本記事ではカスハラ(カスタマーハラスメント)対策の現状と、AIの活用方法について解説します。
カスハラをめぐる国や自治体の動き、AIでどのようにカスハラ対策を行うのか知りたい方は最後まで読んでみてください。
カスハラは社会問題としても取り上げられており、厚生労働省や東京都においても法整備が進められています。
カスハラとはなにか、AIがカスハラ対応をどのようにサポートするのか、詳しく見ていきましょう。
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目次
カスハラとは

厚生労働省は、カスハラ(カスタマーハラスメント)を以下の3つの要素を満たすものとしています。
②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、③労働者の就業環境を害すること
参照:
・「ハラスメント対策・女性活躍推進 に関する改正ポイントのご案内」厚生労働省
カスハラ対策に向けた動き
カスハラを受けた従業員の被害は深刻なものであるため、厚生労働省や東京都が対策に動いています。
厚生労働省の「令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査について」では、カスハラを受けた従業員の心身への影響として「怒りや不満、不安などを感じた」63.8%、「仕事に対する意欲が減退した」46.1%の順で多い結果となりました。
厚生労働省は2025年、労働施策総合推進法等を改正し、カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化することを制定しました。
東京都でも、2025年4月1日から「東京都カスタマーハラスメント防止条例」が施行されました。
この条例では、カスハラの禁止や事業者の措置として手引きの作成等、必要措置の努力義務などが定められています。
このように従業員をカスハラから守る仕組みづくりが進められており、今後も広がっていくでしょう。
参照:
・令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」厚生労働省
・「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の概要」厚生労働省
・「4月1日から東京都カスタマーハラスメント防止条例を施行します」WEB広報東京都
カスハラ対策へのAI活用事例

次にカスハラ対策としてAIを活用している事例を紹介します。
AIによってカスハラ対策をどのように行っているのか気になる方は参考にしてみてください。
● 電話の声を穏やかな声に変換するAI
● 通話内容の文字起こし・要約AI
● オペレーターをリアルタイムでサポートするAI
それぞれ順番に解説します。
カスタマーハラスメント体験AI
犯罪心理学の知見を活用し、カスハラに共通する会話のパターンを学習したAIによってカスハラの様子を再現し、その応対を行うことでカスハラの疑似体験による訓練が可能です。
AIによって悪質な要求の仕方や声のトーンまで再現されており、臨場感のある体験ができます。
短期間に様々なカスハラのシナリオを経験することで従業員の対応力向上につなげることが可能です。
また、レーダーによって従業員の心拍数や呼吸数の情報を取得し、ストレス状態の確認が可能になっているため、従業員を守るために組織が取るべき対応を検討することにも役立てられます。
参照:
・「犯罪心理学×AIでカスハラから従業員を守る! ~東洋大学と富士通の革新的な取り組み事例~ 」富士通
電話の声を穏やかな声に変換するAI
ソフトバンクではAIを活用した「Emotion Canceling」を開発しました。
これは、電話対応における怒鳴り声などの怖いと感じられる声を、話している内容はそのままに穏やかなトーンに変換するシステムです。
単純に怒りの感情を取り除くだけのシステムだと、相手の想いが伝わらなくなってしまう可能性があることから「怖くない声」に変換するシステムとして開発が行われました。
これによって、対応にあたる従業員の精神的な負担を軽減できる効果が期待されており、同社では2025年度中の実用化に向け、準備を進めています。
参照:
・「社会問題化するカスハラへの対策。東京大学と取り組む威圧的な電話音声をAIで抑制する技術開発」ソフトバンクニュース
通話内容の文字起こし・要約AI
AIによって通話内容の文字起こしや要約、テキストファイルへのタグ付けまでをすばやく行います。
これによって社内での情報共有が効率化され、管理者が従業員の応対について速やかなチェックが可能です。
応対品質向上のためのフィードバックも文面を基に行えるため、従業員の記憶違いや、管理者が内容を詳細にできておらず曖昧なフィードバックになってしまうことを防げます。
参照:
・「AI自動要約でカスハラやトラブルをすぐ発見!固定電話のAI文字起こし要約ならRecACEplus(レックエースプラス)」
オペレーターをリアルタイムでサポートするAI
カスハラを受けている最中に、AIが会話内容を基に次に顧客に伝えるべき内容を考え、画面に表示することで、新入社員であっても応対品質に差が生じないようにできます。
また、AIの補助があるため、新入社員などであっても一人でカスハラ対応を終えられる確率が高まり、業務効率化にもつながります。
参照:
・「コールセンターのAI活用法|クレーム処理を効率化する3つの方法」Hakky Handbook
・「AIでコンタクトセンターを効率化。問い合わせ応対業務支援ソリューションのご紹介」IBM
カスハラ対策にAIを導入するメリット

