デジタル化が進む昨今、選挙におけるインターネット投票や電子投票に注目が集まっています。
しかし日本ではいまだ実現していません。
本記事では、なぜ日本で実現していないのかという理由や、メリット・デメリット、世界の事例を整理・解説します。
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目次
【基本解説】インターネット投票と電子投票とは?
インターネット投票と電子投票は、いずれもデジタルに関する単語が使われているため同じものと思われがちですが、実際は異なります。
インターネット投票は文字通り、パソコンやスマートフォンを通じてオンラインで投票できる仕組みです。
詳細は後述しますが、投票者の利便性が向上するなどのメリットがある反面デメリットも多く、普及には多くの障壁が存在しています。
対して電子投票は投票所に設置されているパソコンなどを使って投票するもので、インターネット投票と違い、実際に投票所に行く必要があります。
開票作業が楽になるというメリットがあり一部の自治体では採用されていますが、デメリットもあり国政選挙ではまだ認められていません。
このように、インターネット投票と電子投票はデジタル技術を用いているものの、仕組みは異なります。
しかし、いずれもデメリットはあるもののメリットも多いため、国政選挙での早期導入が期待されています。
参照:「「電子投票とネット投票」いつになったらできる?」みんなの選挙
インターネット投票・電子投票を導入するメリットを解説
インターネット投票・電子投票を導入するメリットとして以下の4点が挙げられます。
● 若者も参加しやすく投票率の向上が期待できる
● 集計を素早く正確に行える
● 運営費用の削減に繋がる
ここからは、これらの4つのメリットについて詳しく解説します。
いつ、どこでも投票でき、利便性が向上する
インターネット投票・電子投票の導入は、時間や場所に囚われずに投票が行え、利便性が向上するというメリットが得られます。
特にインターネット投票はそのメリットが顕著に表れます。
インターネット投票はいつ、どこでも投票できるため、早朝や深夜に自宅など投票所以外でも選挙に参加することができます。
この技術は従来選挙に参加していた人の利便性が向上するだけでなく、高齢者や傷病者など投票所への移動が難しい人の投票を可能にします。
参照:
・「賛成?反対?電子投票のメリットとデメリット」swissinfo.ch
・「インターネット投票の最前線実現できるか 山積する課題」NHK政治マガジン
若者も参加しやすく投票率の向上が期待できる
インターネット投票・電子投票の導入は、選挙に関心がなく、インターネットの利用が定着している若者の選挙への抵抗を下げ、投票率を向上させることが期待できます。
平成28年に選挙権の年齢が18歳以上に引き下げられましたが、令和3年の国政選挙では全体の投票率が55.93%に対して10歳代が35.42%、20歳代が33.99%と低いままです。
対してその年代の9割前後がインターネットを通じてSNSを利用しており、実際に若者からも、インターネット投票の導入で若い世代の投票率向上を見込む声が寄せられています。
このことから若者の投票率低下が問題であると言われている昨今、インターネット投票・電子投票の導入はその打開策として期待できる存在です。
参照:
・「国政選挙の年代別投票率の推移について」総務省
・「若者が望むのは「ネット投票」「政治身近に感じる情報」」下野新聞digital
・「ネット投票なぜ実現しない? 望む若者 住民票は古里 セキュリティーに課題」山陰中央新報デジタル
集計を素早く正確に行える
インターネット投票・電子投票の導入によって、集計を素早く正確に行えるというメリットが得られます。
紙に氏名を書く従来の投票では、名前の書き間違いによって無効票になってしまったり、書いた文字が読みづらく判別に時間がかかったりするなどの問題がありました。
しかし、画面上に映し出された名前を選択するインターネット投票・電子投票では、そのような問題を防ぐことができます。
また、投票結果はデータとして蓄積されるため、今までのように投票用紙を数える必要がなく、集計作業を素早く正確に行えるようになります。
以上のことから選挙の集計作業をより素早く正確に行う上で、インターネット投票・電子投票は有効な手段と言えるでしょう。
参照:「インターネット投票で政治が変わる?電子投票システムのメリットと課題について調べてみた」データの時間
運営費用の削減に繋がる
インターネット投票・電子投票の導入は、選挙で発生する運営費用の削減に繋がります。
選挙を行う際には投票を行うための会場の借上げ料や、担当する職員や立会人などの人件費といった多くの費用が発生します。
対してインターネット投票・電子投票を導入する場合、投票所を設営する場所が不要になるだけでなく、集計作業などで必要だった人員を削減することも可能です。
そのため、選挙開催時の負担の一つとなっていた運営費用も、インターネット投票・電子投票を導入することで削減されると期待できます。
参照:「インターネット投票で政治が変わる?電子投票システムのメリットと課題について調べてみた」データのじかん
インターネット投票と電子投票のデメリットを解説
インターネット投票と電子投票の導入には、メリットだけでなくデメリットも存在します。
デジタル技術を用いたこれらの投票では「データの漏洩や改ざんなどのセキュリティリスク」が避けられません。
またインターネット投票の場合、上記のリスクに加え「代理投票のリスク」も発生します。
ここからはこれら2つのリスクについて解説していきます。
データの漏洩や改ざんなどのセキュリティリスク
インターネット投票・電子投票は投票情報をデータとして取り扱うため、ハッキングなどによる漏洩や改ざんといったセキュリティリスクが存在します。
