顧客体験(CX:カスタマー・エクスペリエンス)とOMO(オンラインとオフラインが融合したマーケティング施策)は、密接に関わっています。
特にEコマースにおいて、OMOを活用した顧客体験の重要性と戦略が注目を集めています。
OMOは、ECサイトや小売業界のDX(デジタル・トランスフォーメーション)とも呼ばれていますが、企業経営に大きな影響をもたらす顧客体験(CX)を、この新しいマーケティング手法であるOMOは、どのように向上できるでしょうか。
本記事では、国内でも使用できる海外プラットフォームを用いたOMO事例を紹介します。
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目次
海外OMOとCX戦略「HubSpot」活用事例
スイス発祥の新しい腕時計ブランドCODE41 (コード41)は、ECマーケティングにHubSpot を取り入れ、理想的な CX戦略を実現しました。
HubSpotは世界120カ国以上で展開しているCRMプラットフォーム開発企業です。
マーケティングから営業活動、カスタマーサクセスまで、ソフトウェアを組み合わせることで一貫したソリューションを提供しています。
〇事例背景
CODE41は、立ち上げ当初、クラウドソーシングで集めた会員(約15,000人)に、より効果的なマーケティングツールが必要だと考えていました。
〇戦略例
もともとの強みであるクラウドソーシングを基盤としたコミュニティ構築に、製造プロセスの共有といった透明性を加えました。
具体的には、HubSpotのソリューションを複数導入することで、カスタマー・ジャーニーの導線を整えていったのです。
<導入したHubSpotソリューション>
・Marketing Hub
・Sales Hub
・Service Hub
・The Full CRM Platform
・Free Tools
また、Eメールマーケティングでは営業を目的とする戦略ではなく、価値ある情報を届ける教育メインの戦略にシフトしました。
顧客の動向、そしてコミュニティ内の動向の両方に目を配り、カスタマーサポートを細やかに実施していくために、HubSpotが活躍しています。
〇結果
スイスのみならず、フランス、ドイツ、イギリスを中心に40万人の会員が集まるブランドへと成長しました。
顧客が腕時計を購入する検討フェーズ以前から、コミュニティでつながり、プロセスを共有し、信頼へつなげるCODE41のCX戦略は、実際に腕時計を購入した後も長く続くカスタマー・ジャーニーとOMOの成功例ともいえます。
参考:CODE41 Creates Their Ideal E-Commerce Customer Experience With HubSpot/HubSpot
海外OMOとCX戦略「Skai」活用事例
75年以上、世界で愛されているペットフードブランドHillsPet(ヒルズペット)は、ECマーケティングに欠かせないAmazon戦略において、Skaiが提供するソリューションを活用して成果へ繋げました。
Skaiは、Eコマースにも強い自動入札アルゴリズムを採用したオンライン広告プラットフォームを提供しています。
〇事例背景
HillsPetは、Amazon(特にデジタルシェルフ)で自社ブランドの露出強化を目指していましたが、多くのサブブランドの効果をまとめて追うことは、多大な手作業を発生させていました。
〇戦略例
最先端のECソリューションを活用し、日々様々なクライアントのオンライン・マーケティングを支援しているGroup Mと連携し、Skaiの自動入札アルゴリズム最適化プラットフォームを採用しました。
<導入したSkaiソリューション>
・Skai Portfolio
・Automated Actions
〇結果
ブランドの露出が強化され、手作業の時間を削減することに成功し、最終的に前年よりも収益が増加しました。
AIアルゴリズムを採用した広告最適化プラットフォームSkaiを利用し、ブランドの認知向上と生産性の改善を実現し、よりCXを重視したEC戦略を練る業務へ集中できる環境を生み出すことに成功したのです。
ブランド企業が、広告代理店を介してAIプラットフォームを活用し、収集したデータをオフラインのマーケティング活動にも活かすOMOの取り組みは、今後も増えることが予想されています。
海外OMOとCX戦略「Oracle」活用事例
Bed Bath & Beyondは、ホーム用品市場でよく知られた海外ブランドの1社です。
ECにおける顧客体験CXに、より没入感をもたらすため、Oracleのソリューションを採用しました。
〇事例背景
感染症という打撃を受ける2020年、ホーム用品をオンラインで購入した後に店頭で受け取るサービスを含む、非接触型の販路を拡大し、家庭用品ブランド全体の売上促進が狙いでした。
