニケーションを支えるため、純国産翻訳エンジンを搭載した自動翻訳ツールが導入されています。
特に注目されるのが、TOPPANホールディングス株式会社が提供する翻訳アプリ「EXPOホンヤク」です。
日本語を含む30言語に対応しており、来場者はスマートフォンにインストールするだけで無料で利用可能。
アプリには、会場固有の用語約1,200語が事前登録されており、専門用語も正確に翻訳されます。
さらに、「EXPOホンヤク Remote」では、多人数に向けたガイド説明をリアルタイムで多言語に翻訳可能です。
セミナーや講演では「EXPO同時通訳システム」による字幕・音声翻訳も活用され、会場内外の視聴者に配信されます。
このような国産エンジンによる日本語起点の高精度な翻訳は、日本開催ならではの特性に対応しています。
これらAIを活用した取り組みにより、来場者もスタッフも、言語の違いにとらわれることなく万博を楽しめる環境が整えられています。
参照:
・「TOPPANホールディングス、2025年大阪・関西万博向け多言語翻訳アプリ”EXPOホンヤク™”の提供開始」TOPPANホールディングス株式会社
・「自動翻訳システム」EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
AI×ロボットで満足度の高い来客対応
大阪・関西万博では、生成AIとロボットの組み合わせによって、より満足度の高い来場者対応の実現にも取り組まれています。
中でも注目されているのが、多言語対応の対話・案内ロボット「ugo(ユーゴー)」の活用です。
「ugo」は、Osaka Metro中央線の夢洲駅に設置され、来場者との自然な対話を通じて、案内や誘導を行う社会実験が進められています。
このロボットには、NTT西日本グループとNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)が提供する大規模言語モデル「tsuzumi」をはじめとする複数の生成AIが搭載されており、日本語を含む複数言語での案内が可能です。
実際の運用では、駅構内で来場者に自動で声をかけ、質問に多言語で回答することができます。
AIとの連携によって案内精度の向上や個別対応の質も高められ、梅田駅での先行実証では6,000件を超える対話実績があり、課題を踏まえて改善が進められてきました。
このように、AIとロボットの協働は人手不足への対応だけでなく、誰もがストレスなく万博を楽しめる環境づくりにもつながります。
AIがもたらす「おもてなし」の進化が、来場者満足度の向上に寄与していくでしょう。
参照:
・「多言語対応の対話・案内ロボット”ugo”が夢洲駅へ! 生成AI”tsuzumi”等を使用した社会実験を夢洲駅で継続します」
Osaka Metro
未来の事業アイデアを創出
住友グループが運営する住友館において、生成AIを活用した革新的な共創プロジェクト「ミライのタネ」が展開されています。
「ミライのタネ」は、住友グループ各社が保有する700件を超える最先端技術や取り組みをデータベース化し、それらをもとに生成AIが事業アイデアを創出する共創プラットフォームです。
技術提供を行う株式会社知財図鑑は、特許情報を活用してアイデアを生成する独自システム「ideaflow(アイデアフロー)」を基盤として、本取り組みの中核を支えています。
特設サイトでは、誰でも気になるキーワードを選ぶだけでAIが未来のアイデアを生成。
完成したアイデアは世界中の利用者と共有され、人類共通の課題解決に向けた創造的なヒントとなります。
「ミライのタネ」は、万博期間中にとどまらず、閉幕後もアーカイブとして住友グループの公式サイトに残され、未来社会づくりの「レガシー」として継続的に活用される予定です。
このような生成AIが人の創造力を引き出す仕組みは、大阪・関西万博をきっかけに、新たな社会価値の創出につながっていくことでしょう。
参照:
・「大阪・関西万博”住友館”」
まとめ
大阪・関西万博では、AIによって来場者一人ひとりの体験がより快適で楽しいものへと進化しています。
案内アプリや自動翻訳、ロボットとの対話、共創型プラットフォームなど、AIを活用した仕掛けが満載です。
便利でユニークな技術を活用しながら、ぜひ“AIとともに楽しむ万博”を体感してみてください。
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