本記事ではマーケティングにAIを導入する必要性を解説し、活用事例3選を紹介します。
ユーザーの購買行動がデジタル化したことによって、ビッグデータの活用が進み、マーケティング施策立案において膨大な情報を扱う必要があることから、AIの導入が進んでいます。
AI技術の発展が目覚ましい中で、実際にAIをどのように活用すればよいか悩まれている方も少なくありません。
今後AIに対するリテラシーの格差はますます開いていくことが予想されます。
最後まで読むことで、AIの活用方法とそのニーズの高まりについて理解することができます。
目次
マーケティングにAIが必要な理由
マーケティングにAIが必要な理由は主に次の2点です。
- ビッグデータの台頭
- 購買行動のデジタル化
それぞれ詳しく解説します。
ビッグデータの台頭
ビッグデータを活用する企業が増えていることによって、AIがマーケティング施策に導入するニーズが高まっています。
総務省が公表している「令和2年度 情報通信白書」によると、ビッグデータを「経営企画・組織改革」や「マーケティング」、「製品・サービスの企画、開発」に活用している企業の割合は大企業では約9割です。
中小企業においても半数以上の企業が活用しています。
ビッグデータのような大量の情報を処理し、適切な施策を立案するためには、AIの活用が必須です。
このような背景からマーケティング活動にAIが取り入れられています。
参考
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd132110.html
購買行動のデジタル化
ユーザーの購買行動がデジタル化していることも、マーケティング活動にAIが取り入れられるようになった一因です。
スマートフォンの普及によって、SNSなどユーザーが情報を取得できる経路が増えたため、商品認知から購買までの購買行動の流れの中で、オンラインからの情報収集が行われています。
株式会社電通デジタルが行った「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査」では、購入検討から購買後のフェーズで広くオンラインメディアが活用されており、特に購入検討段階において「ダイエット・健康」カテゴリでは、80%以上の人がオンラインで情報収集を行っていることがわかりました。
オンラインで情報収集を行うユーザーに対して強く訴求するためには、パーソナライズされた広告手法が求められることから、AIのようにターゲットの属性を判断し、広告の適正化を図れるツールの活用が求められています。
参考
https://www.dentsudigital.co.jp/news/release/services/2022-1221-000065
https://kyodonewsprwire.jp/release/202212161328
マーケティングにおけるAIの活用法
マーケティングにおけるAIの活用方法は次の5つです。
- 人流分析
- 需要予測
- 顧客分析によるパーソナライゼーション
- SNSマーケティング
- AIチャットボット
それぞれ詳しく解説します。
人流分析
人々の流れを分析することで、行動パターンに応じた集客戦略を立案することが可能です。
人流分析にAIを活用することで、GPSデータやクレジットカード・QRコードの支払いデータなどの膨大な情報から、人々の大まかな行動パターンを分析できます。
例えば、既存顧客の行動パターンを分析することで、同様の行動を取っている潜在顧客へのアプローチ手法を講じることができます。
また、人流分析は国土交通省や総務省においても地域課題を解決するための糸口として活用が検討されている状況です。
需要予測
AIは販売戦略だけでなく需要を予測することにも用いられます。
日付や曜日、時間帯、地域などの情報と、人口統計データや人流に関する情報を基に、AIが過去の販売データと掛け合わせて需要の予測を立てます。
これによって、仕入量やアルバイトなどの人材投入量を勘や経験に頼ることなく判断することが可能です。
仕入や人件費のロスを抑えられることは、利益率を高めることにつながり、単純な売上アップよりも経営の効率化に寄与します。
顧客分析によるパーソナライゼーション
AIによって顧客別の購買データや属性データを分析し、顧客に対し広告の最適化を行うことで、より効果的なアプローチが可能です。
顧客属性や視聴コンテンツ、購買履歴などから類似する属性の顧客が購入したものや、その顧客属性をターゲットとする商品・コンテンツをリコメンドする機能を搭載することで、見込み顧客の購買行動を促すことができます。
従来はマスメディア等による大枠でのアプローチ手法しか実行できませんでした。
しかし、購買行動がデジタル化したことによって、個別のアプローチが求められており、膨大な情報を瞬時に処理できるAIが活用されています。
SNSマーケティング
SNSにおけるマーケティング戦略にもAIは有用です。
