日常生活で保険を身近に感じることはありますか?
DX推進が遅れているといわれる日本に比べて、米国では既に保険業界全体にデジタルトランスフォーメーションの荒波がやってきています。
国内の保険業界は主に、生命保険、損害保険、保険代理店の3つに大きくわけることができます。
生命保険には終身保険や個人年金保険が、損害保険には自動車や火災保険が含まれ、代理店では生命保険・損害保険企業と組むことが多いのが現実です。
保険業界は私たちの身近に存在しており、日常生活と密接にかかわる一方で、十分な保険知識を獲得していない人も多いのではないでしょうか。
保険リテラシーやインシュアテックに関する理解を深めるためにも、海外のデジタルトランスフォーメーションがどのように進んでいるかみていきましょう。
本記事では、当メディアを運営するストラテジーテックコンサルティング編集部の海外担当が、海外の保険業界DX成功事例をわかりやすくご紹介します。
目次
保険業界DXのトレンド
不確実性の高い市場で、インシュアテックはどの方向を目指すべきなのでしょうか。
海外保険業界のトレンドとして、NYを拠点とするテクノロジー企業は「業務プロセスのデジタル化」と「データ分析やロボット(AIやRPA)活用」の2項目を挙げています。
さらにSollers Consulting社の調査では、2031年までに保険会社10社中8社がクラウドに依存することになるといわれています。
つまり、デジタル化やテクノロジー技術の活用に伴い、ビジネスモデルそのものや業務プロセスを改善するための組織変革を含む保険業界DXが進むことが予測されています。
すでに多くの保険関連会社がAIを導入して業務・商材の最適化にあたっているトレンドがあります。
参照:Insurance Trends To Watch in 2022
海外の保険業界DX事例1:保険業界全体をDXした海外事例
アメリカとオランダを拠点に開発されている総合保険サービスアプリLemonade(レモネード)は、その名から受けとる印象の通り、Webサイトが愛らしいイラストであふれています。
レモネード保険アプリは、アプリストアでほぼ5つ星(4.9)の評価を獲得しており、一目見ただけでは保険会社とはわからないデザインで、ファンを獲得している珍しい会社です。
実は海外の保険業界では既にかなり注目を浴びているアプリで、業界人が常に一挙手一投足に目を光らせているのです。
一体その魅力は何なのでしょうか。
キャッチコピーは「あなたが保険について知っている知識を全て捨ててください」なので、視覚的にだけでなく読み手であるユーザーの興味をかきたてることに成功しています。
一度レモネード保険を知ったユーザーは、おそらくその魅力の沼に落ちることになるでしょう。
取り扱いは住宅保険、自動車保険、ペット保険、定期保険と多岐にわたります。
AIを導入してMayaと名付けて親近感を持たせることに成功しており、ユーザーはMayaから最適な保険サービスの提案を受けとることができるのです。
90秒で自分にあった保険サービスを選び、3分あれば決済まで完了することもできるようにアプリは開発されました。
米国で有名なメディアにも取り上げられたレモネードの最大の特徴は、徹底的なユーザー目線にあると筆者は考えています。
これまでの保険ビジネスモデルを覆し、ユーザーの支払う費用を保険会社側の所有物として扱うのではなく、あくまでもユーザーの所有物として尊重して扱うのです。
ユーザーが支払う手数料を一定に留め、残りの一部はユーザーが選んだ非営利団体に寄付することができます。
実際に2021年は以下の活動へ支援金が送られました。
・アメリカ全土の海岸のゴミ収集
・約18万本の植樹
・よりよい海洋教育支援
・湿地帯の環境保全
・若手気候リーダーの教育
こうした大前提の企業姿勢が、常にユーザーの心を掴んで離さないのだろうといえます。
さらに明快な料金設定、素早い対応、状況に応じたキャッシュバック、この3点が揃ったオシャレで画期的な保険アプリのレモネードは、今後さらに普及していくのではないでしょうか。
これまでと徹底的に異なる同社のサービスは、いち企業としてのDX事例ではなく、保険業界全体のDX事例と捉えることができます。
参照:Lemonade
海外の保険業界DX事例2:海外大手損害保険のDX事例
米国、アジア、オーストラリア、中東、ヨーロッパ、アフリカと世界中に拠点を持つCognizant社は、AIやアプリ、セキュリティ、デジタル全般に強いコンサルティングサービスを提供しています。
同社の大手損害保険会社のクライアント事例を詳しくみていきましょう。
クライアントは、保険商材と決済をするユーザーとの間に複雑に絡みあう膨大なクレームや顧客サービスを含むバックオフィス業務を改善したいと考えていました。
上流工程と下流工程を行き交う業務の無駄を排除・削減し、全体の効率化を目指したのです。
そこでCognizant社のマネジメントサービスに焦点が当たりました。
同社のマネジメントサービス・プラットフォームを利用してグローバルリソースを活用し、5つの事業にまたがる32個ものプロセスをデリバリーセンターへ最速で移行していったのです。
損害保険DX案件の課題
コンタクトセンターとバックオフィスにまたがる複雑なバックオフィス業務の重複排除
損害保険DX案件で実行したこと
対話型音声応答やチャットボットなど様々なサービスを備えたマルチチャンネル・プラットフォーム開発
損害保険DX案件の結果
