旅行・観光業界は、昨今の新型コロナウイルスによって大きな影響を受けた業界といわれています。
業績悪化を解消すべく、政府が開始したGo To トラベル事業も記憶に新しい方は多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスの流行後、旅行・観光業界では、新型コロナウイルスの流行を機に消費者のニーズをつかんだ、新たな事業を開始する企業が増えたり、別の事業を持つ企業が新たに旅行・観光業に参入したりと、業界自体の在り方が多様化しました。
本記事では、コロナ渦における旅行・観光業界全体の業績やGo To トラベルの効果について説明します。
その後に、Withコロナ時代を走り抜ける旅行・観光業で活躍する企業の事例を紹介します。
目次
Withコロナ時代における旅行・観光業界
新型コロナウイルスが旅行・観光業界にもたらした影響はどのようなものだったでしょうか。
また、状況の改善策として打ち出された「Go To トラベル」によって、業界全体はどのように変わったのでしょうか。
国土交通省の報告した「観光の状況 観光施策」を参考に解説します。
新型コロナウイルス流行前の旅行・観光業界
東北大震災後から、新型コロナウイルスが流行する2020年まで、旅行・観光業界には好調の兆しとなる様々なイベントがありました。
その大きな例が、2013年に決定した、東京オリンピック2020の開催です。
オリンピックの開催により、外国人観光客が急増することを想定し、準備を進める旅行・観光業界も多かったことでしょう。
新型コロナウイルスにより、旅行・観光業界は業績が低迷
業績も好調となる見込みだった旅行・観光業界に大きな影響を与えたのが、新型コロナウイルスでした。
新型コロナウイルスが流行する前から予定されていた修学旅行や遠足がキャンセル、または延期になるケースも多々ありました。
宿泊業界は、運輸業界や小売業界、飲食業界と比べて、新型コロナウイルスによる影響が大きいともいわれています。
そんな中でも、業界全体として最も景気が落ち込んだのが、2020年4月、5月です。
始めて日本で出された、緊急事態宣言が発令された時期でした。
その後も、行動の自粛などの呼びかけから当初の予定とは大幅に下回る動きになりました。
一方で観光業界も、宿泊業と同じく2020年4月、5月に景気がひどく落ち込みを見せています。
そんな中でも、国内旅行はその後の2021年に向かうにつれて景気を回復していきます。
しかし一方で海外旅行は、低迷を続けています。
Go To トラベルの開始
政府は、景気が落ち込む旅行・観光業界に対する方略として、安心して安全な旅を楽しむために、国内旅行を対象に、7月22日からGo To トラベル事業を開始しました(東京は10月開始)。
Go To トラベルの主な支援内容は、旅行代金の割引、地域共通クーポンの付与です。
地域共通クーポンは、旅行先で使えるクーポンのため、地域活性化、活気の取戻しも視野にあったことが考えられます。
Go To トラベルによって、低迷していた国内旅行の宿泊者数が大きく増えました。
さらに東京発着旅行が追加された10月には、さらに大きく伸び、11月には落ち込みの底だった5月に比べて、4倍以上になりました。
参考
https://yamatogokoro.jp/column/corona_casestudy/38509/
https://www.mlit.go.jp/common/001408386.pdf
https://www.jfc.go.jp/n/corona-jirei/
https://www.mlit.go.jp/common/001408386.pdf
Withコロナ時代を走り抜ける旅行・観光業界を紹介
国全体としてはGo To トラベル事業があり、旅行・観光業界の支援がされました。
一方で個々の企業単位では、どのような新型コロナウイルスに対する工夫がされていたのでしょうか。
ここからは、Withコロナ時代を走り抜ける旅行・観光業界を紹介します。
【地域イベント、ツアー×食品ECサイト】株式会社こはく
まず初めに紹介する企業は、着地型体験アクティビティやイベントの企画・運営をする、石川県金沢市にある株式会社こはくです。
こはくでは、新型コロナウイルスが流行る前は、インバウンドを中心に業績を伸ばし、地元近江町の「食文化」に目を向けたツアーが人気のツアーでした。
しかし、新型コロナウイルスを機にインバウンドが激減したため、新たな事業を立ち上げました。
それが、近江町市場でとれた食材や食文化をインターネットショップで販売する、食品ECサイト「イチバのハコ」です。
300年以上、金沢の食文化を支えてきた近江町市場だからできた新たな事業です。
