本記事では医療業界における活用事例を取り入れることで医療業界にどのようなメリットがあるのかを解説します。
地方における医師不足や医師の働き方改革が進む中で、医療の質を落とさずに現場の労働環境を改善していくことが求められています。
AIがその中で役立つのか事例を通してみていきましょう。

目次
医療業界のAI活用事例7選

医療業界のAI活用事例7選を順番に紹介します。
AIを搭載した支援ツールの開発や事前問診の自動化など様々な取り組みが行われているので、参考にしてみてください。
● Ubie株式会社(ユビー)
● アナウト株式会社(Eureka α(ユーリカアルファ))
● 東芝(疾病リスク予測AIサービス)
● 富士通(心疾患リスク評価サービス)
● NEC(文書自動作成AI)
● 株式会社FIXER(診療報酬算定支援ツール)
それぞれ順番に見ていきましょう。
オリンパス(EndoBRAIN)
オリンパスは内視鏡画像診断ソフトウェアを開発し、医師の内視鏡検査の効率化や精度向上につなげています。
「EndoBRAIN」では、内視鏡検査中の画像をAIが解析し、ポリープやがんなどの病変や炎症を検出すると、アラートを発出し、検出位置を画像内に枠囲いで表示します。
大腸病変の検出においては感度96.0%と高い精度を実現しており、病変検出から深達度診断までの一連のフローを切れ目なく支援することが可能です。
画像解析にあたってAIに約10万枚の画像を学習させており、腫瘍・非腫瘍の判断も画像からリアルタイムで行える仕様になっています。
参照:
・「内視鏡画像診断支援ソフトウェア EndoBRAIN」 オリンパス医療ウェブサイト
Ubie株式会社(ユビー)
AI問診診断ツールのユビ―では、タブレット端末やスマートフォンに患者が症状を抱えている部位や辛さの内容を入力し、AIがそれに対する質問を行うことで、事前問診の効率化が可能です。
患者にとって医師に直接伝えづらいこともAIになら入力できたり、言い忘れを防げたりする効果も期待できます。
また、事前問診で行われる質問は、AIが患者の入力した内容に基づいて内容を生成するため、固定化された質問をするだけでは聞き出せないことも柔軟にカバーできます。
AIによる事前問診を行ってから医師の診察に進むことで、診察時間をより充実したものにでき、医師が応対する時間も短縮可能です。
なお、ユビ―では、症状検索エンジンを一般ユーザー向けに提供しており、オンライン上で自分の気になる症状を入力すれば、関連する病名を調べられるようになっています。
病院に行く前にある程度自分の症状を調べておくことで、事前問診をスムーズに進められるようになります。
参照:
・「ユビーAI問診とは」 Ubie
アナウト株式会社(Eureka α(ユーリカアルファ))
アナウト株式会社が開発した外科手術の視覚支援プログラム「Eureka a」では、手術中リアルタイムで画像認識を行い、疎性結合組織の位置や領域を推定し、ディスプレイに強調表示します。
これが医師が臓器と臓器の間にある疎性結合組織を剥離する際のサポートとなり、人の目だけで判断するよりも正確に確認が可能です。
2024年4月に手術動画を解析するAIプログラムとして厚生労働省より製造販売承認を受け、2024年7月には「Eureka α」を使用した手術を実施し、国内で初めて成功しました。
参照:
・アナウト株式会社|外科手術を必要とする全ての患者さんに、今まで以上の安全と安⼼を届ける。
・「【国内初*】AIシステム”Eureka α”を使用した手術に成功」兵庫医科大学
東芝(疾病リスク予測AIサービス)
東芝では、1度の健康診断データを基に、6年先までの生活習慣病の発症リスクを予測する「疾病リスク予測AIサービス」を開発しました。
リスクを予測できるのは6疾病(糖尿病・高血圧症・脂質異常症・腎機能障害・肝機能障害・肥満症)です。
健康診断の結果だけでなく、疾病リスクをともに伝えることで生活習慣改善の必要性を認識し、生活改善を促すことが主な狙いです。
また、疾病リスクをユーザーに伝えるだけでなく、リスク改善に寄与する生活習慣改善行動の提案を、各改善行動がリスク減少にどのくらい寄与するのかを寄与度(%)として示してくれます。
これによって、ユーザーは寄与度の高い改善行動を理解し、生活を改めやすくなります。
このサービスはWebAPIで様々な健康管理アプリと連携もできるため、健康寿命の延伸や医療費削減など、ユーザーの健康維持に役立てることが可能です。
参照:
・「疾病リスク予測AIサービス」 東芝
富士通(心疾患リスク評価サービス)
富士通が開発した心疾患リスク評価サービスでは、心電図データをAIが解析し、7種類の心疾患のリスクを評価した上で健診施設を介して受診者へレポートを返しています。
心疾患は無症状のまま進行するため、発見が遅れやすいうえに、心不全に至ってしまうと元に戻ることはないため、早期の発見が重要です。
このサービスでは既に受信した心電図データをAIで評価するため、追加検査を受ける必要がなく、受診者に負担をかけないのが特徴です。
また、提供された心電図データから心機能の低下や不整脈などを読みとり、生活習慣改善のポイントまで受診者へレポートを行っています。
参照:
・「心疾患リスク評価サービス」富士通
NEC(文書自動作成AI)
NECと東北大学病院は、2024年4月に施行された「医師の働き方改革」に向けて電子カルテなどの情報を基に医療文書を自動作成する生成AIの実証実験を行いました。
勤務医の残業時間に上限がかけられるため、医療現場の業務効率化を目指したことが背景にあります。
医師の業務のうち、「記録・報告書作成や書類の整理」が時間外労働の主な原因の一つになっている点に着目し、本ツールの開発が行われました。
箇条書きで症状や治療経過を入力すると、AIが必要な部分を抽出し、報告書に使える文章として出力してくれます。
実証の結果、文章の作成時間を平均47%削減でき、文章表現や正確性についても使用した医師から高い評価を得ることができました。
また、橋本市民病院においても、本ツールを使用した実証実験が追って行われています。
参照:
・「NEC、東北大学病院、橋本市民病院、”医師の働き方改革”に向けて、医療現場におけるLLM活用の有効性を実証」NEC(Japan)
株式会社FIXER(診療報酬算定支援ツール)
株式会社FIXERと順天堂大学は、生成AIを活用した「医療DX」を推進するための共同研究を始めました。
その取り組みとして、FIXERが提供する生成AIサービスを活用して電子カルテの情報を基に診療報酬算定に係る時間を短縮する仕組み作りが行われています。
診療報酬は複雑な仕組みで計算が行われ、2年に1度改訂されるため制度に順応するのは簡単ではありません。
そのため、診療報酬の計算に従来は病院全体で数日を要していましたが、AIサービスの活用によって、数分程度で完了するようになりました。
実際にはAIによる原案作成は数十秒で終わり、これを人間が数分程度チェックするといった流れになっています。
参照:
・「FIXERと順天堂大、生成AIを活用した医療DXへ共同研究 ― 厚労省が補助、電子カルテ情報を基に生成AIで診療報酬を算定 ― 病院の請求業務を省力化、会計システム改修費用を大幅削減へ」株式会社FIXER
医療業界でAIを活用するメリット