業務の重複を改善した効率的なサービスデリバリーセンターを予定より速く運用開始
デジタル技術を用いたマルチチャンネル・プラットフォームを開発し、クライアントのコンタクトセンター機能に変革をもたらしました。
具体的には、照会センターや医療アシスタントに関する音声サービス支援を強化したのです。
このとき、保険テクノロジーの専門家はプロセス改善戦略の視点からコンサルティングを実施しています。
クライアント側のプロセス変革達成のため、イノベーション戦略を策定し、その戦略とクライアント側の優先順位に沿って、アプリのバリューストリームマッピング(VSM:「価値の流れ」を可視化して「プロセスを改善」 するための手法)、ロボットによる業務プロセスの自動化(RPA)、ビジネス全体の分析、コンサルティングを実施しました。
損害保険DXを進める上で、マイルストーンを確実にクリアしていくことで当初の予定よりも30%早く完全運用を開始することに成功したのです。
ITプロセスとビジネスプロセスの最適化を実現したことで、14%のROIの改善へと導きました。
また、Cognizant社はコミュニティ、機会、ネットワークを活かした女性の社会進出にも力を入れていることで知られています。
大手損害保険DX案件を成功に導いた背景に、グローバル規模で彼女たちの力を最大限に引き出せたことも影響しているといえるでしょう。
参照:Delivery Center Transition Nets Large Insurer High ROI, Strategic Partner
海外の保険業界DX事例3:人を重視したカスタマーサクセス
Sutherland社は米国を拠点にグローバル展開しています。
同社はDX企業であり、大手クライアント(Amazon、Airbnb、T-Mobile、ゴールドマンサックス、ソニー、トヨタ、ディズニー、Netflix)を担当していた実績があります。
今回ご紹介する同社のクライアントは、オンライン化にいち早く着手した企業のひとつとして知られています。
既に成功したイギリスモデルがあったため、米国の多様性へどのように適応させるかの視点を軸にパートナーを探し始めました。
特に企業資産や損害保険におけるマルチチャネル、複数のシステムにまたがるユーザーサポートが統合できる総合プラットフォームの開発が最初の要件でした。
オンライン化によって得られる情報が増えているものの、顧客からの質問に対処し販売プロセスを推進するためによりよいカスタマーサポートの方法を模索することが課題といえます。
また、全体の目標はビジネス消費者の保険購入方法に大きな変化をもたらすと同時に、米国におけるプレミアムブランドとしての地位を確立することです。
そこでトレーニングを受けた専任エージェントを集めたチームを結成し、エージェントにとって使いやすいインターフェースにすることにも着目したのです。
海外保険DX案件の課題
複数のシステムを統合できる総合プラットフォームの構築
海外保険DX案件で実行したこと
・ライセンスを取得した専任のエージェントのチームで構成されたサービスセンターの構築
・ターゲットとなる顧客を理解するためのトレーニングの実施
・単一のインターフェースを備えたテクノロジー対応のサービス・ソリューションの提供
海外保険DX案件の結果
システムを導入するだけでなく人を大事にするカスタマーサポートでユーザーの信頼を獲得
さらにはフロントオフィスとバックオフィスを結んだオペレーションの実現、品質保証や監視体制を強化し金融システムと統合することでシームレスなトランザクションを獲得しました。
結果的に全体のレポート作業が効率化され、コスト削減も同時に実現したのです。
オンラインソリューションに頼るだけでなく、人間によるカスタマーサポートも併せて提供することで、顧客の信頼を獲得した事例といえます。
参照:Digital Transformation Case Study – Insurance
保険業界DXの海外事例課題
これまでご紹介した3つの事例から、海外保険業界DXにおける課題を考えてみましょう。
まず事例1:レモネードのケースから、業界全体の仕組みを変えるアプリが既に登場し人気を集めていることがわかります。
そのため、競合他社は必然的に変革に迫られていることが課題といえるでしょう。
さらに事例2:Cognizant社のケースでは、直接的な因果関係はありませんが女性の活躍を推進している企業における成功事例であることから、多様性やダイバーシティ領域への理解力も議題にあがるものと考えられます。
最後に事例3:Sutherland社からは、保険会社側だけの利益を追い求めていては成功しない時代だということが推測できます。
保険業界の構造変革が迫られており、保険会社、パートナーエージェント、お客様のすべての立場からDXプロジェクトを推進することが課題となります。
保険業界DXの海外事例まとめ
保険業界の海外トレンドから成功事例、課題について触れてきました。
一般的に保険業界はその詳細がエンドユーザーにわかりにくい業界ともいわれています。
その課題に立ち向かったレモネードは大成功している事例といえるでしょう。
さらに、複雑な業務の改善に対応するため、テクノロジー技術を活用した組織をまたぐプロセスの効率化や、お客様に信頼されるカスタマーサポートを実現するための仕組み作りに成功した事例をみてきました。
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