近年ITシステムが進歩し、様々な領域にてITとの連携が見られるようになってきた中で、ITコンサルタントの出番も多くなってきました。
それに伴い、ITコンサルタントのキャリアパスも多様になってきています。
今回はITコンサルタントの方向けに、ITコンサルタントのキャリアパスを徹底解説します。
また理想とするキャリアを実現するには、転職やキャリアチェンジするタイミングがとても重要となってくるため、年代別ITコンサルタントの市場価値についてもお伝えしていきます。
目次
ITコンサルタントのキャリアパスはスペシャリスト寄り
キャリアビジョンを構築していくうえで、スペシャリストに該当するか、それともジェネラリストに該当するかはとても重要なポイントとなってきます。
ITコンサルタントのキャリアパスは、いわゆるスペシャリスト寄りと言えます。
キャリアを築いていくにあたり、ITに関する知見を常に磨き続ける必要のある職種であり、自身の対応可能領域を拡大していくことがキャリアアップを実現していくうえで最重要となるのです。
ITコンサルタントのキャリアパス
ITコンサルタントとしてどのようなキャリアを選択できるかは、当然ながら在籍企業でのジョブオポチュニティに左右されます。
一般的にITコンサルタントであれば、幅広い選択肢の中からキャリアを選定することができます。
ITコンサルタントとしてキャリアアップするには、社内で昇進を目指すか、転職または独立を検討するのがオーソドックスでしょう。
それぞれのキャリアパスについて解説します。
職位やキャリアパスはファームごとに違うのであくまでも参考程度にご覧ください。
在籍するITコンサルティングファーム内で出世
ITコンサルタントとして在籍するコンサルティングファームにて、アナリストレベルからマネージャー・パートナーレベルまでの昇進を目指すキャリアです。
着実に経験やスキルを積んでいくことが重要となりますが、とりわけパートナーレベルへのキャリアアップを目指す場合には「営業力」が必須となります。
目安としては、40歳前後までにパートナークラスへの昇進が実現できるとタイミングとしては宜しいでしょう。
というのも40歳を超えてくるあたりから案件ボリュームが縮小し、社内での昇進が難しくなってくるためです。
なお、転職を通じたキャリアアップも、年齢が上がれば上がるほど難易度が高まりますので、あまりおすすめはできません。
特に異業界・異業種への転職は遅くとも30代のうちに動き出す必要があります。
それ以上の年齢の場合には、独立などを通じたキャリアアップを検討するほうが実現しやすいかもしれません。
なお、社内で昇進していく場合の職位は、次の通りです。
アナリスト
主に、新卒あるいは第二新卒で入社したITコンサルタントが担う職位。
未経験の中途入社の場合にも同職位からスタートすることも。
主な仕事内容は、情報収集・分析と資料作成。
アサインされたプロジェクトにおける細かな業務(事例の調査、スライド単位での資料作成、インタビューの同行 等)を担うことが多く、基本的にはコンサルタントからの指示に沿って動き、プロジェクトに入って実務経験を学んでいく。
コンサルタント
主に、新卒入社から3~4年程度、もしくはITコンサルティング経験者として入社したITコンサルタントが(即戦力のITコンサルタントの場合は含まない)担う職種。
コンサルタントの場合は、アナリストよりも権限が大きくなり、プロジェクトにおける一定領域の実務をまとめる役割を担う。
基本的には、マネジャーの指示に沿って調査分析・資料策等をしたり、プロジェクトに関するディスカッションを行う。
経験を積みつつ、アナリストを部下として持ち始め、アナリスト以上にクライアントサイドとのコミュニケーションを取る場面あり。
マネジャー
主に、新卒入社から7年程度のITコンサルタントが担う職位。
昇進の難易度はかなり高いため、ファーム内でも限られたITコンサルタントにしか任命されない。
プロジェクト全体の進行・管理を担っている他、顧客との折衝、予算管理なども行っている。
パートナー
パートナー職に着任することは、非常に難易度が高い。
コンサルファームの共同経営者として君臨しつつ、代表として営業を行うポジションであるため、純粋にコンサルタントとして求められるスキルに加えて、営業力が問われる。
顧客から受けとる報酬も他の職種と比べて段違いになる。
他のコンサルティングファームへ転職
コンサルティングファームには、総合系・戦略系・財務系・IT系・シンクタンク系など幅広い業種が存在します。
どのようなファームに転職するかで求められるスキルや経験は変わってきますので、転職を検討する際には一度チェックしておくと良いでしょう。
最近では、様々なインダストリーのデジタルシフトに伴い、IT戦略やM&A等のいわゆる花形な部門へ転職するITコンサルタントが増えています。
事業会社へ転職
