【海外教育現場DX事例】フィンランドと日本の学校|特別授業レポート

学校の教育現場DX事例について国内では文部科学省が2022年春に「第1回学校DX推進本部」を開催し、教師のICT活用の向上や情報化を含む学校の働き方改革を、具体化する方策を検討していると公表しました。

このようにデジタル技術の活用がまだ検討段階にある日本の学校教育
DXですが、海外の学校教育DXはどのくらい進んでいるのでしょうか。
今回は、教員資格と教員経験を持つフィンランド在住の宮下先生に、フィンランドの小学校と日本の小学校をオンラインで繋いだ特別授業の様子についてインタビューを行いました。

参考:
1回学校DX推進本部を開催/文部科学省 

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海外の教育現場DX事例:グローバル複業先生にインタビュー 

今回インタビューをしたのは、株式会社LX DESIGNで金谷代表と共に複業先生事業を推進する宮下彩夏先生です。
宮下先生はLX DESIGNCS推進、広報、グローバル事業を兼任するだけでなく、2021年からはこれまでの教員としての指導経験を活かし、フィンランドの小学校でボランティア教師としても活躍されました。

そして
2022年からはより「複業先生」事業に注力されました。
その一環としてフィンランドで実際に宮下先生が携わった小学校と、日本各地の小学校を繋ぎ、「小学生向けグローバル・オンライン特別授業」を実現したのです。 

学校と社会を繋ぐ「複業先生」運営企業 

まずは宮下先生の所属する株式会社LX DESIGNについて紹介していきます。
株式会社LX DESIGNは、2018年に東京都を拠点として設立された、現場経験が豊富なグローバル教育DX人材が集まる企業です
主に外部人材活用によるオンライン教育プラットフォームの「複業先生」事業を展開し、学校DXを推進しています。

「複業先生」とは、具体的にどのような事業なのでしょうか?
「複業先生」は人手不足で困っている学校の強い味方です

キャリア教育、プログラミング指導、グローバル領域、
IT分野等で困ったときに、「複業先生」にアクセスすると、煩雑な業務を効率化する手助けをしてくれます
そして、子どもたちが主体的かつ心豊かに人生を切り拓ける社会の実現を目指しています。

「複業先生」は教員経験がなくても登録が可能なため、既に
1000名以上の教育支援希望者が国内および海外から登録しています。
テクノロジーと社会・コミュニティの力で教育業界にイノベーションを巻き起こす「複業先生」は、まさに学校教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)といえるでしょう。

参考:多様な専門・価値観をもつ「複業先生」が、学校現場を変える?/ダイヤモンド・オンライン
参考:誰でも複業で先生になれる「複業先生」が、学校現場を変える?保護者でも教員でもない、3の大人が生徒に与える意味/logmi Biz 

海外在住の先生が語るフィンランドのDX社会 

次に宮下先生へ、実際にフィンランド人のホストファミリーと暮らす中で感じるフィンランドのDX社会について伺いました

 フィンランドでDXは特別なことではなく、テクノロジー技術を活用した日常生活が、既に当たり前の事になっています
そのため、普段の生活でDXという言葉を聞く機会は滅多に無く、DXが社会全体に浸透していることを実感します

たとえば、普段の暮らしでは何をするにもスマホが必要です。
電車やバス、公共交通機関のチケット等は、スマホで購入してスマホで利用します。
ちょっとした小包配達の受け取りもスマホで手続きをして家に届けてもらったり、近所のスーパーの受け取りロッカーに取りにいったりします。

さらにフィンランド在住者の個人
ID番号には銀行や病院の履歴、滞在許可証まで、あらゆる情報が紐づけられているので、日々の暮らしに必要なインフラはほとんど全てテクノロジー化されているように感じます。

かといってデジタル技術に疎い人々の存在を尊重していないわけではありません。
たとえば、ワクチン接種情報が自分でダウンロードできない人は、中央病院に行けばダウンロードしてもらえますし、電車やバスのチケットがスマホで買えなければ窓口カウンターや券売機で購入できる等、アナログとデジタルが共存できるよう国によって整備されています。