主に投稿内容に対するユーザーの反応率や返信内容の集約と、自社サービス・商品に対する口コミ情報の収集に活用されています。
特に口コミやユーザーからの返信内容は好意的なものか否定的なものかを文脈から類推する必要があるため、人力で行うとかなりの作業量です。
AIにテキスト分析などを行わせることで、リアルタイムで多くの情報を精査することができます。
AIチャットボット
AIチャットボットは、ユーザーの取りこぼし防止や関係構築強化に大きく役立ちます。
AIチャットボットとは、対話形式でユーザーとリアルタイムにコミュニケーションを取りながら、自社製品の案内や問い合わせ対応、発注や配送時間の変更といった手続きを行うことが可能なツールです。
問い合わせ対応を全て人間が行うと時間を取られる上に、対応できる時間に限りがあります。
AIは24時間365日対応可能なため、ユーザーの取りこぼしを防げる上に、AIにキャラクターを搭載することで、ユーザーとの関係構築にも活用できます。
マーケティング分野におけるAI導入の成功事例
本章ではマーケティング分野におけるAI導入の成功事例を3つ紹介します。
ここまで紹介したAIの活用法を自社サービスに上手に取り入れていますので、参考にしてください。
Netflix(ネットフリックス)
Netflixでは、ユーザーの行動を、視聴コンテンツ・視聴時間帯・視聴デバイスやキャスト・監督といった観点からAIを使って分析しています。
その分析結果を基にユーザーの視聴傾向に合わせたコンテンツのリコメンドや、オリジナルコンテンツの制作案に反映させています。
AIの活用によって、ユーザーの好みに合ったコンテンツの推奨とオリジナルコンテンツの制作を可能にし、ユーザーからの支持を得てNetflixは巨大なサービスに成長しました。
参考
https://ai-market.jp/purpose/ai-marketing-analysis/
経済産業省
経済産業省は野村證券と提携し、SNSに投稿された内容をAIで分析し、景況感の把握に利用しています。
具体的にはX(旧Twitter)やブログから「仕事が多い」や「今週は残業で疲れた」等の投稿を抽出し、その件数と株価や為替、製造工業予測指数といったデータを掛け合わせて、鉱工業生産指数(IIP)の予測指標を算出しています。
これによって2ヶ月先までの日本における製造業の動向を予測することができるため、景況感を大まかにつかむことが可能です。
参考
https://www.meti.go.jp/statistics/bigdata-statistics/bigdata_pj_2019/snsai_nomura.html
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/index.html
アスクル
アスクルではカスタマーサポートにAIチャットボットを導入し、業務効率化と顧客満足度向上を目指しています。
2014年から自社ECサイト内にAIチャットボット「マナミさん」を導入。
これまで人間が対応していた問い合わせ件数の約3分の1をAIチャットボットによって代替しました。
これによって約6.5人分の省力化に成功。2016年には配送サービスにもAIチャットボット「アオイくん」を導入しました。
「アオイくん」を注文データと連携することで、領収書の発行や配送状況の確認などをユーザーがいつでも行えるようにしています。
AIチャットボットの導入によって、ユーザーの満足度向上と自社の省人化に大きく寄与しています。
参考
https://askul.disclosure.site/ja/themes/100#communication01
AI活用におけるポイント
AIをマーケティングにおいて活用する際は、その得意・不得意を理解し、適切に業務へ取り入れることが大切です。
AIは膨大なデータを高速処理することや、データ分析が得意です。
反面、クリエイティブや定められたルールの外でゼロから創造することは得意ではありません。
マーケティングにおいて重要なのは、新しい価値を創出することであり、これは新製品を開発することだけではなく、「誰に」「何を」届けるかで生み出される新たな顧客ニーズなども含まれます。
まだ見つけられていない潜在顧客への効果的なアプローチ手法を考える際のデータ分析や、潜在顧客層を定めるための情報収集などにAIを活用し、アプローチ手法は人間が考えるなど、適性に合わせた棲み分けを図れることが、AIを活用する上で重要なポイントになるでしょう。
まとめ
今回は、AIがマーケティング活動に必要な理由とその成功事例を紹介しました。
AIはマーケティング施策を実行していく上で、業務効率化や人間がより高度な業務に集中するために欠かせません。
今後もAI技術の発展はさらに加速し、AIエンジニアのニーズはますます高くなることが見込まれます。
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