本記事では旅行業界・観光業界におけるAI活用事例7選と、AIを活用することでどのようなメリットがあるかを解説します。
海外旅行者が増え、需要が高まる中で人手不足やオーバーツーリズムなどの問題が顕在化しています。
AIの活用によって、どのように業務効率化や観光地の課題解決、新たな需要創出につなげているのか、順番に見ていきましょう。

目次
旅行業界・観光業界におけるAI活用事例7選

旅行業界・観光業界におけるAI活用事例7選を紹介します。
日本の大手企業や自治体の事例を中心に紹介するので、どのような取り組みが行われているか参考にしてみてください。
● 大阪観光局(多言語対応チャットボット)
● 長崎県(AI旅プラン)
● 京都市観光協会(京都観光快適度マップ)
● ジークラウド・Legal AI(HARUKA.AI(ハルカアイ))
● テラスカイ(デジタルマーケティング)
● ヤマト運輸(多言語対応キャラクターによる案内の効率化)
それぞれ順番に見ていきましょう。
JTB(AIアナリストforツーリズム)
JTBではWebプロモーションの効果を分析し、自動改善ができる「AIアナリストforツーリズム」をリリースしました。
このツールではGoogle Analyticsと連携し、Webサイトへの流入数などのデータを整理しダッシュボードにまとめ、広告やサイトの良し悪しを明示した上で、改善案を具体的に提示するといったことが可能です。
プロモーションの効果をわかりやすく整理し、改善が必要な箇所と併せて可視化してユーザーに提示します。
日々の業務や施設運営に忙しい観光事業者や商業施設の運営企業において効果的なプロモーション施策を効率よく実施できるようになります。
Webサイトや広告からの集客を図りたいものの、Google Analyticsの見方がわからず効果的な施策が見つからない企業などにおいて役立つツールです。
参照:
・「AIのチカラで地域を元気に!観光デジタルプロモーション”AIアナリストforツーリズム”」 JTB法人サービス
大阪観光局(多言語対応チャットボット)
大阪観光局では「GPT-4」を搭載した20以上の言語に対応可能なチャットボットの「Kotozna laMondo(コトツナ ラモンド)」を2023年10月にリリースしました。
20以上の言語に対応したチャットボットは当時日本で初めてであったため、高い関心が寄せられました。
「Kotozna laMondo」は、質問に対して自然言語で返答することから、ユーザビリティも高く、Webサイトの情報更新に合わせて回答内容が自動でアップデートされる仕様のため、管理者の情報更新にかかる手間も軽減可能です。
また、ブラウザだけでなく大阪観光局の公式アプリにも実装され、外国人観光客の利便性向上や、観光案内所・コールセンターの負担軽減につながっています。
参照:
・「観光案内に多言語生成系AIチャットボットを日本初導入」【Kotozna(コトツナ)】
長崎県(AI旅プラン)
長崎県のWebサイト「ながさき旅ネット」では、サイトに掲載された観光スポットを学習させたAIを実装しています。
ユーザーが旅行日程や人数、訪問したい場所、旅程の希望を入力すると、入力された内容を基に旅行プランをAIが作成します。
同時に楽天トラベル等の旅行サイトと連携し、宿泊予約もできるため、簡単に旅行の計画を立て、宿泊予約まで行うことが可能です。
AIには観光スポットの位置情報だけでなく、外部サイトを含む観光データや宿泊先、ご当地グルメ等の情報も登録されており、旅程のトータルプランニングが可能になっています。
サイト内には具体的な利用方法も掲載されているため、AIの使い方に詳しくないユーザーにも配慮されています。
参照:
・「旅行計画はAIにお任せ!あなたに最適なプランを瞬時に作成します 」 ながさき旅ネット
・「自分好みの旅行プランをAIでお手伝い!”AI旅プラン長崎県”」 ながさき旅ネット
京都市観光協会(京都観光快適度マップ)
京都市観光協会では、人気観光スポット周辺にポータブルライブカメラを設置し、リアルタイムでの混雑状況がわかるようにYouTubeで配信を行っています。
配信は市内を中心に15ヶ所で実施されており、観光客はライブ配信を見て混雑状況を確認の上、来訪を検討することが可能です。
また、サイト内ではライブ配信の映像を基に、各地の混雑状況が一目でわかるマップを公開していますが、リアルタイムの情報だけでなく、天気や曜日などのビッグデータを解析したAIによる6ヶ月先までの混雑状況予測も公開しています。
これによって、観光客が混雑状況予測を確認してから旅行プランを検討できるようになるため、オーバーツーリズムの緩和にもつながっています。
参照:
・「混雑回避に役立つ京都観光快適度マップ」【京都市公式】京都観光Navi
・「京都市、オーバーツーリズム対策で混雑状況をAI予測、スマホにマナー情報のプッシュ通知も」トラベルボイス
ジークラウド・Legal AI(HARUKA.AI(ハルカアイ))
AI開発を行う2社による共同開発でAI音声観光ガイドの「HARUKA.AI(ハルカアイ)」が開発されました。
言語機能についてはChatGPTの技術が応用されており、自然言語による対話が可能です。
ユーザーの位置情報から滞在する地域の文化やグルメ等に観光情報を音声で教えてくれるため、会話形式で必要な情報が得られます。
日本語と英語に対応しており、観光客だけでなくホテルや旅館などの従業員が活用すれば、英語が話せなくても外国人観光客と円滑にコミュニケーションを取ることができます。
参照:
・HARUKA – AI観光ガイド – 多言語・音声生成AI(音声ガイダンス)
・「Open AIを活用した英語の音声観光ガイドサービス開始、旅行者への最適な情報提供で満足度高い旅を 」やまとごころ.jp
テラスカイ(デジタルマーケティング)
株式会社テラスカイはJTBとセールスフォース・ジャパンとの合同プロジェクトにおいて公益財団法人ながのコンベクションビューローの観光DXをはじめとする国内15ヶ所の観光地のデジタルマーケティングを支援しています。
観光地の事業者が保有する各所に分散されたデータを一ヶ所に集約し、中心となるプラットフォームに「地域CRM」を構築。
観光客の予約履歴やアンケートなどのデータを統合し、施策立案のサポートをAIが行うことで観光DXを進めています。
参照:
・「地域共創基盤(R)プロジェクト ながの観光コンベンションビューローの観光データ活用基盤一元化に成功」株式会社テラスカイ
・「地域共創基盤®AIレポーター ~生成AIを活用した観光データ分析~ 」 JTB法人サービス
ヤマトホールディングス(多言語対応キャラクターによる案内の効率化)
ヤマトホールディングスはIT企業への出資を行い、羽田空港に生成AI技術を用いた独自の対話が可能なキャラクター「ケンゾウ」が表示されるデジタルサイネージを試験的に設置しました。
「ケンゾウ」は羽田空港内の施設案内や宅急便の配送、一時預かりサービス、鉄道利用などの案内を多言語で行うことができます。
多言語対応の対話型デジタルサイネージによって、スタッフの業務負担と「言語の壁」による外国人観光客の満足度低下といった課題解決に取り組みました。
また、デジタルサイネージに表示されたキャラクターが動作することによって、顧客体験にどのような影響を与えるかも併せて調査しています。
参照:
・「AIを活用した訪日観光客向け観光案内サービスの実証実験を11月12日(火)から羽田空港で開始― 言語の壁による観光の課題解決を生成AI技術で探る」ヤマトホールディングス株式会社
旅行業界がAIを活用するメリット

