原材料の多くを輸入に頼っている国内の食品メーカーでは、加速する円安時に原材料の高騰でコスト増となり、経営を圧迫しかねません。
長らく円高傾向で恩恵があったものの、抜本的な変革を望まねば企業の生き残りにも左右するでしょう。
また、食品業界は少子化や顧客の過剰な品質要求から、多くの課題を抱えています。
そこで食品業界の課題解決にDXが必要なポイント、実際のDX事例をここで紹介していきます。
目次
食品業界に関わる大きな課題
食品業界に関わる大きな課題をみていきましょう。
慢性的な人手不足と円安で経営に打撃
食品業界は慢性的な人手不足に陥っています。
少子高齢化により働き手が不足しており、技能伝承も十分に行えていません。
特に中小企業で人手が足りていないのが大きな課題といえます。
さらに、円安や原材料高騰の影響等が経営に大きな打撃となっており、従業員の給与へ還元できず、給与や福利厚生など待遇面が少しでも良い企業が人気となり、より一層人手不足の波が押し寄せています。
参考:
農林水産省 食品作業の働き方改革
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/kikaku/hatarakikata_shokusan/attach/pdf/05_haifu-9.pdf
日本食糧新聞 20年ぶりの円安水準 食品製造業7割超「経営にマイナス」 東京商工リサーチ調べ
https://news.nissyoku.co.jp/news/watanabem20220419070739559
国内市場は少子化で市場が縮小していく
食品業界の国内市場は少子化によって需要が減少し、市場も縮小していく懸念があります。
ただでさえ少子化で国内需要が減っているのに、健康志向の言葉が独り歩きして小食やダイエット機能といった食の多様化も影響しています。
食の多様化によってニーズが激変しますから、メーカーも次々に商品開発を急がなくてはならず、需要に追い付かないことが問題となりえます。
そのため、健康志向の食品や高齢者向けの商品開発、国内市場ばかりに目を向けず、海外にも視野を広げていくことも大事です。
参考:
農林水産省 第4節 食料消費の動向と食育の推進
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r1/r1_h/trend/part1/chap2/c2_4_00.html
BizAppチャンネル 食品業界の抱える課題とは? システム的な解決への手引き
https://www.cloudtimes.jp/dynamics365/blog/what-are-challenges-in-food-industry
高品質・低価格の要求過多~フードロスも深刻化~
食品業界のエンドユーザーは一般消費者となります。
過剰なまでの高品質を求める一方で、牛丼チェーンに代表される低価格帯競争を求めるなど、市場ニーズの激変や顧客の要求過多が、企業の負担を一層加速させていきます。
また、フードロスの深刻化も厳しい問題です。
農林水産省によると令和2年度のフードロスは年間522万トンにも及び、これは日本人一人当たりで年間41キロ、一日当たりになると茶碗一杯分が廃棄されていることになります。
参考:
農林水産省 食品ロスとは
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html
抜本的な改革をしないと経営破綻につながる
仕入れ価格の高騰から商品価格の値上げも致し方ない面があるものの、年収が大幅に上がる見込みのない消費者にとっては、商品が値上げされると購買意欲が湧きません。
食品業界では抜本的な改革を行わないと現状が長続きせず、いずれは経営破綻に陥る恐れがあるでしょう。
食品業界の課題解決にはDX化が必要
食品業界の課題解決にはこれまでの企業概念を大幅に変える必要があります。
そこで、DX化の推進が期待されます。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、AIやIotを活用したデジタル技術で企業風土の変革を担い、競争上で優位に立つことを目指すものです。
食品業界ではDX化を推進することで、どのようなことが可能になるのかみていきましょう。
食品工場はスマートファクトリー化で人的ミスを減らせる
スマートファクトリーは、デジタル技術の活用で工場の業務プロセス可視化等を目指す工場のことです。
人が行っていた作業をAIやIotが対応することで、生産性向上だけでなく、人的ミスを減らせるので品質面の強化も図れます。
一貫管理で現場と生産管理のつながり強化
Iotによる技術で遠隔操作が可能となり、現場と生産管理の連携を強化することが可能です。
これまで現場に赴かないと進捗が分からなかった工場も、離れた場所から進捗管理ができるようになり、工場全体の一貫管理で把握することができます。
慢性的な人手不足を解消
少子高齢化による人手不足解消のカギとなるのがロボットの遠隔操作です。
単純作業なら手作業よりも大幅に時間短縮が可能といえます。