フィンランド社会全体にテクノロジーが行き渡っているため、コロナ禍で学校がオンライン授業対応を迫られた時も、比較的混乱なく移行できたと教員仲間から聞いています。
オンライン授業が浸透したことで、欠席している子どもが自宅からアクセスできるといったメリットも見つかりました。」 

海外の教育現場DX事例:企業ウェビナーに活かせる「オンライン特別授業」 

フィンランドと日本の小学校を繋いだ「オンライン特別授業」の詳細に触れる前に、フィンランドの小学校の日常(デジタル技術・プログラミング授業)について紹介します。
あくまで宮下先生がいらした小学校の様子ですが、フィンランドでは後述するようなDXが浸透した授業は、決して珍しいものではありません。

学校の先生は
1対大勢の授業(セミナー)に慣れているので、フィンランドの授業の様子を知ることで、DX事例についてだけでなく、ビジネスパーソンが企業ウェビナーに活かせるポイントも見えてくるでしょう。 

フィンランドの小学校のデジタル技術活用(ウェビナーへの工夫) 

フィンランドの小学校では、子どもたちは紙の教科書をもちろん使いますが、授業は教科書の販売会社が配信するデジタル版教科書を教室前方の大きなスクリーンに映して進行していきます。

フィンランドの小学校では早期デジタル・リテラシー教育が実施されており、2年生からWordの基本的な使い方を学び始め、3年生ではパワーポイントの操作を学びます。
そのため、フィンランドの小学生のデジタル・リテラシーは高いといえます。


低学年から
ICTに触れることで、中学年や高学年になる頃には発表用のスライド資料を自ら作成できるようになり、その資料を使って授業で実際にプレゼンテーションすることもできます。
たとえば4年生の音楽の授業で、児童が作成したスライド資料をクラスメイトの前で発表する取り組みが行われています。
スライドの内容は、小学生がそれぞれ調べた楽器の音色や歴史に関する内容です。

小学生の子どもたちが高いデジタル・リテラシーを身につけている背景には、小学校入学直後から学校、子ども、家庭をシステムで繋げてコミュニケーションをとる教育サポート(ホーム支援)環境も影響していると考えられます。

このホーム支援システムは、時間割の確認や保護者からの欠席連絡等が確認できるようになっている他
教員同士で活用できる校内ツールとして特別教室の対応、タブレット利用の予約管理、教員会議の議事録等が記録できる機能があります
学習態度のフィードバックや成績も先生から保護者へシステム経由で伝達できる環境が整っているのです。

さらに生徒には一人ずつメールアドレスが配られ、マイクロソフト社のTeamsで送られてきた課題をオンライン提出するケースもあります。
フィンランドの小学生のようにデジタル・リテラシー教育を受けている場合、デジタル技術を駆使する授業が円滑に実施できるだろうと想像できます。

つまり、企業ウェビナーを実施する際、まずは相手のデジタル・リテラシー度合いを理解する必要があると言えます。
特にウェビナー実施ツールの扱いに慣れていない受講者がいる場合、事前にツール操作の理解に時間を割いてもらうための工夫が必要であると考えられます。 

フィンランドの小学校のプログラミング・ロボット授業(ビジネス応用) 

国内では1クラス35人学級が推奨されていますが、フィンランドはもっと少ない25人以下に定められています。
だいたい23人前後の学級が多いです。
プログラミングを含むデジタル技術を活用する授業は1クラスに教師が2名つきますが、さらにサポートの先生が1名加わり、少人数の学級でも教師は3名体制になることがあります。

授業では先生が話す時間は必要最低限で、子どもたち自ら考えて操作する時間を多くとります。

たとえばプログラミング授業では、まずはコードを記述するよりも視覚的に操作できるビジュアル・プログラミングで子どもたちが指示を考えて入力する流れが定着しています。
視覚的に操作しやすいビジュアル・プログラミングを通して、子どもたちは動作の指示の仕方を遊びながら繰り返して覚えていくのです。