ここからはカスハラ対策にAIを導入するメリットを解説します。
前章までで見てきたAIのカスハラ対策導入事例から、どのようなメリットがあるかを紹介します。
● カスタマーサポート品質を一定に保てる
● カスタマーサポートの業務効率化
● 効果的な新人研修が行える
● 改善点の分析が容易になる
それぞれ順番に見ていきましょう。
スタッフのストレスや負担軽減
AIがリアルタイムで回答を提案したり、怒りの感情を温和なものに変換したりしてくれることで、カスハラを受けるスタッフのストレスや精神的な負担軽減につながります。
前章で解説したようにカスハラは従業員に大きな精神的ダメージを与えます。
AIが応対をサポートしたり、声色を変換したりすることでクレーム対応にあたる従業員の定着率向上にもつなげられるでしょう。
参照:
・「AI導入による電話対応改革:カスハラ対策としてのポイントとは?」AIさくらさん
カスタマーサポート品質を一定に保てる
AIがカスハラをする顧客への応答を提案したり、カスハラの疑似体験による訓練ができたりすることによって、自社のカスタマーサポートの品質を一定に保ちやすくなります。
カスタマーサポートは従業員の応対力に品質が左右されるため、ベテランと新入社員ではサポートの品質に差が出やすいです。
AIを活用すれば日常的な訓練や対応のサポートができるため、属人性を低減させられます。
参照:
・「AI導入による電話対応改革:カスハラ対策としてのポイントとは?」AIさくらさん
カスタマーサポートの業務効率化
AIの導入によって、カスタマーサポートの業務効率化が図れます。
会話内容の文字起こしや応対にあたった従業員の感情分析が行えるため、カスハラを受けた後に、事例の振り返りがスムーズに進められます。
応対の中で良かった点や改善点を管理者から伝えたり、組織として従業員を守るために必要なことを検討したりすることが可能です。
参照:
・「通話内容のテキスト化する方法とは?実施メリットやツールの選び方を徹底解説! – 電話応対業務をDXするボイスボットサービス」AI Messenger
・「音声の感情認識AIの特徴や活用事例を紹介!コールセンターのクレーム解析などで注目される最新技術!」AIsmiley
効果的な新人研修が行える
AIによって、カスハラを疑似体験させることで効果的な新人研修が可能です。
よくあるカスハラの内容を学習させ、その様子を再現できるAIを開発することで定型的なロールプレイングではなく実際のカスハラに近い形で対応が学べます。
これによってカスハラを受けながら対応を学ぶのではなく事前に経験を積み、新入社員でもカスハラへの対応が一定可能になることや、慣れによる精神的な負担の軽減が望めます。
参照:
・「犯罪心理学×AIでカスハラから従業員を守る! ~東洋大学と富士通の革新的な取り組み事例~ 」富士通
改善点の分析が容易になる
自社商品やサービスの改善点をカスハラの内容から、AIが分析をサポートしてくれます。
カスハラ自体は良いことではありませんが、そのきっかけには自社商品やサービスの改善すべき点が隠れている可能性があります。
AIを使わず人間が改善点を探すと、担当者がカスハラの内容を振り返ることによって精神的な苦痛を感じたり、主観的な判断が入って分析ができなくなったりしてしまうかもしれません。
客観的な分析が得意なAIに分析をサポートしてもらうことで、新たなサービスにつながる種が見つけられる場合があります。
参照:
・「AI(Voice bot)が電話でクレーム対応!? 最新技術と導入メリット、注意点まとめ」AIさくらさん
カスハラ対策はAIと人間が共同で対応することが大切

AIの発展はとても早く、近年大きな進化を遂げましたが、まだ完璧なものではないためカスハラへの対策は人間と共同で行うことが大切です。
AIはイレギュラーな対応にまだまだ弱く、回答の精度も完璧ではありません。
そのため、AIに対応を丸投げせず従業員の対応力向上にも努める必要があります。
また、AIに電話対応を任せる場合は、AIが電話口で対応することに嫌悪感を持つ人も一定数いることに配慮しなければなりません。
参照:
・「AI(Voice bot)が電話でクレーム対応!? 最新技術と導入メリット、注意点まとめ」AIさくらさん
まとめ

今回はカスハラの概要と国や東京都の動き、AIをカスハラ対策に活かす活用例について解説しました。
カスハラは社会的な問題の一つになっており、企業や自治体が一丸となって対応すべき課題です。
しかし、カスハラとクレームの線引きは難しく、従業員側が大きな負担を強いられているのが現状です。
その負担を軽減するためにAIを用いたシステム開発が進められています。
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