本記事では、相手を説得するために効果的なフレームワークであるTAPS法について解説します。
最後まで読むことでTAPS法のメリットや例文、どのような場面で活用できるのかなど、実用化できるレベルで理解することができます。
相手に自分の意見をわかりやすく説得力を持って伝えるためのフレームワークはたくさん存在しますが、TAPS法はその中でも相手に理想と現実のギャップから伝えるため、行動を喚起しやすいとされる手法です。
様々な場面で応用が利くTAPS法を本記事で理解してみませんか。
目次
TAPS法とは
TAPS法とは自分の提案を相手に受け入れてもらうために、提案内容の必要性をわかりやすく伝えるためのフレームワークです。
TAPSは伝える順番をまとめた英語の頭文字を並べており、Tは「To be(あるべき姿)」、Aは「As is(現状)」、Pは「Problem(問題点)」、Sは「Solution(解決策)」を意味しています。
理想と現状のギャップと理想の状態になれていない要因とその解決策を順に伝えることで、解決策として提案した内容を聞き手が受け入れやすくなることを狙いとしています。
TAPS法のメリット
TAPS法のメリットは大きく2つです。
1つは相手に話を聞いてもらいやすくなることです。
提案する相手に理想とする状態を先に伝えることで、期待や興味を持ってもらいやすくなります。
そのため、本来は疎ましがられる提案であっても最後まで話を聞いてもらえます。
もう1つは自分の提案の説得力が高まり、相手に受け入れてもらいやすくなることです。
理想とする状態から、現状と問題点を順序立てて伝えることで、最後に伝える解決策の必要性が伝わりやすいため、提案の説得力が高まり受け入れてもらえる可能性がぐっと上がります。
TAPS法は提案を通したい場合や必要な解決策を検討する場合に有効です。
TAPS法を用いた資料の例文
本章では、TAPS法の各パートの解説と、TAPS法を使用した具体的な例文を紹介します。
TAPS法の概要は理解したけれど、具体的にはどのように活用するのか知りたい方は参考にしてみてください。
各章で紹介するTAPS法の具体例は以下の表にまとめましたので、併せてご覧ください。
具体例 | |
To be(あるべき姿) | 今期売上500万円アップ |
As is(現状) | 現状のペースでは200万円アップにしかならない |
Problem(問題点) | 今期の既存顧客からの発注が前年比20 %減 |
Solution(解決策) |
|
To be(あるべき姿)
最初にあるべき理想の状態を伝えます。
ここで相手の興味関心を惹きつけることが重要です。
例えば今期の売上を500万円アップさせる、や新規顧客からの売上が占める割合を30%まで引き上げるといったポジティブなものを設定します。
理想像は具体的な数値を設定する方が、説得力は増しますが、測定が難しいものの場合は必ずしも数値設定する必要はありません。
プレゼンテーションの内容を考える際も「As is(現状)」よりも先に理想像を設定することで、現状ありきの目標設定をしてしまうことを避けられます。
As is(現状)
次に現状を伝えます。
ここで相手に理想と現実のギャップを突き付けることで、後段の問題点やその解決策を聞きたいという気持ちを高められます。
例えば今期の売上を500万円アップさせたい理想に対して、現状のペースでは200万円アップにしかならない、といったことを示します。
理想と現実を示すことで、何がそのギャップを生み出しているのか、問題点を明確にしたいという感情をかき立てられます。
先に現状から伝えてしまうと、理想像とのギャップに無理な目標設定という感覚を持ってしまう方もいるため、理想像から伝えて興味関心をしっかり高めるようにしましょう。
Problem(問題点)
そして理想像と現状のギャップを生み出している問題点について客観的に説明します。
ここで相手に「解決しなければならない課題」という意識を持ってもらうことで、最後に提案する解決策をより魅力的なものに感じてもらえます。
先ほどの例でいうと、現状200万円アップにしか満たないペースの売上である要因を提示しましょう。
例えば、今期は既存顧客からの発注が20 %減っている、今期の発注が単価の低い製品に集中している、などデータや数値を示して伝えると説得力が増します。
問題点を提示する際は主観的に判断したものではなく、客観的指標を用いて説明できるものを取り上げるようにしましょう。
Solution(解決策)
最後に問題点の解決策を提案します。
この解決策を相手に受け入れてもらうことがゴールであるため、丁寧に作り込むようにしましょう。
今期売り上げを500万円アップさせたい例の場合、問題点を今期の既存顧客からの売上が20%減であることに設定したとします。