歴史と豊かな食文化を、オンラインでより多くの方々に届けたいという想いから立ち上げました。
食、酒の目利きによって厳選された、地元近江町市場の食文化がたくさんつまったオンラインサイトになっています。
この食品ECサイトのDXにより、実際に足を運ぶことなく、近江町市場に特化した食材や地酒を体験することが可能になりました。
さらに近江町市場の売り上げ向上も期待できます。
参考
https://www.ichibanohako.com/
https://www.in-kanazawa.com/company/
【観光バス業界がプロデュースする、オンラインバスツアー】琴平バス株式会社 コトバスセールス&ツアーズ
次に紹介する企業は、香川県高松市にある香川知事登録旅行業の琴平バス株式会社、コトバスセールス&ツアーズです。
新型コロナウイルスが流行するまで、琴平バスでは、バス事業を要に、旅行事業、タクシー事業などを展開していました。
しかし新型コロナウイルスの流行を機に売り上げが激減し、世界で初となるオンラインバスツアー企画の運びとなりました。
では具体的に、オンラインバスツアーはどのような流れになっているのでしょうか。
ツアーでは、実際のバスツアーのように、行先ごとにツアーの種類が異なっており、興味のある行先を選択してツアーの申込をします。
事前に地元の特産食材などを送付し、実際に楽しめるツアーなどもあります。
オンラインツールを利用して、ガイドさんの挨拶からツアーが始まると、行先までの車窓やバスの運転席からの風景などが画面上に映し出されます。
ツールのチャット機能を通してガイドとコミュニケーションをとることも可能です。
オンラインバスツアーは、その珍しさからも多数メディアで取り上げられ、場所を問わずに全国から楽しめる大人気のツアーとなりました。
このDXにより、足の悪いお客様や、中心となる四国地方から遠く離れたお客様の参加も可能になったため、家に居ながら旅行気分を味わえ、よりたくさんの人が新しい方法でバスツアーを経験できるようになりました。
参考
https://www.kotobus-tour.jp/tour/online/
【新たに観光・旅行業に参入】株式会社能作
新型コロナウイルスによって、売り上げが一気に低迷した観光・旅行業ですが、それぞれの企業がそれぞれの特色ややり方で、新事業立ち上げなどの改善策を打っていることが分かりました。
一方で、コロナ渦で見えた新たなニーズを発見し、新たに観光・旅行業に登録をした企業もあります。
富山県高岡市にある、主に鋳物メーカーを扱う企業、株式会社能作の例を紹介します。
新型コロナウイルスの流行前までは、能作の本社工場には観光客が多数訪れ、地元の産業観光力向上へ貢献していました。
しかし新型コロナウイルスによって観光客が激減したため、地域限定旅行業に登録し、新たに観光・旅行事業を開始しました。
それが、地元の宿とコラボして、製作体験や富山の食を楽しめるクラフト旅「想い旅」です。
「想い旅」では、宿を貸し切って独自の空間づくりを実現させたり、二人だけのクラフト体験を提供したり、プライベートを重視した内容になっています。
記念日旅行や新婚旅行として、予約が殺到するツアーになりました。
参考
https://www.nousaku.co.jp/travel/omoitabi/
多様化する観光・旅行業。観光・旅行業の在り方とは?
新型コロナウイルスを機に、観光・旅行業が自由な形として存在するようになりました。
例えば、本記事で紹介したように、もともと観光・旅行業として収益を得ていた企業が、新形式のツアーなどの提案により、さらなる観光・旅行業の発展を目指していく。
一方では、新事業を立ち上げて違った切り口からも地域活性化を図る。
また、観光・旅行業以外の事業を展開する企業が観光・旅行業に新たに参入する。
このように様々な形式で観光・旅行業を盛り上げることが期待できます。
まとめ
本記事では、コロナ渦における旅行・観光業界全体の業績やGo To トラベルの効果について説明し、Withコロナ時代を走り抜ける旅行・観光業で活躍する企業の事例を紹介しました。
新型コロナウイルスによって浮き彫りになったニーズや、視点を変えた新規事業などにより、更なる成長を遂げる企業が数多くあります。
本記事で紹介した様な、観光・旅行業界以外の事業を持つ企業の新規参入によって生み出された新規ビジネスや、観光・旅行業界全体としての成長が気になる方も多いのではないでしょうか。
多様化する観光・旅行業の今後に期待ができますね。
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