ロボットの導入にはコスト面で賛同できないという企業もあるでしょう。
DXは何もロボットの導入がメインとなるわけではありません。
システムの導入で生産管理の負担も削減できます。
また、RPAというツールを導入して定型業務を事務ロボット化することも可能です。
これらによって手が空くようになった生産管理や事務作業の従業員を、現場の生産や検査工程に配置転換することで、食品工場全体の人員フォローが可能となるでしょう。
フードロスの削減
フードロスは食品業界側が、在庫を持ちすぎることから発生しています。
しかしながら在庫をある程度持たないと、コンビニやスーパーに立ち寄る消費者に対して欠品が生じ、購買意欲どころか来店意欲まで減少してしまいます。
しかし、フードロスは利益を生み出さないので、DXによる変革が必要です。
これまでは経験に基づく曖昧な予測でしかなかった受注も、販売から製造、調達までを需要予測と照らし合わせてAIが判断し、必要な商品を必要な数だけ受注して計画を作り込めます。
このシステムによって作り過ぎとならず、フードロスの削減に努めることが可能となります。
国内企業のDX事例を紹介
食品業界における国内企業のDX事例を紹介していきます。
食品業界の国内DX事例~【日清食品】
2019年には国内年間売上が1,000億円を突破した日清食品のカップヌードルですが、それでもDX化による変革を日々目指しています。
2018年に完全無人の国内スマートファクトリーを設立し、生産ラインには人が一切立ち入らないまま、年間10億食の生産が可能です。
NASA室といわれる集中管理室で工場内を一貫管理しており、設備や温度だけでなく、水、電気に至るまで工場内のすべてを監視できます。
この品質管理システムでは映像とデータが随時確認できるようになっています。
参考:
https://www.uchida.co.jp/system/report/20210016.html
食品業界の国内DX事例~【三島食品】
ふりかけの「ゆかり」を製造している三島食品では、従来から生産状況などボードを活用し見える化していました。
しかしリアルタイムの状況が把握できないことから、他システムのデータをPC上で収集・分析・可視化できるBiダッシュボードを導入しました。
これにより、温湿度管理や稼働状況といった情報をリアルタイムで監視できるようになったのです。
業務データの分析・可視化のため100種類以上の画面を作成し、原材料の異物量や設備の保全状況までも把握できるようになり、工場全体で効率化が図られています。
参考:
https://www.wingarc.com/product/usecase/204.html
食品業界の国内DX事例~【マルハニチロ】
冷凍食品が大人気のマルハニチロでは基幹システムの導入で作業の属人化を無くし、人的ミスを削減することに成功しています。
これまで多かった配合ミス・軽量ミスが激減し、工場ごとに異なる業務プロセスの標準化・効率化を実現しました。
一貫管理による見える化で作業効率だけでなく、品質面でも大きな効果を生み出しています。
参考:
https://www.canon-its.co.jp/case/detail/AvantStage_02.html
食品業界の国内DX事例~【アサヒグループHD】
さまざまな食品を提供しているアサヒグループホールディングスでは、VR(仮想現実)活用により商品パッケージの開発支援を可能とするAIを開発しています。
AIが膨大なデータからトレンドを学習してユーザー目線のデザインを実現し、それをAIが評価するプログラムが入っています。
また、「仮想商品棚生成システム」と「3Dモデル生成システム」を連動し、VRで仮想商品棚を想定して、実際の商品の見え方も消費者目線で学習することが可能となります。
参考:
https://www.asahigroup-holdings.com/pressroom/2020/0824.html
食品業界の国内DX事例~【日本ハム】
日本ハムでは本社のオフィス業務の効率化を求め、SmartHRを導入しました。
これまで約3,000名以上の給与明細を紙で発行していましたが、従業員がパソコンやスマホから給与明細を確認できるようになり、それにかかる工数を削減しました。
また、本社と工場間の情報共有化により、面倒な書類上のやり取りも効率化を図ることができ、印刷搬送費も削減される等、組織全体のペーパーレス化が進んでいます。
参考:
https://smarthr.jp/release/40614
まとめ
少子高齢化における食品業界の課題は多くあります。
「人手不足」「国内市場の縮小」「高品質・低価格による顧客要求過多」「フードロス」といった、これらの課題を解決にはDX化の推進がカギを握っています。
食品業界が生き残るためには、デジタル技術を活用した情報の一貫管理やスマートファクトリーによる人的ミスの解消で、企業風土を変革していくことが大切です。
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