この時、先生は目的地・ゴールまでの道のりを教えません。
仕組みだけを教えて、プロセスは子どもたちに考えさせます。
技術だけでなくプログラミング思考を養うのが目的です。

パソコンを使うプログラミング授業がある一方で、パソコン操作を必要としないロボット教育にも積極的です。
2年生からパソコン不要のロボット型知育教材のビーボット(Bee-Bot)を活用した授業が行われています。
3年生になるとコーディングの授業でビーボットに動きを覚えさせ、4年生ではビーボットよりも本格的なロボットを扱います。

小さくて細かい部品を組み合わせてロボットを作り、動きを指示してリモコン操作の設定まで行う高度な授業です。

ロボット授業の冒頭では先生が子どもたちに「ロボットが生活のどこで活用されているか」、「生活になぜロボットが必要なのか」を考えさせます

このポイントはビジネスにも応用できるでしょう。
たとえば企業ウェビナーで一方的に語りかけるだけでなく、受講者に考えてもらう時間を確保する対話方式を取り入れてみること等はおすすめです。
宮下先生は現場でフィンランドの教育事例を数多く見てきているので、その知見やノウハウの共有が教育業界のみならずビジネスにおいても期待されています。

参考:ビーボット/テラピンジャパン日本正規代理店 

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海外の教育現場DX事例:「小学生向けグローバル・オンライン特別授業」 

フィンランドの教室には、基本的に黒板がありません。
あるのは天井から吊り下げられた大きなスクリーンと、メモ用のホワイトボードです。
教室そのものが日本の小学校と異なることを頭の片隅に置きつつ、宮下先生主導の「小学生向けグローバル・オンライン特別授業」の詳細をみていきましょう。 

フィンランドと日本「小学生向けグローバル・オンライン特別授業」の背景 

宮下先生がフィンランドと日本の小学校をオンラインでつなぐ特別授業を実施した理由は大きく2つあります。

1つ目は、eTwinningの存在です。
eTwinningとは、欧州の各学校が手軽にオンラインで交流できる環境(インフラストラクチャ)のことです。
教員主導で学校や国境を越えた様々なプロジェクトを行うことができるため、宮下先生はこのeTwinning運営に公的な機関も関わっている半官半民のように位置付けられたサービスだと認識しています

たとえば、フィンランドの先生が「クリスマスカードを送り合いませんか?」とeTwinning上で投げかけると、賛同するドイツやスペインの学校の先生とコラボすることが出来ます。
宮下先生は、スペインの学校向けにフィンランドの学校紹介ビデオを送ったこともあります。
上記のように、eTwinningを利用し、他国の学校とのオンライン交流の知見やノウハウを得ることが出来ました。

2つ目は、フィンランドには親日家が多いという背景です。
日本に関心を持っているフィンランドの学校関係者が身近にいたので、何かできることはないかと自然に模索するようになりました。
そこで、ボランティア教師として1年間お世話になった小学校へお礼の気持ちを込めて、日本の小学校と交流することを提案したのです。

そのプロセスについて、LX DESIGN仲間にも随時報告が届きました。
宮下先生の個人的な感謝の気持ちから始まった試験的な取り組みでしたが、結果的にLX DESIGNを巻き込み大成功を収めました。

参考:eTwinning is the community for schools in EuropeeTwinning 

フィンランドと日本「小学生向けグローバル・オンライン特別授業」の詳細 

こうして、宮下先生にとっても、LX DESIGNにとっても初めての試みとなる海外の小学生と日本の小学生がオンライン交流する特別授業が2022年春に開催されました。
最終的に、宮下先生は「複業先生」として授業のコーディネートから様々な調整まで、全て引き受けることになりました。

日本の小学校では「外国語活動」や「総合的活動」と位置付けられ、宮下先生の声かけや紹介で合計5つの小学校から協力を得ることができました。
学年や各小学校ごとに異なる反応がみられ教員側にとっても非常に興味深く知的好奇心がくすぐられる経験となりました

学年毎の詳細
12年生
合同実施。
お互いの学校紹介を少しした後は、ランドセルを画面に映しただけでフィンランドの小学生が驚いてくれたり、ただただ教科書を見せ合うだけの微笑ましい場面が続いたり、言語で交流する以上の価値を感じることができました。