ここからは旅行業界がAIを活用するメリットを解説します。
前段で見てきたAI活用事例からどのようなメリットがあるのかを紐解いていきましょう。
● 顧客満足度向上
それぞれ詳しく解説します。
人手不足の是正
AIの活用によって、旅行業界の人手不足是正につながることが期待されています。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」によると、「旅館・ホテル業」の51.8%が人手不足に悩まされており、飲食業や小売業などに次いで高い水準です。
時間や回数を問わず問い合わせに対応でき、文書作成やデータ分析を高速で行えるAIの活用によって業務を効率化し、人手不足を解消することが望まれています。
参照:
・「観光業界が抱える問題も生成AIが解決!導入するメリットやデメリットを徹底解説」WEEL
・「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」株式会社 帝国データバンク[TDB]
顧客満足度向上
問い合わせ対応や旅行のプランニングにAIを活用することで、ユーザーは時間を問わず質問することができるようになります。
また、膨大なデータを基にAIが回答すれば、新人やベテランといった経験による対応品質の差もなくなることが期待できます。
また、人流分析による混雑予測を旅行客に対して公開すれば、観光客が混雑する場所や時間帯を避けるようになり、顧客満足度の低下を防ぐことが可能です。
それだけでなく、観光客が分散すれば、オーバーツーリズムの緩和にもつなげられます。
参照:
・「観光業界が抱える問題も生成AIが解決!導入するメリットやデメリットを徹底解説」WEEL
・「オーバーツーリズムなのに訪日観光客数を2倍に?”分散”を実現する観光DX」OPEN HUB for Smart World
まとめ

今回は旅行業界・観光業界におけるAIの活用事例7選を紹介した上で、AIを活用するメリットを解説しました。
新型コロナウイルスの流行が落ち着いて、海外旅行者が増える中で、AIを活用した業務効率化やマーケティング施策はとても重要です。
AIに限らず、デジタル技術全般を駆使して「観光DX」を推進する必要があります。
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