本記事ではゲーム業界におけるAI活用事例7選を紹介した上で、AIの活用によってどのようなことが実現できるのかを解説します。
キャラクターデザインや世界観の構築、ストーリー展開などさまざまなクリエイティブ制作が必要なゲーム業界において、どのようにAIが活用されているか具体的に見ていきましょう。

目次
ゲーム業界におけるAI活用事例7選

まずはゲーム業界におけるAI活用事例7選を紹介します。
大手企業やスマホゲーム会社まで幅広く取り上げるので参考にして見てください。
それぞれ順番に見ていきましょう。 カプコンでは、ゲーム開発にかかる費用や工数が増大していることが課題になっていました。 特にゲーム空間に配置するオブジェクトのアイディア出しが工数のかかる要素の一つとなっており、現実にある商品をそのまま使うことはできないため、オブジェクトの形状や架空のメーカーロゴをオリジナルで考える必要があります。 一つのゲームで数千から数万程度のオブジェクトを作成しなければならず、採用されないアイディアも含めると数十万にも上るため、大きな負担となっていました。 そこでGoogle CloudのVertex AIを利用し、テキスト出力や画像生成、アイディアの要件評価、プロンプト作成などを行ってもらうことでアイディア出しの時間を短縮しました。 参照: KONAMIでは、実在するキャストやシンガーの歌声を再現する歌唱AIを開発し、様々なゲームソフトで活用しています。キャストの歌声や歌い方、癖などを学習させ、ゲーム内のライブシーンで流れる歌声に利用しています。 歌唱AIを活用すれば、アイドル育成ゲームでプレイヤーの育成状況やゲーム内におけるアイドルの当日の調子や楽曲の難易度に応じて、歌唱表現を変化させることが可能です。 他にも実在するシンガーの歌声を学習させたAIと、音声合成ソフトに歌詞と音符を打ち込むだけでオリジナル楽曲を作成できるゲームソフトもリリースしています。 参照: バンダイナムコでは、アイレット株式会社と膨大な映像の中から目的のシーンを素早く検索できるAIシステム「ClipSearch」を開発しました。 同社では映像制作やデバッグ業務において、膨大なゲームプレイ映像やPV動画の中から、目的のシーンを探す作業に手間がかかっていました。 「ClipSearch」では、膨大な映像データをそのままAIに渡すのではなく、Geminiによって動画をメタデータに変換して、テキスト情報として処理します。 参照: SONYでは、プレイヤーの入力したフレーズや動作によって展開が変わっていくゲーム「Haven Studios」をリリースしました。 これまでもAIを基盤にしたゲームはありましたが、テキストメインでチャットモデルがストーリーを誘導する形で進行するものが主流でした。 AI技術の進化を受けて、プレイヤーが「城」などの短いフレーズを入力すると、フレーズに合わせたフィールドとストーリーが生成されるゲームを開発しました。 プレイヤーはフィールド内に設置されたオブジェクトをタップしてパズルを解きながら、フィールドからの脱出を目指します。 さらに、プレイヤーの没入感を高めるために、拾われたオブジェクトがフィールドから取り除かれるよう、FLUX Devを用いてオブジェクトの背景にあるフィールドの補正も行っています。 参照: スクウェア・エニックスでは、自社で内製したゲームエンジンについて社内から寄せられる質問にSlackと連携して回答するチャットボット「ひすいちゃん」を開発しました。 同社では、ゲームエンジンについて、ゲーム開発部門以外の関係者から日々多くの質問が寄せられており、これらへの回答が開発者の負担となっていました。 「ひすいちゃん」は6,000ページにおよぶドキュメントとSlackで行われた過去のやり取りを全て読み込んだ上で回答するため、予想以上に精度が高く重宝しているようです。 さらに、「ひすいちゃん」は会話が長引いても過去のプロンプトを記憶したまま回答可能なため、毎回同じプロンプトを入力する手間が省ける点もポイントです。 参照: コロプラは画像生成AIの「Stable Diffusion」を提供するStability AI社とパートナーシップを締結し、社員が画像生成AIを安全に活用できるよう社内ルールとして「画像生成AI利用ガイドライン」を策定しました。 AIをアイディア出しやキャラクターラフの量産に利用する中で、著作権侵害や機密情報保持の観点からガイドラインを策定することを決定。 これによって、誰がいつ何をAIに入力して、どういう結果を得たのか社内で検証できるようにしています。 また、ハルシネーション対策として利用時の注意事項を定めたり、AIシステム自体がハッキングされ情報流出が起きないよう、サイバーセキュリティ部門によるチェックと注意喚起を行ったりもしています。 参照: Cygames(サイゲームス)では、AI活用の専門部署「AIテクノロジー」を立ち上げ、AIを用いたゲーム開発の可能性についてチームごとに研究を行ったり、他部署へ知見を共有したりしています。 「AIテクノロジー」部署では、チャットボットの開発、画像生成・動画生成の活用可能性の検証、AIエージェントの研究、強化学習を用いたゲームの自動プレイによるバランス調整やデバッグを行うための研究を行っています。 また、専門部署で培った知見を社内全体へ広げるために「社内紹介制度」を採用。 他にも「AIテクノロジー」チームが全てのAIツールの利用について検証を行うのは困難であるため、ツールを使いたい人に積極的に裁量を譲り、様々なAIツールを積極的に導入できる体制作りも行っています。 参照: 次にゲーム業界においてAI活用によってどのようなことが実現できるのかを解説します。 それぞれ詳しく解説します。 AIの活用によってゲームの開発期間の短縮が可能です。 また、AIでたくさんのアイディアを生成し、その中から良いものを選定できるようになるため、ゲームのクオリティ自体も高められます。 前章で紹介した事例の中にも、作業工数の削減に利用していたり、開発期間の短縮に役立てたりしているものがありました。 参照: 生成AIはプロンプトに合わせたコンテンツ生成が可能なため、プレイヤーの選択やプレイ状況に合わせてストーリーやキャラクターの状態が変化するパーソナライズされたゲームの開発が可能です。 これによって、ゲーム体験が画一的にならず、プレイヤーの没入感を高められます。 前章で紹介した事例の中にも、プレイヤーの選択に合わせてゲーム展開が変化したり、キャラクターのパフォーマンスが変動したりするものがありました。 参照: 今回はゲーム業界におけるAIの活用事例7選と、どのようなことが実現できるかを解説しました。 生成AIの精度が向上したことを受けて、チャットボットやキャラクターデザインなど幅広い分野での活用が進んでいます。
