SAPの2025年問題とは?企業が今から備えるべき対策を解説

DXを推進する上で、「SAPの2025年問題とは何か?」「なぜ今注目されているの?」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。

SAP ERP 6.0(ECC)のサポート終了により、世界中の企業で大規模なシステム刷新が求められており、日本企業にとっても重大な経営課題となっています。

この記事では、「SAPの2025年問題」の基本知識から、日本全体の「2025年の崖」との違い、そして実際に起きた企業事例を踏まえた備え方まで、分かりやすく解説します。

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SAPの2025年問題について解説

「2025年問題?2025年の崖?何が違うの?」「よく聞くSAPとは何?」とよく分からず不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

ここからは、そんな疑問を解消するために、以下の3つの観点から解説をしていきます。

  • そもそもSAPとは?ERPの基礎知識を解説
  • SAPの2025年問題とは
  • 混同しやすい「2025年の崖」について解説

そもそもSAPとは?ERPの基礎知識を解説

SAP(エスエーピー)とは、世界中の企業で導入されている代表的なERP(基幹業務システム)ソフトウェアのひとつです。

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、企業の人事・会計・生産管理・在庫管理などの基幹業務を一元管理するシステムのことです。

業務ごとに異なるシステムを使うと情報の連携が難しくなりますが、ERPを導入すれば各部門のデータを一つに統合でき、業務の効率化や経営判断の迅速化につながります。

数あるERPの中でもSAPは、ドイツの「SAP SE」が提供しており、世界180か国以上で利用されています。

SAPの特徴は、あらかじめ多くの業務機能が標準搭載されており、企業の業種や規模に応じて柔軟にカスタマイズできる点です。

また、大量のデータ処理に強く、複数言語・通貨への対応やグローバル展開にも適しているため、製造・流通・金融など幅広い業界で導入されています。

このように、SAPとは企業の複雑な業務を一元的に管理・最適化するERPの代表的な存在であり、企業競争力を高める重要なインフラといえるでしょう。

参照
SAP とは? SAPジャパン

SAPの2025年問題とは

「SAPの2025年問題」とは、同社が提供する従来型システム「SAP ERP 6.0」や「SAP Business Suite」のサポート提供が終了することを指します。

当初の終了時期は2025年末とされていましたが、現在は一部が2027年末まで延長され、「2027年問題」とも呼ばれています。

延長保守契約を結べば2030年末までサポートを受けられますが、この猶予は本質的な解決ではなく、企業はそれまでに新たなシステムへの移行が求められます。

対象となるSAP ERPは、国内でも約2,000社に導入されており、多くの企業が事業の基盤を刷新する必要に迫られています。

新システム「SAP S/4HANA」への移行は不可避ですが、構造が大きく異なるため、単純な切り替えでは済みません。

コストや工数がかさむうえ、専門人材の不足も課題です。また、システムの複雑化が障壁となるケースもあります。

実際に移行中のトラブルで、業務が停止した例も報告されています。

このように、SAPの2025年問題は単なる保守切れにとどまらず、企業の安定運用や競争力に直結する重大な経営課題なのです。

参照
SAPがサポート終了!2025年(2027年)問題と対応方法を紹介 Digital Library

混同しやすい「2025年の崖」について解説

「2025年の崖」と「SAPの2025年問題」とは異なります。

「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に「DXレポート」で示した概念です。

企業が老朽化したITシステムを使い続け、DXを進めなければ、2025年以降に最大年12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしています。

