本記事では保険業界におけるAIの活用事例9選を紹介した上で、AI活用のメリットを解説します。
保険業界では保険提案や問い合わせへの回答、保険金支払いの迅速化など様々な場面でAIが活用されています。
AIによってどのような課題解決につなげているか、事例を通して見ていきましょう。

目次
保険業界におけるAI活用事例9選

まずは保険業界におけるAIの活用事例9選を紹介します。
国内の大手企業を中心に取り上げるので、どのようにAIを活用しているか参考にしてみてください。
● SBI生命保険(MOBI VOICE)
● 東京海上日動あんしん生命保険(マネコミ!)
● 住友生命保険(AI-OCR)
● ドコモ(AIほけん)
● SBI日本少額短期保険(FAQシステム)
● あいおいニッセイ同和損害保険(建物損害額算出システム)
● 三井住友海上火災保険(自治体向け防災・減災支援システム)
● 東京海上日動火災保険(ドローン×AIによる保険金支払)
それぞれ順番に見ていきましょう。
東京海上日動火災保険(AI Search Pro)
東京海上日動火災保険は、保険代理店からの問い合わせ業務を効率化するために「AI Search Pro」を開発しました。
同ツールは約100万件の照会応答履歴データを学習させ、用途に合わせてアルゴリズムをチューニングしています。
保険代理店から照会を受けると、AI Search Proが照会履歴などを自動で検索し、類似の照会における回答内容を表示します。
社員は表示された回答内容から回答案の作成に利用したい事例を一つ以上選択すると、回答案が作成されるので、その内容を確認・修正した上で代理店に返信すれば対応完了です。
AIが作成する回答案は8〜9割のケースにおいて有用性が認められており、社員が一から回答を作成する必要がなくなったことから、1件あたりの回答作成に要する時間が約4割削減されました。
参照:
・「複雑性の高い保険料域に特化した照会応答システム”AI Search Pro”を共同開発」東京海上日動火災保険
SBI生命保険(MOBI VOICE)
SBI生命保険では、AI電話自動応答システム「MOBI VOICE」を導入しています。
同社では年末調整や確定申告の時期が近づくと、生命保険料控除証明書を再発行したいという問い合わせが増加していました。
オペレーターの業務負荷が大きく、通常よりも人数を増やして対応しているため、人件費の負担が大きくなっていたようです。
そこでMOBI VOICEとRPAを組み合わせて利用することにより、件数が多く定型的な作業である証明書の発行を完全自動化することに成功しました。
自動応答になったことで営業時間外の受け付けも可能になり、利便性向上にもつながりました。
繁忙期の増員数も削減できたため、人件費の抑制を達成できただけでなく、オペレーターの業務負担軽減にも成功しています。
これによって、証明書再発行手続きにかかる時間を約70%削減できました。
参照:
・「書類請求手続きをボイスボットとRPAで完全自動化、約300時間を削減、苦情もゼロに」モビルス株式会社
東京海上日動あんしん生命保険(マネコミ!)
東京海上日動あんしん生命保険では、自社が運営するオウンドメディア「マネコミ!」において、AIを用いたユーザーとライフパートナーのマッチングを行っています。
メディア内の記事コンテンツを閲覧したユーザーの閲覧データやアンケートに入力された関心事などの情報を基にAIがライフパートナーとの相性を「マッチ度」として自動計算が可能です。
同メディアには貯金・投資といったお金の悩みや結婚・出産・転職などのライフイベントなど、様々なジャンルの記事が掲載されており、各記事に関わったライフパートナーが表示されています。
記事コンテンツの閲覧情報などから算出した「マッチ度」をユーザーに提示し、お金の悩みを相談する相手を決められるため、判断材料の一つにできます。
これによって、ユーザーとの面談機会を確保し、営業のチャンスにつなげることが可能です。
参照:
・「お客様に最適な相談相手をご紹介するマッチングサービスの運用開始」 東京海上日動あんしん生命保険会社【公式】
・お金の悩み相談サービス – マネコミ!〜お金のギモンを解決する情報コミュニティ〜
住友生命保険(AI-OCR)
住友生命は、非定型AI-OCRソリューションの「スマートOCR本人確認書類」を導入しています。
Web上で新規契約が行えるよう手続きの変更を行う中で、本人確認書類のペーパーレス化を検討していました。
そこで、顧客がスマートフォンなどで撮影した本人確認書類の画像読み取りや判定にAI-OCRの活用を始めました。
顧客がアップロードした本人確認書類の画像からAIが運転免許証や健康保険証などの特徴を学習させたAIが読み込み、書類の種類を自動判定します。
さらに、提出書類の中から本人確認に必要となる情報以外の記号やQRコードなどを自動マスキングすることで個人情報取り扱い上のセキュリティの担保が可能です。
これによって、顧客がWeb上で便利に契約手続きを進められ、後続の新契約事務における負担軽減にもつながっています。
参照:
・「“保険×IT×AI”住友生命が”スマートOCR 本人確認書類”を採用~WEB非対面での新契約手続きにおけるお客様の本人確認について、AI-OCR活用によるペーパレス化を実現~」住友生命保険