それまでに培った経験に左右されるものの、30代前半頃まではポテンシャル採用を行う事業会社が大半です。
事業会社に転職して経営企画や情報システム部門に携わり、あらたな領域での経験を積むことを考えるITコンサルタントも多い印象です。
フリーランスITコンサルタントとして独立
近年、働き方改革が進みフレキシブルな働き方を選択する人材が増えてきており、その流れはとりわけIT人材において顕著に表れています。
フリーランス人口1120万人のうち、IT関連に携わるフリーランスはなんと約3分の1(26%)を占めているそうです。
ITコンサルタントもまた、その影響を受けている職種の一つです。
SIerやコンサルティングファームでの経験は、企業のデジタルシフトが注目を集める昨今にて需要がひっ迫しているのです。
自身の得意とするスキルで活躍できる領域がある状況は、フリーランスITコンサルタントとしてのキャリアを選択する上で大きな安心材料と言えるでしょう。
自身が有するITシステムそのものやベンダー選定に関する知見、ITコンサルティングプロジェクトにおけるプロジェクト推進力などをうまくPRすることができれば、ITコンサルティング案件は比較的容易に獲得できる状況です。
しかしながら、フリーランスのITコンサルタントとして継続的に活躍するには、コンサルタントとしての基礎的なスキルやITに関する豊富な知見に加えて、自身でITコンサルティング案件を獲得するための営業力を身に着けておく必要があります。
そのため、フリーランスのITコンサルタントとしての独立後に苦労する方の割合が多いのも現状です。
参考
・「フリーコンサルにおすすめのエージェント21選|単価や年収相場・必要スキルは?」DAINOTE
起業
独立とニアイコールにはなりますが、ある程度経験を積んだ後に起業をするITコンサルタントの方もいらっしゃいます。
起業する際には、先述した独立時しておくべき準備の他に、一緒に働くメンバー探し等、やらねばならないことが多くあります。
将来的に実現したいキャリアパスの中に起業が含まれている方は、企業在籍時からITコンサルタントに関わらずあらゆる分野のプロとネットワークを構築するように意識すること必要となってきます。
また複数のメンバーがいれば、自身のスキルで対応可能な範囲の案件以外も受注できる可能性が大幅にUPします。
そのため、フリーランスとして独立する場合と比較した際には、違った面白さを経験できるキャリアとも言えるでしょう。
キャリアアップするために必要な心得
前述したようなキャリアアップを実現するITコンサルタントの方には共通項があります。
「システムが残る状態をゴールだと思わない」そして「プロジェクトメンバーを自らが動かす」といった心持でプロジェクトに臨んでいることです。
システムが残る状態=ゴールだと思わない
ITコンサルタントの単価は、1日ごとに定められています。
そのため、極端な例えとなりますが、一日の中のコミュニケーションや行動でITコンサルタントとしての介在価値を残していく必要があるのです。
このような心得を常に持っているITコンサルタントは、プロジェクトが終了する時点までたるむことなく、自身のバリューを発揮するよう努めるのです。
一方で、SEやエンジニアなどからITコンサルタントにキャリアチェンジした方の中には、単価が日割りでないことから、「プロジェクト終了後に導入したシステムを継続使用してもらうこと」を目的に業務に励んでしまう方も少なくないようです。
自身の関わる領域を決めつけない
ITコンサルタントとしてプロジェクトに関わる中で、自身の与えられた業務のみに固執してしまう方が多くいます。
もちろん、任せられた領域内で自身のバリューを発揮することは勿論大切です。
しかしながら、時としてクライアントの抱える課題を解決するために、自身の任された領域外にも目を向けられる柔軟性が必要となる場面があります。
その際に柔軟に対応できるITコンサルタントは、プロジェクトチームや関係者を動かすことのできるITコンサルタントへ成長できます。
具体的には、自身の担当領域ではないからといった風に突き返すのでなく、代替案を提案すると言った丁寧なコミュニケーションを意識するという具合です。
そのような対応を積み重ねることで、クライアントからの信頼も厚くなると同時に、自身の知見も広げることにつながるでしょう。
なお、経営・戦略・M&AコンサルタントはITコンサルタントのキャリアパスとして人気があります。
それらの職種はプロジェクトチームのハブとなって、あらゆる専門家やアドバイザーにインタビューなどを実施し、プロジェクト成功へと導く必要があります。
そのため、戦略系コンサルタントなどへのキャリアアップ及びキャリアチェンジの方には、ぜひ持ち合わせていただきたい心得の一つです。
【年代別】ITコンサルタントの転職における市場価値
