金融業界は証券や保険、銀行窓口業務から融資相談、振込み依頼への対応や重要なシステム管理まで、多くの人の手によって支えられています。
オンライン手続きが進んでいるとはいえ、非対面での営業には課題も残されており、デジタライゼーションの余地が垣間見られます。
日本の金融業界でも「DX」が推進されていますが、金融業界のDXを、海外ではどのように進めているのでしょうか。
当メディアを運営するストラテジーテックコンサルティング編集部の海外担当が、課題解決のヒントになりそうな金融DX事例をご紹介します。
目次
金融業界DXのFinTech(フィンテック)時代
フィンテックは金融と技術を融合させたFinancial Technology(金融テクノロジー)を意味します。
デジタル技術を用いた金融業イノベーションが発展し、進歩し続けるフィンテック時代が訪れています。
金融手続きをオンライン上で人と対面することなく完結できる仕組みは、人々の暮らしに関わる大切な社会インフラでもあります。
スマートシティ構想にも繋がるフィンテック時代のデジタル技術とは、どのようなものでしょうか。
金融業界のDXを加速させる銀行オープンAPI
フィンテック時代に欠かせないテクノロジーのひとつに、金融業におけるオープンAPIが挙げられます。
特に銀行におけるDXを加速させるために欠かせない技術が、銀行のデータを活用して低コストに金融サービスを提供する仕組みです。
このオープンAPIがあるおかげで、企業は顧客のオンラインバンキングの個人情報を預かる必要がなくなり、情報漏洩リスクを回避することに繋がります。
オープンバンキングと呼ばれる仕組みにより、企業が独自の商品を設計して販売できるようになったのです。
オープンAPIで可能性が拡大しているフィンテック時代に、海外ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。
早速、海外の事例をみていきましょう。
金融業界のDX海外事例3選
金融業DX事例「生産性の向上とビジネスプロセスの加速に成功したSiemens Finance」
Siemens Financeは、ミュンヘンに本社がある最先端テクノロジー技術を扱うSiemens社の金融サービス・ソリューション事業を担っています。
DXプロジェクトで業務フローを自動化することにより、2万時間以上を節約、内部プロセスの処理時間を87%改善しました。
金融分野において、どのようにプロジェクトを進行すれば改善や成果に繋がるのか、詳しくみていきましょう。
まず気になるのは、金融部門DXプロジェクトに着手した方法です。
新しい金融商品を市場に送り出すビジネスプロセスを、効果的に管理できるオーダーメイドのアプリが開発できるITソリューションを探すことから始まりました。
革新的な金融ソリューションで顧客サービスを改善するため、カスタマイズ可能で且つシンプル、高速、使いやすいソリューションでなければなりません。
そこで選び抜かれたソリューションがWEBCON BPSです。
選定されたポイントは、従来のソースコードを記述していくプログラミング方式とは異なり、視覚的に開発できるローコードプラットフォームが実装されている点でした。
さらには新サービスを迅速に導入する機能や、時間のかかる処理を自動化することで顧客サービスを改善し、ITコストの削減に貢献しました。
人の手によるアナログ業務からデジタルにシフトすることで、紙資源を大切にしている点にエコロジー先進国のドイツらしさを感じることもできます。
参照:)Case study: SIEMENS FINANCE/WEBCON
金融業DX事例「Rabobank BrazilのCoE(センターオブエクセレンス)活用事例」
グローバル銀行の一部であるRabobank Brazilは、ある課題と向き合っていました。
それはフロントオフィスに、次世代テクノロジー技術とクラウド・エコシステムを構築するフィンテック企業であるFinastra社のKondorを導入する業務です。
まずはロンドンにRabobank CoE(centre英/center米 of excellence:センターオブエクセレンス)と呼ばれる研究開発チームを設けることから始めました。
センターオブエクセレンスを配置している海外企業は多く、基本的に社長やCEOのもとで組織内部から横断的にプロジェクトを指揮していく重要な役割を果たします。
さらなる費用対効果の改善施策、各地域に合わせた言語サポート、長期的なメンテナンスを実現するため、今度はCPQi社に声がかかりました。
CPQi社は、本社を置くカナダに加えてアメリカ、チリ、アルゼンチン、メキシコ、コロンビア、ペルーで金融サービスに特化した事業を展開しています。
Finastra社は、同じくフィンテック企業のCPQi社と長期的に持続可能なコラボレーションを実践しているため、この大きなプロジェクトに招かれました。
最終的にRabobankはサンパウロやロンドンに拠点を置く多国籍チームとCPQi社で連携をし、システム開発を実現しました。
