IT・ソフトウェアの大手ベンダーというと、米国大手企業のマイクロソフトやオラクルを連想するビジネスパーソンが多いかもしれませんが、欧州ドイツに本社を置くSAP(エス・エー・ピー)も広く知られています。
本記事では、SAPのERPについて、概要からメリット・デメリットまでを簡単にまとめていきます。
SAPは、ERP(Enterprise Resource Planning/企業資源計画)と呼ばれる統合業務管理システム、基幹システムを提供しており、SAP ERPを導入している企業は、日本のみならず世界中にあります。
SAPの本社は、フランクフルトから南の方向に位置するヴァルドルフ(Walldorf)にあります。
ヴァルドルフは、シュツットガルト(Stuttgart)のすぐ近くにある街です。
どちらもバーデン・ヴュルテンベルクと呼ばれる同じ州内にあり、このバーデン・ヴュルテンベルク州は、工業を中心に発展してきました。
そしてシュツットガルトは、ドイツの中でも自動車産業が盛んなことで知られています。
ベンツ、ポルシェ、ダイムラーなどの本社が置かれ、自動車博物館があることも工業都市である特徴です。
目次
SAP ERPの概要
EPRとは?
まずはSAPに限らず、ERPについて少し紹介します。
ERPは、1960年代にMRPとも呼ばれる製造業の業務効率化から始まり、主に販売、経理、人事などの部門間のデータをリアルタイムで共有できるソフトウェアでした。
1980年代には、製造業の競争が激しくなり、新しいソリューションが求められました。
この時、会計から在庫、製造、スケジューリングを統合した新しいバージョンのMRPシステムが誕生しました。
そして1990年、アナリスト企業のGartnerによってERPという言葉が誕生したのです。
時代と共にその言葉に含まれる領域が拡がり、21世紀の現代ではAI(人工知能)やクラウドコンピューティングまで取り入れた情報の伝達や連携を可能にしています。
基幹システムや統合業務管理システムなど、様々な呼ばれ方をするERPですが、目指すところの本質はDX(デジタル・トランスフォーメーション)と似ています。
リアルタイム・インテリジェンスといったテクノロジーを製品開発に活かし、私たちの生活をより良いものへ導くのです。
今後ERPは、これまで以上に柔軟性が求められ、ユーザーのパーソナライゼーションに焦点を当てるものと考えられます。
従業員、顧客、サプライヤーが連携して生産性を高められる機能が求められています。
SAP EPRとは?
続いて、SAPのERPをみていきましょう。
主な機能は以下の通りです。
- 設備資産管理
- 経理・財務
- 製造業
- 研究開発
- セールス
- サービス
- 調達・購買
- サプライチェーン
これらの機能は、クラウドERPのSAP S/4HANA Cloudで利用できます。
また、SAP S/4HANA Cloudは、GartnerよりクラウドERP部門でリーダー認定を受けました。
今後もSAPのERPは、業界を牽引していくでしょう。
SAP ERPのメリット
SAPを含むERPには、一般的に以下の通り大きく6個のメリットがあります。
- 生産性の向上
- インサイトの提供
- レポーティング
- リスク軽減
- ITの簡素化
- 業務の迅速化
クラウド型ERP
クラウド型ERPの場合は、以下の通り10個のメリットがあります。
- 継続的なイノベーション
- コスト削減
- 簡素化と自動化
- 最新機能
- リアルタイム
- モバイルERP
- インテリジェント・テクノロジー
- 高水準のセキュリティ
- 迅速な導入
- 拡張性(スケーラビリティ)
SAP S/4HANA Cloudのようにクラウド型ERPであれば、従来型よりもコストや人的リソースを抑えられるメリットがあります。
そのため、業務管理において柔軟性の高いクラウドERPはトレンドのひとつです。SAP S/4HANA Cloudを含むクラウド型は、自社運用を意味するオンプレミス型と異なり、常に最新のシステム状態を保てること、運用の負担を軽減できることなどがメリットに含まれます。
さらに、クラウド型は従来のスタイルに比べて導入費用自体を安価に抑えることができます。
SAPのERPは、導入プロセスにガイドが付いており、直感的なUIで操作できるメリットがあることも特徴です。
また、自動で継続的にアップデートされるため、セキュリティにも配慮することができ、メンテナンスがしやすい特徴もあります。