キャリアアップを実現するためには、理想とするキャリアを実現するためのスキルや経験を有することも大切ですが、『行動に移すタイミング』も大変重要なポイントです。
年代別ITコンサルタントの転職における客観的価値をご紹介しますので、それらを踏まえてネクストキャリアへ踏み出すタイミングを検討してみてください。(なお、採用企業にはコンサルティングファームや事業会社を想定しています)
あわせて年代別の年収についても触れていますので参考にしてみてください。
20代ITコンサルタント
ITコンサルタントにとって、転職にもっとも適した年代と言えます。
なお、20代の最低年収は、430万円~です。
【転職時のポイント】ITコンサルタントとしての業務知実績や知見がを有している場合にはその点をアピールするに越したことはありませんが、まだまだ少ないと思いますので、コンサルタントとしての基本的なスペックをアピールすると良いでしょう。
ロジカルシンキングや企画書作成スキル、コミュニケーションスキルなどは最低限有しておく必要があります。
なお転職する際には、あらかじめ、ネクストキャリアに限らず長期的にどのようなキャリアを歩みたいのかをしっかりと明確化することが大切です。
その際、転職後すぐに年収アップすることは難しいので、転職後にどのようなキャリアアップが見込めるかを検討しておくことがポイントとなるでしょう、
30代ITコンサルタント
30代は、即戦力人材として転職市場における需要が高まる傾向にあります。
30代のITコンサルタント向け求人情報数は、他年代と比較して非常に多く存在しています。
最低年収は、620万円~です。
【転職時のポイント】一目置くようなITコンサルタントでないと実質的に「キャリアアップ」することが難しくなります。
20代の頃と比較して、IT領域における専門性に加え、幅広い業界での豊富なプロジェクト経験があると、転職の選択肢も増えてきます。
それに加え、プロジェクトマネジメント経験があると、さらに市場価値の高いITコンサルタントと評価されます。(グローバルプロジェクトだと尚良い)
40代ITコンサルタント
社内のマネジャーやパートナーとして重宝されるのが、40代のITコンサルタントです。
他方、異業種への転職を機にキャリアアップを狙う際には、プロフェッショナル性を持ち合わせていないと厳しくなります。
なお、最低年収は、800万円~です。
なお40代は、独立してフリーランスITコンサルタントとして活躍する方や起業する方が多い年代層とも言えます。
【転職時のポイント】プロフェッショナル性が強く求められます。
その他、プロジェクト単体だけでなく、コンサルティングファーム経営者同等の視点や知見を持っていることをアピールすると良いでしょう。
「マネージャー職以上の即戦力」×「経営戦略への理解」×「営業スキル」をアピールすることがキャリアアップの肝です。
ITコンサルタントがキャリアアップを実現するためには環境が大切
ITコンサルタントとして理想的なキャリアを構築していくにあたっては、「環境」がとても大切になってきます。
- 社内のトレーニング制度は十分か?
- 社内でのナレッジ共有の仕組みは充実しているか?
特に大手コンサルティングファームによっては、トレーニングが豊富に用意されていたり、社員同士のナレッジ共有の仕組みが大変充実しているのでおすすめの転職先です。
このような仕組みが整っている企業に在籍することで、自らあらゆる情報を吸収し、そして周囲に積極的に情報共有しようとする姿勢が身に付きます。
結果として、そのようなITコンサルタントは、ハイクラスへとキャリアアップしていくことが多いのです。
今一度、ご自身の環境を振り返ってみてはいかがでしょうか?
ITコンサルタントとしてのスキルを見つけていくに不利な環境であると感じたのであれば、転職を検討したり、もしくはフリーランスとしてITコンサルティング案件を経験するなどして、キャリアアップを目指しましょう!
ITコンサルタントが描くキャリアパスのまとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では、ITコンサルタントのキャリアパスをメインにお伝えしました。
また、年代別にみた転職におけるITコンサルタントの市場価値もご確認いただけたかと思います。
ご自身の理想とするキャリアパスによって、最適な転職タイミングは変わってきますので、年代別の市場価値及び求められる要素などを加味したうえで、キャリア設計をしていくことが大切となるでしょう。
そして何よりも、ITコンサルタントが転職や独立を成功させるためには、自身のITコンサルタントとしての市場価値を適切に把握することが肝心です。
フリーランスとしての挑戦を通して、自身の市場価値を知ることも良いかもしれません。
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