3年生
お互いの国や小学校の紹介、質問コーナーを中心に実施。

4年生
日本の学校や文化の紹介とフィンランドの紹介を実施。
予め準備していた理科に関する内容は時間が足りず次回へ持ち越し予定。

5年生
フィンライドの小学校の紹介ビデオを英語で作成し、日本の小学校へ送信してシェア。
事前に準備した質問を中心に実施。

6年生
英語を使って同世代の子どもたちと交流する貴重な時間だったので、実際に会話する時間を重視。

使用したツール
Zoom
宮下先生が使い慣れていたという理由。
Google Meetなど他のツール利用も可能。

フィンランドの小学生にとって、机が綺麗に並べられた日本の教室をみるのは初めての経験だったので、お互いの教室の様子が画面に映るだけで大きな収穫がありました。
フィンランドの始業時間が日本の午後にあたるため、時差の都合上難しい調整もあり、全ての日程調整には約3週間かかりました。

フィンランドの小学生が登校してくるまでの空き時間には、宮下先生がフィンランド校内をスマホで撮影してバーチャルツアーのような体験を日本の小学生に届けたことも良い思い出です。
当日欠席した生徒は自宅からアクセスできたので、2カ国の小学校と欠席児童の自宅を一度に繋ぐことができたのは、オンラインならではのメリットといえるでしょう。 

海外の教育現場DX事例:グローバル複業先生のコメント 

今回の「小学生向けグローバル・オンライン特別授業」を通して、英語で交流する以上の価値に触れられた気がします。
リアルな交流以上に特別な時間を共有したことによる絆を育めたのではないでしょうか。
そもそも教室自体がフィンランドと日本では大きく異なるため、画面に映っただけで感動しました。

実施にあたり前日に各小学校の協力を得てインターネットの接続状態やカメラテストをしました
教員や生徒がせっかく準備しても当日繋がらなかったら努力が水の泡となってしまうことを避けたかったからです。

このような事前準備の甲斐もあって、当日はフィンランドと日本の小学生だけでなく先生たちも喜んでくれました。
フィンランドでは画面に日本の様子が映る度に「わお(Wow)」と歓声が上がったり、日本でもフィンランド同様に生徒以上に教員が興味津々な様子が伝わってきたりしました。

直接対面したわけではありませんが、オンライン交流を通じて「母国語が違っても、英語を使えば交流できる」と、子どもたち自身が理解できる体験になったと確信しています。
留学する前に手軽にオンラインで繋がる事で、外国の空気を感じとる経験は小学生の学びを最大化するのではないでしょうか。

DXという言葉が存在しないくらいテクノロジーが浸透しているフィンランド社会では、学校教育も取り残される事なくDXが当たり前となっています。
社会全体でDXが推進された状態は、より良い社会の実現につながる選択の結果と受け止めています。
フィンランドと日本のどちらが良いわるいではなく、失敗してもいいから挑戦してみて結果をまた次の改善に活かそうという社会・文化的背景がフィンランドの方が強いようです。 

海外の教育現場DX事例:グローバル複業先生のインタビューまとめ 

インタビューの最後に「良し悪しではなく、お互いの国の違いを知ることで子どもたちのために何ができるかという視点に立ち、気づいた事を大切にしていきたいです。」と、穏やかに語って頂いた姿が神々しく印象に残っています。

フィンランド在住の宮下先生には、日本の先生からフィンランドの学校をより肯定的に捉えるメッセージが届くことがあるそうですが、「どちらもお互い素晴らしく、どちらも問題を抱えているものです。」と、教えていただきインタビュー自体がまさに贅沢な「特別授業」となりました。

未来の教育業界を牽引するDX人材のひとりである宮下先生の、今後の活躍に期待が高まっています。
以上、フィンランドの宮下先生にオンライン・インタビュー取材した内容をお伝えしました。

インタビューされた人
宮下彩夏先生
株式会社LX DESIGN公式HP
複業先生:公式HP

インタビューした人
米村みなえ

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