巷ではハッキングやウイルスによるインターネット上のサイバー攻撃に関するニュースが絶えません。
国の行く末を決める選挙をインターネット上で行うことで、これらの脅威にさらされるリスクが生じてしまいます。
また、インターネットに接続することが想定されていない電子投票でもセキュリティリスクは存在します。
例えば、出荷前や集計時に投票機器のメモリーを一斉に操作して、投票プログラムを書き換えると選挙結果を予め操作することが可能となります。
以上のように、インターネット投票・電子投票の導入は、従来では存在しなかった、デジタル技術特有のセキュリティリスクが発生する可能性があります。
参照:
・「ネット投票なぜ実現しない? 望む若者 住民票は古里 セキュリティーに課題」山陰中央新報デジタル
・「米国選挙の投票のセキュリティにおける 7 つの虚構」WatchGuard
代理投票のリスク
時間と場所を限定しないインターネット投票は、なりすましといった代理投票が行われるリスクがあります。
従来の選挙では立会人や担当職員の前で行われますが、インターネット投票の場合はいつ・どこでも投票ができるため、投票者以外の人間がなりすまして投票することが起こりえます。
その防止策としてマイナンバーカードの活用が検討されていますが、具体的な本人確認方法については、いまだ技術的に確立されていません。
このようにインターネット投票を行う場合、代理投票が発生するリスクがあり、全国的に導入するためにはこのリスクをクリアする必要があります。
参照:「ネット投票は実現するのか!?従来の選挙を一変するオンライン選挙の可能性」business leades square wisdom
日本でインターネット投票・電子投票が実現しない理由
ここまで紹介してきたように、インターネット投票・電子投票の導入には多くのメリットがありますが、なぜ日本国内では実現しないのでしょうか。それには様々な理由が考えられます。
例えばセキュリティや機器の故障対策などの「技術的なハードル」が挙げられます。
また、インターネット投票の場合、「法律対応」も必要です。
ここからは、これらの理由について詳しく解説していきます。
技術的なハードル
インターネット投票・電子投票を導入するためにはセキュリティリスクをクリアしたり、エラーが発生しないようにするなど様々な対策が必要です。
日本国内の有権者は1億人を超えており、一人ずつ誤りと重複がないようにするためには、広大なネットワークを敷き、莫大なデータを管理する必要があります。
このような技術を導入するためには導入費用が高額になるので、このことも普及の足かせとなっています。
このように、インターネット投票・電子投票を全国的に普及させるには、安全面とコスト面の両方で技術的なハードルを乗り越えなければなりません。
法律対応
投票に関する事項は公職選挙法によって定められており、インターネット投票を導入するためには法律の改正が必要です。
例えば同法第44条では「選挙人は投票所に行き、投票をしなければならない。」とあり、投票所以外での投票を認めていません。
上記以外にも投票所に関する定めは多く、インターネット投票を実現するためには、これらの決まりを一つずつ改正していく必要があります。
参照:
・「ネット投票、実現へ壁高く 公選法「投票所で投票」明記」日本経済新聞
・「公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)」e-GOV
実現している国は?インターネット投票の実施例を紹介
ここからはインターネット投票の実施例として、すでに導入を実現している「エストニア」と「カナダ」の状況について解説していきます。
エストニア
エストニアは北欧にあり、国政選挙で全有権者を対象としたインターネット投票を世界で唯一実現している国です。
エストニア国民であれば配布されたIDカードを使って必要な情報を入力するだけで、タブレットやパソコンはもちろん、スマートフォンからでも投票ができます。
このインターネット投票は、導入当初は全有権者の5%程度の投票にとどまりましたが、2015年の選挙では30%強となり、その利便性の高さから利用者が年々増加しています。
参照:
・「インターネット投票で政治が変わる?電子投票システムのメリットと課題について調べてみた」データのじかん
・世界のインターネット投票 ~エストニアの選挙法とオンライン投票システムInfoComニューズレター
カナダ
カナダにあるマーカム市でもインターネット投票が行われており、導入後に投票率の向上が見られています。
マーカム市では有権者に対して選挙専用のウェブサイトを設置し、候補者の情報だけでなくフィッシング攻撃への注意喚起などインターネット投票に関する情報を発信しています。
その結果、導入時の2003年こそインターネット投票の利用割合は全体の4.5%でしたが、2022年には29.8%まで増加しています。
そしてこの影響は全体の投票率増加にも貢献しており、2003年の26.71%から2022年には32.15%と大幅に向上しました。
参照:
・「北米におけるインターネット投票について」自治体国際化協会
・「世界のインターネット投票(前編) ~オンライン選挙を進める国々の動向」InfoComニューズレター
まとめ
ここまでインターネット投票と電子投票について基本情報やメリット・デメリット、日本国内で導入できない理由と海外の実施例を紹介してきました。
インターネット投票や電子投票にはデメリットの考慮や、法律対応や技術面での壁が大きく立ちふさがりますが、実施例を見てみても多くのメリットがあることが分かります。
そのため、現在、投票率の減少や若者の選挙離れなどの問題を抱える日本にとって、インターネット投票や電子投票の導入は、これらの問題を解決する有効な手段と言えるでしょう。
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