この解決策として挙げられるのが、既存顧客との関係改善や、担当にエース級の従業員を配置する、既存顧客への特別価格を見直す、といった施策が考えられます。
ここまでの話をしっかり聞いてくれた相手であれば、これらの提案は納得のいくものになっているはずです。
このように、理想→現状→問題点→解決策の順で提案を行うのがTAPS法です。
TAPS法が役立つ場面
TAPS法は主に提案を行うプレゼンテーションで活用されることが多いですが、自己内省にも応用可能です。
本章では、TAPS法が役立つ場面を紹介します。
プレゼンテーション
ここまで見てきたようにTAPS法は、提案を行うプレゼンテーションの場面で強力なパワーを発揮します。
流れに従って項目を埋めるだけで説得力のあるプレゼンテーションの台本が作成可能です。
人前で話すのが得意ではない方や、プレゼンテーションの流れを考えるのが苦手な方にとってTAPS法は強い味方になるでしょう。
マーケティング
TAPS法は自己内省にも有効です。
自分の悩みを整理して有効な解決策を導き出したいときに、効果的な取り組みを考える手助けをしてくれます。
理想と現状のギャップが現在の悩みや課題であり、その解決策として考えられるものを書きだすだけで、思考の整理が可能です。
フリーランスの方は、クライアントワークだけでなく、今後の方向性なども自分で全て決める必要があります。
事業の進め方や自分に必要なスキルなど、進路に迷われたときに活用してみてください。
プレゼンテーションに使える他のフレームワーク5選
TAPS法以外にもプレゼンテーションで役立つフレームワークはたくさんあります。
本章では、次の5つを紹介します。
- SDS法
- PREP法
- FABEの法則
- AIDMAの法則
- PASONAの法則
それぞれ詳しく解説します。
SDS法
SDS法とは、伝えたい内容を「Summary(結論)」、「Details(詳細)」、「Summary(結論)」と相手が理解しやすい順番で説明するフレームワークです。
スピーチや短い文章など、限られた時間・文字数の中で端的にわかりやすく伝える場面に適しています。
メッセージを一つに絞って伝えるため、相手の記憶に残りやすいメリットもあります。
PREP法
PREP法とは、「Point(結論)」、「Reason(理由)」、「Example(具体例)」、「Point(結論)」の順に説明することで相手に説得力を持って分かりやすく伝えるためのフレームワークです。
SDS法と流れは似ていますが、PREP法では具体例を交えて説明をするため、相手により伝わりやすいです。
SDS法は端的に伝える必要があるとき、PREP法は文字数や時間に多少の余裕があるときなどで使い分けるのがよいでしょう。
FABEの法則
FABEの法則は、「Feature (特徴)」、「Advantage(利点)」、「Benefit(利益)」、「Evidence(証拠)」の順で伝えることで、商品やサービスの良い点を相手に説得力を持って伝えるためのフレームワークです。
通販番組や商談などで主に活用されており、特徴や優位性を伝えた上でそれによってユーザーがどのような悩みを解決できるのかベネフィットを説明し、そのエビデンスを最後に述べることで、相手が納得してその商品やサービスを欲しくなるように誘導します。
AIDMAの法則
AIDMAの法則は、消費者が商品やサービスを認知してから購入にいたるまでの消費活動のステップを「Attention(注意)」、「Interest(興味)」、「Desire(欲求)」、「Memory(記憶)」、「Action(行動)」の5つに分解したフレームワークです。
この流れに沿ってセールス活動やプレゼンテーションを行うことで、消費者がその商品やサービスの必要性を感じ購入を促せます。
PASONAの法則
PASONAの法則は、「Problem(問題)」、「Affinity(親近感)」、「Solution(解決策)」、「Offer(提案)」、「Narrowing Down(絞込)」、「Action(行動)」の順でユーザーの購買行動を促すためのフレームワークです。
AIDMAの法則と同様にセールス活動やプレゼンテーションの場でよく用いられています。
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まとめ
今回はプレゼンテーションの場面で非常に役立つTAPS法について解説しました。
フリーランスとして案件を獲得するための提案文やプレゼンテーション、打ち合わせなど様々な場面で応用が利くため、今回紹介した具体例などを基にどんどん活用して通る提案を行ってみてください。
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