その背景は、IT人材の不足や技術導入の遅れ、さらに多くの日本企業が抱える「レガシーシステム」の問題です。

レガシーシステムとは老朽化・複雑化した既存システムのことで、技術的な更新が困難なうえ、保守にかかるコストが高騰するという問題を抱えています。

これらの課題が企業の競争力を奪い、日本全体が世界のデジタル化に取り残される懸念があるのです。

「SAPの2025年問題」は特定製品のサポート終了を指すのに対し、「2025年の崖」は日本企業全体が直面する構造的な危機という違いがあります。

SAPの2025年問題を乗り越えるには対策が必須

現行SAPシステムを利用中の企業にとって、対策を講じることは不可欠です。

サポート終了後も現行システムを使い続けると、セキュリティリスクの増大や保守コストの上昇など、経営に深刻な影響を及ぼしかねません。

ここでは、代表的な選択肢を3つ紹介します。

まず、SAPが推奨する「SAP S/4HANA」への移行が最も一般的です。

最新のインメモリ技術により、高速なデータ処理や業務プロセスの自動化、パフォーマンス向上が期待できます。

次に、OracleやMicrosoft Dynamics 365など、他のERPベンダーへの乗り換えです。

自社に適した基幹システムを再構築する機会となりますが、乗り換えには時間やコストがかかり、業務への影響も大きいため慎重な検討が必要です。

最後に、どうしても移行が難しい場合は、現在のSAP ERP 6.0を延命する方法もあります。

延長保守契約を締結すれば2030年末までサポートを受けられますが、コスト負担が重く、根本的な解決には至りません。

いずれの選択肢を選ぶにせよ、デジタル戦略を踏まえた早期の判断と計画策定が不可欠です。

参照
迫りくるSAPの2025年問題は?サポート終了の企業の選択肢も解説 Deha magazine
SAPの2027年問題とは?移行の注意点を解説 NECソリューションイノベータ

コンタクトアースマッチング公式サイト

先行企業の動きに学ぶ対策のヒント

ここからは2025年問題にいち早く対応した先行企業で、以下の2つの出来事から対策のヒントを解説していきます。

  • 江崎グリコのシステム障害
  • ユニ・チャームの更新に伴う不具合

それぞれ順番に見ていきましょう。

江崎グリコのシステム障害

企業が基幹システムを移行する際には、細心の注意を払う必要があります。

江崎グリコ株式会社では、複数年にわたるプロジェクトで基幹システムを再構築し、2024年4月に全面移行を実施しました。

しかし移行後に発生したトラブルにより、全国の物流センターで出荷業務に支障が生じ、チルド食品の出荷が一時停止する事態となりました。

影響は自社製品だけでなく、販売委託先の商品にも及び、業績にも大きな打撃を与えました。

このような事態を防ぐためには、事前のリスク洗い出しや現場業務との綿密なすり合わせ、十分な検証作業が欠かせません。

特に、受発注や在庫管理を担うシステムでは、小さな不整合でも大規模な混乱につながります。

基幹システムの移行は単なる技術更新ではなく、経営そのものに直結する重要プロジェクトです。

企業がDXを推進する中で、システム移行プロジェクトの成否が経営に与える影響は年々大きくなっています。

こうした教訓を踏まえ、移行に際しては充分な検討時間と準備を確保することが極めて重要です。

参照
プリンや眼鏡レンズの出荷停止、システム障害の影響長期化…企業のDXに立ちはだかる障壁とは 読売新聞オンライン
グリコのシステム障害のまとめ セキュリティ対策 Lab

ユニ・チャームの基幹システム更新に伴う不具合

システム移行時には、専門性の高いコンサルティング会社を活用することが重要です。

ユニ・チャーム株式会社では、2024年のゴールデンウィーク期間中に基幹システムの更新を実施しました。

しかし、更新後に新しい基幹システムと物流システムの接続部分でデータ連携に不具合が発生しました。

さらに、連休明けに注文が集中したことでデータ処理が追いつかず、納品遅れが広がることに。

特に、自治体向けの紙おむつ給付事業にも影響が及び、一時的に出荷停止措置が取られる事態となりました。

こうしたトラブルを防ぐためには、システム導入や運用に精通したコンサルティング会社を活用し、プロジェクト全体を俯瞰しながらリスク管理を行うことが重要です。

また、社内にCIO(Chief Information Officer)を配置し、情報システム全体を統括できる体制を整えることも有効です。

ユニ・チャームでは当時CIOが不在だったとも言われており、これが意思決定や調整機能の不足につながった可能性が指摘されています。

システム移行を成功させるには、専門家の支援を得るとともに、自社内にも確かな統括体制を築くことが不可欠です。

参照
【独自】紙おむつムーニー納期遅れの「主犯」はまたもデロイト!ユニ・チャームのシステム刷新でグリコに続きトラブル ダイヤモンド・オンライン
ユニ・チャームで紙おむつなどの納品遅れ、基幹システム更新に伴う不具合 日経クロステック(xTECH)

まとめ

この記事では、「SAPの2025年問題」とDXレポートにある「2025年の崖」の違いや、先行企業から学ぶ2025年問題への対策について解説してきました。

特に、SAPの保守終了に対応するシステム刷新は、単なるIT対応にとどまらず、経営戦略全体の見直しにも関わります。

先行企業の事例からは、専門家の支援を受けつつ社内の統括体制を強化し、リスク管理を徹底する重要性が明らかになりました。

今すぐ現状を分析し、具体的な移行計画とリスク対策を策定するなど、2025年以降の企業存続を確実なものにするために、直ちに着手することが重要です。

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