CPQi社の安全なネットワークを介した低コストサービスを活用したことで、より多くのブラジル資産取引に貢献できるようになったのです。
参照:)Kondor+ Implementation and Support/CPQi
金融業DX事例「オープンAPIで金融課題に立ち向かうEko India Financial Services」
Eko Indiaはインドの銀行金融サービスエージェントを募り、送金を現金で行う都市部の中間層と貧困層を救済する立場で兄弟によって創設されました。
オープンAPIを使用したことで開発チームの小規模化によるコスト削減に成功し、都市部以外にインド全土の農村部へもエージェント事業を展開しています。
事業開始後、都市部の移民労働者の間で、国内における家庭内送金サービスの潜在的な需要が大きいことが判明しました。
そこで15,000人の金融エージェントを採用し、毎月約100万人の顧客が家族に送金できる環境を整えたのです。
Ekoの技術はエージェントが顧客の代わりに店頭支払いを容易にし、オンライン決済フローを支援する取り組みを目的として構築されています。
そのため「使い易い」は重要なポイントでした。
膨大なコストをかけずに大規模なサードパーティーを連動させる利便性に優れたシステムの開発は、一体どのように行われたのでしょう。
社内にシステム技術開発専門チームを持たない小規模なエージェントも参入できるよう、インド国内の開発者コミュニティーで事前に計画を立てることにしました。
こうしてEko Indiaは課題であった現金主義の顧客を集めることに成功し、インドの店頭送金ビジネスで存在感を増しています。
参照:)Eko Grows Agent Network Tenfold Through Open APIs/CGAP
金融業のDXが進んでいる国と地域
続いて、特にDXが普及している国と地域をご紹介します。
金融業デジタルトランスフォーメーションが社会に行きわたると、私たちの暮らしはどのように変わるのでしょうか。
フィンテック領域の進歩が著しい中国の上海や北京の日常生活に迫ってみましょう。
中国の便利な決済アプリといえば、アリペイとWe Caht Payが有名です。
どちらも母体はコミュニケーションツールとしての役割を主軸としていますが、電子決済アプリとして日常生活に溶け込んでいます。
比較的安価な手数料なので、店舗側も導入しやすいのでしょう。
銀行のオープンAPIで口座と紐づけてオンライン上で決済を完結できる点は日本も同様のサービスが出回っています。
中国ではさらに大都市を中心に顔認証決済システムと連携していることが、もはや当たり前の生活となりました。
スマホがなくても、立ち寄ったコンビニのレジで顔認証をしてタッチパネルで決済方法を選ぶだけで買い物を済ませることができます。
実際に上海在住のビジネスパーソンでWe Chat Payユーザーに話を聞いたところ、さらに便利なデジタルライフを送っていることがわかりました。以下実際に伺った内容です。
- 「駅の改札はQRコードをかざすだけで通過できますし、無人の移動販売AIロボットからコード決済で商品を買うのは特別なことではありません」
- 「オフィス前に人口知能が搭載されたお弁当の販売ワゴンが、自動運転で売りに来てくれます」
オープンAPIに紐づいたシステムと接客対応できる優秀なチャット機能を持つAIを組み合わせることにより、日常生活の景色はますます変化していくでしょう。
海外の金融業DX事例から読み解く課題
これまでご紹介した海外の事例やリアルな生活はいかがでしたか。
金融業DXの課題が見えてきた方も多いのではないでしょうか。
たとえば、どんなに金融業DXが進んでもオンラインバンキングや決済アプリが普及していなければ足並みが揃わない可能性も考えられます。
顔認証のシステムだけ存在していても、内部をシームレスに繋いでいく環境が整っていなければマーケティングに活用することも難しいでしょう。
既存の組織体制や環境が高い壁となる事態も想定されます。
環境の面から言えば、AI自動運転によるコード決済付きの販売ワゴンを活用したい場合、車道を走れないロボットは歩道を移動する必要があります。
日本の高い人口密度に加えて歩道が狭ければ、AIを搭載した販売ワゴンが問題なく移動できる道幅の確保が課題のひとつになることでしょう。
つまり、どのようにデジタル人材を活かし、サービスに適した環境を整えていくかが課題として捉えられます。
金融業DXの海外事例のまとめ
国際的な視点から金融業DXの海外事例を振り返りましょう。
単に外部の専門家に頼るのではなく、組織を横断的に導いていく研究チームを配置していかに全体を最適化していくか、会社のあり方も問われているのが金融業DXの特徴です。
且つ、グローバル展開の多いフィンテック業界には、より一層高い水準でのセキュリティ対策が求められています。
サイバーセキュリティに強いシステム構築に加えて、専門のコンサルタントやエンジニアと会社全体が連携していくことが求められるのではないでしょうか。
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