● KONAMI(歌唱AI)
● バンダイナムコ(ClipSearch)
● SONY(Haven Studios)
● スクウェア・エニックス(AIチャット「ひすいちゃん」)
● コロプラ(画像生成AIガイドラインの策定)
● Cygames(AI専門チームの立ち上げ) カプコン(Vertex AI)
Google Cloudでは用途に応じて精度の高いモデルのGemini Proと、高速生成が可能なGemini Flashを使い分けられる点も重宝しているようです。
・「株式会社カプコン の導入事例 」Google Cloud
・「”さまざまな形で生成AIを活用していく”カプコン生成AIでゲーム開発を効率化」Game*SparkKONAMI(歌唱AI)
これによってプレイヤーは、キャラクターの歌声を聴いてアイドルの成長を感じたり、体調を心配したりすることができ、ゲームへの没入感を味わえるようになります。
・「ゲーム内技術紹介シリーズ その①”歌唱AI”とは?」KONAMI コナミ商品・サービス情報サイト
・「AI歌声ライブラリ”LAUGH DiAMOND”シリーズ発売!自由自在な組み合わせでユニット曲を歌わせよう!」コナミバンダイナムコ(ClipSearch)
プロデューサーなど、そのゲームに詳しいメンバーの記憶や経験に依存する属人的な業務体制となっており、関係者以外には厳しい作業であることが課題となっていたようです。
セリフやテロップ、シーンを細かく分割されたテキスト情報にすることで、キャラクターの必殺技シーンなどをテキスト検索で抽出可能になりました。
・「Gemini と Vertex AI Search で膨大な映像資産から目的のシーンを即座に検索!|株式会社バンダイナムコエンターテインメント様の導入事例」cloudpack【クラウドパック】SONY(Haven Studios)
そのため、ゲーム内のオブジェクトなどに特定の動作を加えることや、プレイヤーの行動にペナルティを課すことはできません。
このゲームでは、LLMと画像生成AIを用いてストーリーとフィールドが生成されています。
オブジェクトやフィールドを画像生成AIで作成し、作成されたオブジェクトのリストをClaudeに読み込ませることでパズルの構築が可能です。
・「Haven Studios:機械学習を活用した脱出ゲームを試作」 Sony Interactive Entertainment Japanスクウェア・エニックス(AIチャット「ひすいちゃん」)
また、質問する側が気軽に質問できる環境の整備も求められていたため、国内のサーバーを利用し、顧客データを無断で学習しないAzure OpenAI Serviceを利用して「ひすいちゃん」を開発。
また、質問を受けた際、担当開発者にも「ひすいちゃん」がメンションを付けて回答するため、回答内容に問題があるときは担当者からコメントできる仕組みになっています。
・「スクウェア・エニックスがゲームエンジン活用支援に Azure OpenAI Service を活用、質問に回答する AI チャットやコード自動生成を実現」Microsoftコロプラ(画像生成AIガイドラインの策定)
具体的な内容としては、用途別に使用可能な生成AIを厳密に指定し、生成物とプロンプトを紐づけて保存するなどといった取り決めをしています。
他にもAIに入力して良い情報とそうでない情報を機密性レベルに応じてルール作りしているようです。
・「【コロプラ】Stability AIとパートナーシップを締結 〜AIとの共創に向けて”画像生成AIガイドライン”を策定し、クリエイターの適切なAI技術活用と創造性の向上を目指す〜」株式会社コロプラ
・「“生成AI”が変革するエンタメの未来 ~Stability AIとの提携と、コロプラのAIポリシー~」ピンマーク by ColoplCygames(AI専門チームの立ち上げ)
この制度はAIツールの利用を検討している人が、そのツールの利用に長けた人を紹介してもらい、使い方などのレクチャーを受けることで、社内のAIリテラシーを高めようとする制度です。
・「AIテクノロジーの仕事とは? 一般業務やゲーム開発をAIで加速する【サイゲームス仕事百科】」Cygames Magazine(サイマガ)ゲーム業界でAI活用によってできること
前章で解説した事例を踏まえて見ていきましょう。
● パーソナライズされたストーリー展開の実現
開発期間の短縮
アイディア出しやオブジェクトの作成、ストーリー展開を考える工程でAIを活用すれば、作業工程を削減できます。
・「ゲーム業界×AI|開発期間を削減できる方法とは!?」AI Front Trend
・「ゲーム業界における生成AI活用事例から学ぶビジネス革新戦略」ナンバーワンソリューションズパーソナライズされたストーリー展開の実現
・「ゲーム業界×AI|開発期間を削減できる方法とは!?」AI Front Trend
・「ゲーム業界における生成AI活用事例から学ぶビジネス革新戦略」ナンバーワンソリューションズまとめ
一方で著作権侵害や情報漏洩のリスクに対して適切なルール作りを行なっている事例もありました。
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