医療業界でAIを活用するメリットを2つ解説します。
ここまで紹介してきた活用事例からどのようなメリットがあるのかを紹介するので、参考にしてみてください。
● 医師偏在の是正
それぞれ詳しく解説します。
医師・医療事務の業務効率化
画像解析や過去の診断情報の分析、文書作成などAIによってさまざまな業務の効率化が可能です。
これによって、医療現場の人手不足や過重労働の軽減が期待できます。
厚生労働省の「雇用動向調査」によると、令和5年における医療業界の入職者数は1,266,500人で退職者数は1,157,100人とわずかに入職者数が上回っているものの、人が定着しない状況が続いています。
「働き方改革」が推進される中でAIの活用による労働時間の短縮が急務と言えるでしょう。
また、同調査によると、令和3年の医療業界における退職者数は1,056,400人であり、令和5年にかけて退職者が大きく増えていることがわかります。
このことからも医療現場の労働環境が過酷であることと、人材難が続いていることがうかがえます。
参照:
・「医療の現場でAI活用を進めるメリット・デメリット」株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
・「令和3年雇用動向調査結果の概況」厚生労働省
・「令和5年雇用動向調査結果の概況」厚生労働省
医師偏在の是正
医師の数は都心に集中し、地方では医師不足が発生している地域もあります。
医師の地域偏在は、都心で働くことを望む医師が多く、地方の病院を志望する医師が少ないことなどが要因の一つです。
地方では都心よりも高齢化が進んでいることなどから、医療ニーズも高いため、勤務医の労働環境は過酷なものになっています。
そこでAIによる事前問診を活用した症状の振り分けや、医師の診断や医療事務の業務をAIがサポートすることで、診察できる人数が増え、地方の医師不足緩和につなげられます。
参照:
・「医療の現場でAI活用を進めるメリット・デメリット」株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト
・「医療とAI”現状の課題と今後の展望”」医師のとも
・「医師数増加なのに医師不足?原因は? 医師偏在マップで見えたこと 不足の地域は」NHK
まとめ
今回は医療業界におけるAI活用事例7選を紹介した上で、AIを活用するメリットを解説しました。
医療業界では過酷な労働環境が続いており、業務効率化が必要とされています。
国を挙げて医療DXが推進されるなど、AIだけでなくデジタル技術を総動員した取り組みが行われています。
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