内閣官房の「デジタル田園都市国家構想実現会議事務局」によると、地方の社会課題をデジタルで解決し、魅力の向上を図ることが重要とされています。
デジデン(デジ田/DIGIDEN)とも呼ばれるこの構想は、まさに地方創生DX(デジタルトランスフォーメーション)の根幹といえるでしょう。
国内ではこのように進められていますが、海外ではどのような動きがあるでしょうか。
本記事では、ドイツの地方創生DXへの取り組みをわかりやすく紹介します。
目次
ドイツ地方創生DX成功事例
まず欧州地方開発ネットワーク(ENRD)のレポートから、ドイツの地方創生に関わるDX成功事例について触れていきます。
ドイツでは、人口の約66%にあたる5600万人が都会ではなく地方で暮らしています。
このような人口がまばらな地域に住んでいる大勢の国民のためのデジタル・ソリューションを模索する目的で、ドイツのデジタルビレッジ・プロジェクトは始動しました。
デジタルビレッジ・プロジェクト全体を取りまとめたのは、ドイツ国内でエンジニアリングを研究するFraunhofer IESE研究所と省庁です。
フランクフルト空港とフランスの国境に程近いFraunhofer IESE研究所と、中心となった政府組織は、施設自体がベルリンやミュンヘンといった都会ではなく、地方に位置していることがポイントといえます。
デジタルビレッジ・プロジェクト概要
・期間:2015年〜2019年
・対象:専門家による審査に通過した地方都市(33の地方自治体、面積73km2)
・総費用:450万ユーロ
・関係者:研究所、省庁、自治体、テクノロジー関連の職業大学
・関連プロジェクト:ヘルスモニタリング・プロジェクト
デジタルビレッジ・プロジェクト詳細
・デジタル技術を用いて地方のエコシステムに価値を与える
・ドイツの地方創生DXに欠かせない、横断的なソリューションサービスを提供する
・住民、行政、産業のコラボレーション体制やカルチャーを創る
・最適なコストで持続可能なソリューションを構築する
デジタルビレッジ・プロジェクトのコンセプトとソリューションについては、最初に住民と他のステークホルダーによる話し合いの場が設けられました。
そして、モバイルアプリやWebサービスが形になるまで試行錯誤を繰り返し、プロトタイプが緻密に開発されたのです。
ドイツ地方創生DX:エコシステム成功事例
デジタルビレッジ構想を実現するための主なターゲットユーザは、地方のプロダクトを生活に取り入れている住民や、地元の商売、地域コミュニティ、地域のボランティア組織等です。
そこで、大きく以下2種類のプラットフォームを組み合わせて活用することで、エコシステムを実現しました。
1つ目は、地域の飲食店や、農家、パン屋、スーパー、薬局、スポーツショップ、クリーニング店、書店、図書館といった地域に密着している商売を、地方向けマーケットプレイスで売買できるものです。
2つ目は、1つ目のマーケットプレイスで買われた商品を届けるための配達アプリ、LieferBar(リーファーバー)です。
このデリバリー用アプリは、デジタルビレッジ・プロジェクトの中心となっている研究所や省庁の近くに開発拠点を置いていることも特徴のひとつです。
LieferBarアプリは、地域の住民が手軽に配達スタッフとして登録することができます。
この時、地元住民による配達スタッフはボランティアですが、モチベーションとなっているのは仮想通貨です。
配達をすると、この特定のプラットフォームのシステム上でのみ使用できるバーチャル通貨が、利益となって還元されます。
2016年に利用が開始され、その後たった3ヶ月間で200人以上のスタッフが有志で登録しました。
配達には宅配ボックスを活用することができるので、配達する側も気楽に対応することができます。
ドイツ地方創生DX:ポケットビレッジ
また前述に加えて、2018年から地方のニュースメディアと連携し、住んでいるデジタルビレッジに関するニュースがまとめて閲覧できるアプリを活用することで、地域コミュニティの活性化を目指しました。
ここで柱となる戦略は、地域の課題解決に貢献するソリューション「ポケットビレッジ/my village in the pocket」を提供することで、ユーザに提供する価値(バリュー・プロポジション)を相乗的に創り出すことです。
デジタルビレッジ住民が、各々スマートフォンでポケットビレッジに繋がることで、地域のイベント情報や自動車の相乗り調整等、その他多様な地域コミュニティの情報が手に入ります。
相乗りやカーシェアリングがより大勢の住民に普及すると、交通渋滞の緩和や排ガスの低減といったSDGsにも貢献できるようになります。
さらにデジタルビレッジは、住民同士のコミュニケーションのみならず、住民と行政のコミュニケーションにも変革をもたらしました。
例えば、デジタルビレッジ住民が、行政へ新しいデジタルソリューションを用いたコミュニティの発足相談を、より容易にできるようになりました。
そうしてデジタルサービスが増えていくことで、地方の経済発展に貢献できるのです。
ドイツ地方創生DX:デジタルビレッジの取り組み
デジビレ(デジタルビレッジ)・エコシステムを実現するためのデジビレ・プラットフォームは、地方におけるデジタルサービス普及率を底上げし、地域生活の魅力や価値を高めたと、プロジェクトに関わった研究者は分析します。
デジビレ実現に向けた取り組みには、デジタルに強い経歴を持つ専門的なチームと、地域社会や経済に精通する地方住民の良き理解者との連携が重要になります。
それだけでなく、良いアイデアや創造性がなければ、デジビレ誕生プロジェクトは難局に直面するでしょう。
そして、デジビレ計画を実現するための予算確保、全体のスケジュール調整、意欲に満ちたチームが必要不可欠です。
これは簡単なように聞こえますが、実はどれかひとつでも欠けると成り立たないので、非常に難しい取り組みでもあります。
最も配慮されるべき点は、実際にその地域で暮らしている住民のニーズです。
どんなサービスが好まれて、どんなプロダクトは好まれないか、プロトタイプを使用し調査分析のサイクルを回していくことが大事です。
参考:Digital Villages Germany – The European Network for Rural Development (ENRD)
ドイツ地方創生DX成功事例まとめ
ドイツの地方創生におけるDXの成功事例は、ドイツ全土に広がりを見せています。
本記事で紹介したデジタルビレッジ・プロジェクトは、空港へのアクセスが比較的良く、自然に囲まれた地方のある区域に、研究所、行政、エンジニアリング開発拠点を集中させ、専門チームや住民、ステークホルダーが連携することでエコシステムを実現させました。
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