このように多くのメリットがあるSAPのERPですが、中でも最も魅力的なメリットは、AI(人工知能)、ML(機械学習)、RPA(ロボット式プロセス自動化)が追加できる点ではないでしょうか。
APIを含む最新のテクノロジーを用いて業務や部門の情報を一元管理することで、パートナー企業との連携も強化され、よりサステナブルな事業の実現を可能にします。
SAP S/4HANA Cloudのpublic edition
次に、SAP S/4HANA Cloudのpublic editionのメリットを紹介します。
すぐ使えるクラウドERPとして知られるSAP S/4HANA Cloudのpublic editionは、導入コストを50%削減することができるメリットがあります。
実際にSAP S/4HANA Cloudのpublic editionを導入したInnotecは、SAP S/4HANA Cloudのpublic editionを取り入れたことで、在庫と生産管理のより良い可視化を実現することができました。
ヨーロッパを拠点に多様な領域における化学製品を開発しているInnotecは、事業をグローバル展開させていく上で、オンプレミス型に戻る必要性を感じないくらい、SAP S/4HANA Cloudのpublic edition導入によるイノベーションを評価しています。
Innotecの事例から、SAP S/4HANAを導入すると、市場の変化への対応力が高まるメリットがあることがわかります。
SAP ERPのデメリット
SAP S/4HANA Cloudに限らず、クラウド型ERPの場合、インターネットへの接続が必要不可欠となるデメリットがあります。
一部の機能のオフライン化はできても、シームレスな一元管理をリアルタイムで実現するには、やはりオンライン環境を整える必要があるでしょう。
震災や災害の多い日本において、もしもの時のインターネット接続環境を考えなくてはならないことは、デメリットでもあると考えられます。
そして、万が一の自然災害だけでなく、日常的に社外からアクセスする際、接続に問題が出ないかという懸念もデメリットのひとつとして挙げられます。
さらに、ERPというとこれまで大手企業が導入するイメージがありましたが、近年では中小企業にも導入が広がっています。
ですが、国内の中小企業向けはまだ認知度がそれほど高くないことから、導入自体を躊躇してしまうケースもあるでしょう。
他にも様々な理由が考えられますが、クラウド型ERPでも、導入時には必要最低限の人的リソースおよび時間を割く必要があります。
人手の少ない中小企業の場合、導入する側のリソース確保もデメリットになる場合があるといえます。
この場合、業界の知見を持つコンサルタントやパートナーを見つけるのも良いでしょう。
SAP ERPのまとめ
SAP ERPの概要、メリットおよびデメリットを簡単に紹介しました。
メリットを細かくみていくと、その数はたくさんあることがわかります。
業務の流れを自動化することで、手作業に頼っていた業務を効率化することができるだけでなく、その他の需要なタスクに時間をあてられるようになるため、最終的には組織全体へ利益をもたらすことに繋がります。
SAP ERPなどの最新ソリューションを用いることで、より価値のある分析が可能になり、ビジネスにおいて実用的な洞察を得ることができるでしょう。
ERPは従来の経理や財務、人事部門だけでなく、関わる多くの部門間で連携することで、これまで以上に非効率なタスクが洗い出され、テクノロジーによって簡素化し、組織全体にイノベーションをもたらします。
これまで複数の異なるプラットフォームに点在しているデータを元に分析業務をしていたビジネスパーソンにとって、SAP ERPは大きな助けとなるかもしれません。
なぜなら、BIレポートだけでなく、その他の多様なアナリティクスレポートをまとめることができ、重要なデータをわかりやすく視覚化、予測し、モバイル端末ですぐに確認できるため、迅速な意思決定ができるようになるからです。
ソフトウェアのITベンダーとして米国大手テック企業が注目される中、長年欧州から自動車産業を中心とした製造業を牽引しているSAPのノウハウを活かしたドイツ発クラウド型ERP、SAP S/4HANA Cloudの今後の動向に注目です。
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