ドコモ(AIほけん)
ドコモはスマートフォンで簡単な質問に答えるだけで、パーソナルデータをAIが分析し、適切な保険を提案してくれる「AIほけん」というサービスをリリースしました。
AIほけんは自分に合った保険がわからないと悩むユーザー向けに開発されており、回答内容を基にAIが10種類の保険からおすすめ商品の組み合わせを提案してくれます。
提案された商品の月額料金をスマートフォン上で調整すれば、保険金額と補償金額のカスタマイズも可能なため、提案内容を基に自分に適した保険に加入できます。
参照:
・「AIほけん | サービス・機能」NTTドコモ
・「あなたを守るカタチに変わる。ドコモのAIほけん」
SBI日本少額短期保険(FAQシステム)
SBI日本少額短期保険は、各家財保険商品における保険金支払い対象可否を社員が事例ごとに相談できるGPT-4搭載のチャットボットをMicrosoft Teams上にFAQシステムとして開発しました。
このシステムにはこれまで同社に蓄積された様々な家財保険事故における保険金支払い事例を学習させています。
そのため、社員が他部署へ照会を行うことなく事例に応じた回答を得られ、経験値によらない判断が可能になっています
参照:
・「SBI日本少短、生成AIを活用した社内事故対応業務の効率化を実現(SBI日本少額短期保険)」SBI日本少額短期保険 株式会社
あいおいニッセイ同和損害保険(建物損害額算出システム)
あいおいニッセイは、台風などによって被災した建物の損害額をAIで自動算出するシステムを導入しています。
顧客がスマートフォンやパソコンから被災した建物の損害写真を送信するだけで、AIが写真から損害箇所を自動で解析・検出し、瞬時に保険金額を算出します。
このシステムでは、過去の自然災害で被災した建物の損害写真や修理見積などの膨大なデータをAIに学習させており、写真から被害額の算出が可能です。
これによって、顧客は被災した建物の修理見積を業者に依頼する必要がなくなり、保険金の請求手続きをスムーズに進められます。
また、これまでは発災から保険金支払いまで数ヶ月を要することもありましたが、システム導入によって1週間以内の支払いが可能になりました。
参照:
・「【業界初】AIを活用した建物損害額算出システムの導入について」あいおいニッセイ同和損保
三井住友海上火災保険(自治体向け防災・減災支援システム)
三井住友海上火災保険では、自治体向けに「防災ダッシュボード」を開発しました。
このシステムでは、様々な気象・災害データを地図やグラフ上へ一元的に表示することや、過去の災害時における被害状況の振り返りが可能です。
自然災害が発生した際は、AIが搭載された被害推定システムによって発災後の被害規模を地図上で可視化できます。
他にも30時間以上先の洪水予測データなども試算できるため、住民の生命や財産を守る役割の自治体において防災・減災対策として有用です。
参照:
・「”気象・災害データ×AI”による新たな防災・減災支援システムを提供開始」三井住友海上 オフィシャルサイト
・「データや AI を活用した防災 ・減災」MS&ADホールディングス
東京海上日動火災保険(ドローン×AIによる保険金支払)
東京海上日勤火災保険では、自然災害発生時に被災地域をドローンで撮影した画像をAIで解析し、損害調査から修理費の算出まで行うことで迅速な保険金支払いを行っています。
ドローンで撮影した空撮画像をつないで、正確に損害箇所や被害状況が把握できる画像データを作成し、そのデータをAIに読み込ませて損害額を自動的に算出しています。
自然災害は発生すると広い範囲で被害が発生することから迅速な対応が求められている一方で、損害額の算出に時間がかかり、速やかな保険金支払いが難しいとされていました。
しかし、近年では激甚災害が頻発しており、早急な対応が必要とされる中で、今回の取り組みがニーズに対応する一つの方法になると期待されています。
参照:
・「相次ぐ自然災害への対応」東京海上日動火災保険
・「東京海上日動、ドローン&AI活用で保険金支払を迅速化」NEXT MOBILITY
保険業界にAIを活用するメリット

保険業界にAIを活用することで、顧客対応の効率化や「働き方改革」の推進につながります。
また、本人確認書類の自動確認や損害額の自動算出によって、保険契約手続きや保険金支払いの迅速化につながります。
これによって顧客の利便性を向上させることが可能です。
他にもAIがユーザーに適切な保険商品や相談員の提案を行ってくれることから、販売促進や企業・サービスと顧客の結びつきの強化も図れます。
参照:
・「保険業界でのAI活用とは?メリット、事例、支援会社を紹介」接客オンデマンド
・「保険業界のAI活用事例15選完全解説!導入メリット・デメリット、リスクも解説【2025年最新版】」AI Market
まとめ
今回は保険業界におけるAI活用事例9選とAI活用のメリットを解説しました。
AIが単純・定型的な作業以外もこなせるようになったことで活用の幅が広がり、様々な業務に取り入れられています。
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