〇戦略例
Oracleのソリューションを導入することで、在庫をリアルタイム管理し、需要予測の精度を向上させ、継続的なオムニチャネル戦略を実現しました。
<戦略テーマ>
・デジタルファースト
・常にオムニチャネル
<導入したOracleのソリューション>
・Oracle Retail Merchandising Cloud Service
・Oracle Retail Store Inventory Operations Cloud Service
・Oracle Retail Science Platform
〇結果
より迅速なカスタマー対応が可能となり、当日配送といったスピーディなサービスまで実現させ、顧客のショッピング体験を向上したことで、デジタル販売に強いブランドへと成長しました。
この事例から、OMOはブランドの長期的な成長に影響することがわかります。
参考:Bed Bath & Beyond modernizes its retail technology operations with Oracle Cloud/Oracle
海外OMOとCX戦略に関わるCE(カスタマー・エンゲージメント)
海外OMOとCX戦略に関する3つの事例を紹介しました。
次にOMOとCXに紐づくもうひとつの重要な概念であるCE(カスタマー・エンゲージメント)について、確認しておきましょう。
オーストラリアでビジネスやマーケティングを研究する大学教員が、2022年秋に発表した論文によると、持続的なCE獲得が、企業ブランドの課題であり、重要であると位置付けられています。
CEとは、顧客との良好な関係づくり(リレーションシップ・マーケティング)の中でも特に、顧客ロイヤルティに重きを置いた概念であると定義されています。
CEは顧客体験(CX)の一種ですが、中でも、顧客のブランド認知、感情、行動の側面に注力した概念と言われています。
現在、顧客はブランドとの繋がりを重視し、ブランドが顧客の意見を多く取り入れることを期待している傾向がある、と言われています。
このことから、持続的なCEの獲得が重要とされています。
つまりOMOによってオフラインとオンラインのデータを統合的に行き来して、顧客情報を分析できるようにすることでCXを改善し、ブランドの信頼を高めるCEで顧客ロイヤルティを持続可能に導くことが、ECマーケティングで注力すべき項目といえるでしょう。
少し難しく聞こえるのは、CEの分野は比較的新しく、まだ研究段階にあるからかもしれません。
理由は、CEのエンゲージメント活動がソーシャルメディア(SNS)の発展と大きく関係しているからです。
従来、商品のブランドは企業側から顧客側へ働きかける一直線の活動が主流でした。
ところが、ソーシャルメディアが拡大し、企業と顧客が時間や場所を越えてコミュニケーションをとり、つながるようになったことで、CE戦略の必要性が見出されています。
企業ブランドは、より迅速で、より柔軟なコミュニケーションが求められる時代です。
様々な効果分析ツールが登場し、マーケティングの効果測定だけでなく、CEの潜在的な可能性も可視化できるようになりました。
CEで顧客とより深く、強くつながることで、企業の利益につながるケースも見受けられます。
もちろんECマーケティングに限らず、他の業界へもCEの概念は有効的です。
先述のように、現在はこれまでよりも顧客の熱量が企業活動に影響を与えるようになったため、現在は感情を計測するプラットフォームやツールもあります。
例えば、センチメント分析と呼ばれる「感情分析」手法が挙げられます。
SNS上の顧客の声を広い、AI(人工知能)などを用いて分析し、評価した結果をさらなる改善に活かすのです。
インフルエンサーやステークホルダーを巻き込み、大きなプロジェクトになるケースもあるでしょう。
その場合、顧客だけでなく、関係者との持続的なコミュニケーションにも気を配ることになります。
SNSで発信する内容は、BtoCかBtoBかによって戦略をを調整する必要があるでしょう。
このように細やかな戦略を必要とするCE分野は、まだまだ学術面では研究の初期段階にあるため、今後の詳細データや分析結果に期待が集まっています。
海外OMOとCX戦略事例まとめ
OMOとCX、さらに研究段階にあるCEの概念について紹介しました。
特にデジタルマーケティング領域から、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関わるビジネスパーソンは、今後ますます、良好でサステナブルな多方面のコミュニケーション力が求められることが予測されます。
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